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ショートショート広場

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一話完結〜数話完結の短編集を載せています。 あなたの息抜きのひとつに添えて頂けたら嬉しいです。
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#恋愛

【小説】 月並みの裏切り 【ショートショート】

 プレゼントの箱を開けた途端、それまで浮かれ調子だった彼の表情が一変した。  箱から取り…

大枝 岳志
3か月前
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【小説】 六の目が出たら 【ショートショート】

 今、僕は人生でぶっちぎりに最悪な日を過ごしている。  間違いなく、昨日まではバラ色だっ…

大枝 岳志
7か月前
9

【小説】 水切りの恋 【ショートショート】

 翔子は中学時代から一貫して女子校に通っていた。その持ち前の美貌から街で彼女を知らない者…

大枝 岳志
9か月前
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【小説】 夕飯を思い出したい私は、何も知らない 

「十七歳なんだ? いいじゃん、飲んじゃいなよ」  大学生のセイくんはそう言って、私の頭を…

大枝 岳志
9か月前
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【小説】 親友と呼ぶあなたへ 【ショートショート】

「はい、抱っこして」  物心ついた頃からずっと、私は彼女に「子供が嫌い」と言い続けて来た…

大枝 岳志
10か月前
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【小説】 放課後秘密クラブ 【一話完結】

 高校一年にして、僕はつまらない学校生活を送っていた。  学区ギリギリの高校に進学したの…

大枝 岳志
10か月前
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【小説】 デートどころじゃない! 【ショートショート】

 念願の初デートなのに、私は心ここにあらずの状態で助手席に座り、アウディのハンドルを握る彼の言葉を右から左へ聞き流している。彼は得意先の営業マンで、うちの会社に初めてやって来た日から私は一方的に想いを馳せ続けていた。 「エムテック株式会社の佐山祥平さん……ですね、どうぞ」  受付を担当している私は彼を前にする度、上擦った声でしどろもどろになってしまっていた。それを隣で見ていた同僚の紗栄は「わかりやすっ!」と毎度呆れた顔で私を眺めていた。  彼が来る度に心と身体がカチコチに

【小説】 虹色商店街・それは偶然 【ショートショート】

 丘に建つマンションを川沿いに下り、やがてぶつかる線路に沿って進んで行くと、春にゃ桜並木…

大枝 岳志
1年前
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【小説】 「と」 【ショートショート】

 腐れ縁の友人Kから半年ぶりに電話をもらい、吉祥寺の居酒屋で彼と待ち合わせた。何でも並々…

大枝 岳志
1年前
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【小説】 野辺の人々 【ショートショート】

 何もこんな場所に建てなくても良いだろうという場所に、うちの会社は新しい工場を建てた。 …

大枝 岳志
2年前
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夏のゾワワなおはなし、というおはなし 【エッセイ】

ヤッホー!みんなー!ドッカンピーなサマーしてるー!?   どうも、みんなの『ハートフル』こ…

大枝 岳志
2年前
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【ピリカ文庫】 北風 【ショートショート】

 まるで昔から知っているような顔をしながら、その日初めて会った僕らは同じ夜を過ごしていた…

大枝 岳志
3年前
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【小説】 まるで、短編映画のようで 【ショートショート】

「ラジカセってまだあったんだ! うわぁ、見て見て!」  放課後の音楽室で彼女は子供みたい…

大枝 岳志
3年前
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【#絵から小説】 去りて離れぬ夕暮れに 【ショートショート】

 山に囲まれているこの街に夕陽が射すと、他の街よりもずっと濃い色の影が出来る。  夕暮の街角を抜け、裏路地に鈴の音が響くドアを開ければそこが母の職場だった。母子家庭の僕は幼少期の大半の夜を、酔客の嬌声と煙の混じる空間で過ごして育った。  今年、僕は十七歳になる。ずっと母子家庭だとばかり思っていたが、客の常田というオッサンが最近うちに入り浸っている。  家に帰れば母は嬉しそうに「お父さんって呼ぶ練習しといてね」と言い、常田は横になりながら「俺に息子か」と満更でもない顔を向けて