【小説】 虹色商店街・それは偶然 【ショートショート】
丘に建つマンションを川沿いに下り、やがてぶつかる線路に沿って進んで行くと、春にゃ桜並木が大変見頃になる大きな通りへ、プッと出る。
缶茶の一本でも啜りながら、白い息を追っかけ追っかけ並木を抜ければ、そこが虹色商店街。冬も佳境を迎えてるっていうのに、懲りない馬鹿が酒を飲み飲み身体震わせやって来る。
嗚呼、懲りないねぇ。好きだねぇ。馬鹿だねぇ。なんておっかぁやダチに言われたって止まりゃしない。酒飲み共が集まる「西村屋」は今年で創業七十年。戦後のどさくさ紛れでオッ立てた居酒屋は