「大学を卒業しました」 息子じゃなくて…わたしが。
大学の卒業式に出席しました。卒業したのは、息子じゃないですよ、わたし、わたしです!
じぶんで勝ち取った卒業
わたしは2021年から通信制大学に入学し、文芸と博物館学芸員資格課程を学び直しました。学ぶことは楽しかったけど、仕事をしながらの勉強は決して簡単なことではありませんでした。めちゃくちゃがんばりました。
だからこそ卒業式は、思っていたより何倍も感動しました。卒業証書も、こんなにうれしいとは思わなかった。これは、間違いなくじぶんで勝ち取ったものだと思えました。
じぶんで決めて、じぶんで学ぶ
最初の学生時代は、この大学(京都芸術大学)の短期大学部で学びました。ほんとうは大学で芸術を学びたかったけれど、経済的な理由で叶わなかったのです。
でも大人になったら、じぶんの稼いだお金で勉強ができるんです。ここまで来たら、もう親ガチャとか、環境ゲーとかぜんぜん関係ない。全部じぶんゲーです。じぶんで決めて、じぶんでお金を払って、じぶんの好きなことを、じぶんが努力して学べる。最高です。
35年ぶりの卒業式
わたしは卒業式にはいい思い出がなくて。高校の卒業式は受験のために参加ができませんでした。なのにそこは見事に落ちました。
さらに短大のときは、卒業式直前に怪我をして、卒業式の式典にちゃんと参加できなかったのです。
それは忘れもしない大学近くのこの場所で。
そのとき当時の彼と自転車をふたり乗りをしていて、わたしは後ろの荷台に座っていました。彼がわたしに知らせずに急発進したものだから、自転車のホイールでかかとをガガッとやっちゃいまして。すぐに近くの病院に直行。かかとを8針も縫う怪我でした。
それでね、この大学って、山の斜面に建てられているんです。卒業式を行う建物は山の上にあるんですが、怪我した足ではとても登れない場所にあるんです。
だからわたしはそのとき、式典には参加しなかったような気がします。かわいそうなわたし。(そのときの彼とはそれが原因ではなかったけどその数ヶ月後に別れました)
だから、これがまさにわたしにとって35年ぶりのじぶんの卒業式!
しみじみ。
卒業証書、授与!
卒業式の後は、各コースに分かれて卒業証書を授与されます。
わたしは文芸コースの分科会へ。文芸コースの卒業生は28名。通信制大学なので、あまり「同級生」という感覚はないのですが、1年目の論文研究ではオンラインの合評会があるので、同じ時期に論文研究、卒業研究を共にした仲間たちは、なんとなく「同期」という感覚があります。
わたしはちょっと変則的で、先に「卒業研究」を修了したあとで、学芸員資格のために在学を1年伸ばしたので、「同期」たちはみんな先に卒業してしまったんです。だから知ってる人がいないんじゃないか、それにもしかしたらわたしの卒業証書を忘れられてるんじゃないかとずっとずっと心配でした。
でも分科会への移動中に、卒業研究を担当(副担)してくださった先生にお会いして、「タケチさ〜ん!!!」と声をかけていただいたので、ちょっとホッとしたのでした。
そして!!!
卒業研究の主担当の先生も分科会にはいらっしゃってくださいました。今年度は卒業研究の担当をされていないとお聞きしていたので、もうお会いできないかと思っていたのです。
でも来てくださったのですごくうれしかった。(わたしの他に先生が担当された学生さんはいらっしゃらなかったようなので、たぶんわたしのために来てくださったんじゃないかと思っている)
そして、
心配していましたが、わたしの名前もちゃんと呼ばれました。
そうやって受け取った卒業証書。思っていた何倍もうれしくて、にやにやしました。
学士(芸術)の学位を授与する……。
学士です。わたしが欲しかった、「学士」です!
わかります? 湧き上がるこの感動。
これは、正真正銘じぶんの力で勝ち取った学位なのです。わたしはうれしくてうれしくて、泣きそうになりました。
同窓会賞
そのあと、学科賞と同窓会賞の表彰がありました。これは、優れた卒業研究に贈られる賞です。
じつはわたし、昨年度の「同窓会賞」を受賞しておりました。でも卒業ができなかったので、表彰されることもなかったのです。賞状は郵送で送っていただきました。
今年度の同窓会賞の対象の方も、卒業式には参加されていなかったようです。でも、せっかくなのでと、コース主任の先生が賞状を読みあげてくださいました。
それでわたしは完全に、じぶんが表彰されているような気持ちになっていたのでした。1年遅れで表彰していただいて、拍手もわたしにしてもらってるんだ、と思うことにしました。都合がいいなあ。どんだけじぶん好きなんだ!
こんなだから「この人は自分のことが好きなだけ」とか書かれてしまうのでしょうね。まあでもそれ、大正解です。わたしはじぶんのことが好き。負けず嫌いで、がんばり屋で、努力家のじぶんが。そんなわたしだから、ここまでやってこれました。
もういちど小説を
賞状を渡していただいたあとは、先生方から激励のお言葉をいただきました。熱い熱いお言葉でした。
そして、学生さんからのひとことも、すごくよかったです。みんな書くことが好きで、好きというか「書かずにはいられない」といった人も多くて、話を聞いていてうるうるしました。
わたしももう一度、小説を書きたくなりました。
じつは卒業研究を提出してからというもの、わたしは一度も小説を書いていなかったのです。学芸員資格の勉強や仕事が忙しかったというのもあるけど、それはいいわけで、ほんとうは小説を書くのが怖かったんだろうなあと思います。でも、先生方や皆さんのことばを聞いてふと、また書いてみようかな、と思えました。
研究
4月からは、大学院へ進学をします。でも、なぜか文芸じゃなくて芸術学、歴史遺産分野で…。苦手な日本史の知識が必要だし、くずし字は読めないし、論述が苦手なのになんでそんなことしちゃったんだろ。
それに卒業制作展で見た芸術学領域の先輩方の論文や、歴史遺産コースの卒業生たちの卒業論文がすごすぎて、正直「これはまずい」と思ってしまいました。どうしよう、こんなのわたしに書けるのかな?
でも、分科会のあとで先生方とお話ししていると、なんとなく方向性がみえてきたように思い、がんばろうと力が湧いてきました。
研究で学んだことも、ぜんぶ小説にしていこう。そう思ったらちょっと楽しみになってきました。
というわけで、わたしは、
大学を、卒業しました!
最後までお読みいただいて、ありがとうございました!
▼関連note
ドレスの仕立て屋タケチヒロミです。 日本各地の布をめぐる「いとへんの旅」を、大学院の研究としてすることになりました! 研究にはお金がかかります💦いただいたサポートはありがたく、研究の旅の費用に使わせていただきます!