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鉄仙斎
2021年4月1日 21:32
「年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず」≪訳≫毎年毎年、花は同じように咲くのに、毎年毎年、それを見るひとのこころは同じようにはいかない≪出典≫劉廷芝「代悲白頭翁」古来より日本人にも愛されてきたフレーズです。「年年歳歳」「歳歳年年」は書き下すのが難しいのでそのまま「ねんねんさいさい」「さいさいねんねん」と読みます。これはこれで朗誦するとなかなかリズムがよいです。「代悲白頭翁」は漢詩。こ
2021年4月6日 20:39
「忠言、耳に逆らえど行いに利あり。毒薬、口に苦けれど病に利あり」≪訳≫ひとからの忠告は耳が痛いものだが行いを改めるのに効果がある。濃い薬は苦くて飲みにくいが病気に効くのと同じように。≪出典≫『史記』留侯世家日本でも「良薬は口に苦し」という諺で膾炙していますね。出典となる『史記』留侯世家にこの言葉があることは前々から知っていたのですが、今回改めて原文に当たってみたところ「良薬」がなんと「
2021年4月9日 16:21
「駑馬(どば)は精速(せいそく)と雖も、能く一人を致したるのみ。駑牛(どぎゅう)は一日に百里を行きたれど、豈に一人を致す所ならんか」≪訳≫馬はどんなに足が速くてもひとりしか運ぶことができない。牛は足が遅いが何人も運ぶことができる≪出典≫『世説新語』品藻篇この『世説新語』というのは三國志の前後くらいの時代の様々な人物たちのエピソードを集めた大変面白い本です。優秀な人物の思わず膝を打つような
2021年4月12日 15:56
「未だ至らざるを測ることなかれ」≪訳≫まだ起こっていないことをあれこれ心配しても仕方がない≪出典≫『小学』敬身歴史学をやっていると何百年、何千年経っても根本的なところで人間は変わっていないなと感じます。現代人と同じようなことで喜んだり、悩んだりしています。今日の出典である『小学』は数百年前にできた本ですが、この一句が言っていることは現代のエッセイや人生相談で見かけても違和感ないでしょう
2021年4月13日 21:08
「高山に登らざれば、天の高きを知らざるなり」≪訳≫高い山に登らなければ、天の本当の高さはわからない≪出典≫『荀子』勧学篇『荀子』です。タケノコ(筍)ではありません。文章自体は難しくないです。もうこれ以上にないくらいの直訳ですね。空が高いことは平地にいてもわかります。しかし、空の高さをより強く実感できるのは高い山に登って、そこから見上げてみたとき。空との距離は平地にいたときより
2021年4月19日 11:54
「歌管高楼声細細 / 鞦韆院落夜沈沈」≪訳≫宴の歌の音も遠く / ブランコひっそり夜の庭≪出典≫蘇軾「春夜」漢文に返り点をつけて日本語っぽく読む。書き下し文と呼ばれる日本独自の漢文の読み方です。しかし、なかにはどうしてもこの方法では読めない漢文というものがあります。本日の句がそれです。歌管高楼声細細(かかんこうろうこえさいさい)鞦韆院落夜沈沈(しゅうせんいんらくよるちんちん
2021年4月23日 13:20
「一飯の徳も必ず償い、睚眦(がんさい)の怨みも必ず報ゆ」≪訳≫たった一杯の飯の恩義も必ずお返しするし、ちょっと睨み付けられたうらみにも必ず仕返しをする≪出典≫『史記』范雎蔡沢列伝この物語の主人公は范雎(はんしょ)という男。非常に有能な人物でしたがスパイの濡れ衣を着せられて筆舌に尽くしがたい仕打ちをうけます。拷問にかけられた上、簀巻きにされて糞尿の浮かぶ便所の中に捨てられ、汚物を浴びせら
2021年4月26日 12:37
「少壮 幾時ぞ 老いをいかんせん」≪訳≫若く元気な時間というのは無限ではない。どんなひとでも老いを止めることはできない≪出典≫漢の武帝「秋風辞」約400年続いた漢王朝。その最盛期に君臨した皇帝が武帝です。当時の中国は世界最強の国といっても過言ではありません。その国の頂点に立つ男…いわば世界で一番、富みと権力を手中にしていた男が読んだ詩から今回の一文です。武帝がこの詩を詠んだのは