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(小説集) 剣鬼悪辣

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よく分からん奇行短編小説と、連載長編小説です。 暴挙とも思われる事を書いてしまうが、それすら誰かの救いになるのなら、我悪辣の名の下に、太刀を振るう事鬼の如し、そういう事です。
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#長編小説

telecasterの夢の外-monologue-

telecasterの夢の外-monologue-

-いやさ、ずっと、あぁこれ、間違ったな、って思ってたのよ。だってそうじゃん。直人も理沙も、多分俺より才能とかあるし。

-妬んでた?いや全然、そんな事なくて、直人は文章書けるし。歌も上手い。理沙だって美人だし、2人ともすごくいろんな人に知られてる。だろ?そんな事良いんだけど。俺はそうでもないし、そんな堂々ともしていられないし、そういうの俺の性分みたいなものなんだよね。

-間違った部分について?音

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telecasterの外の夢(5)

telecasterの外の夢(5)

今更意味が分かるなんて、そんなことは本当に辞めて欲しかった。いつだって僕は遅れている。止めることも遅れているし、怒ることも時期を外している。学校を休んだ日の翌日、授業内容は知っているくせに、理解ができなくなるように、僕はいつだってタイミングを逃すし、遅すぎるのだ。

拓は何日も部屋に帰ってこなかった。僕も理沙も大量のLineを飛ばしたが、拓はずっと既読スルーだった。

直人さん、拓がいないの。店も

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telecasterの外の夢(4)

telecasterの外の夢(4)

お疲れ。そう言いながら僕たちは飲み始めた。なんだか社会人みたいだ。もっとも、僕らはこの大衆居酒屋で同じように飲んでいるワイシャツ姿の男性たちとも、Tシャツ短パン姿の外国人達とも、そう年齢は変わらない。そして、一般的に言う、社会人ともそう変わらない。根っこを深く掘り下げれば、僕らに違いなんてない。大衆居酒屋はそういうちょっとした自意識の違いを、ソーダ水に混ぜて、飲み込んでしまう。夜にぽっかり空いたそ

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telecasterの外の夢(3)

telecasterの外の夢(3)

拓が変な事を言い出した。
2人で旅行に行こう、なんて言うのだ。拓と理沙はじゃなくて、拓と僕で。ちょっと気が触れたんじゃないかと僕は思った。
自分の休みを強引に作り、僕にその日休めと言わんばかりにその場でホテルを予約して、本当に拓は逃げられない状態にして、半ば強引に決めた。しかも、まさかの上野。日帰りで終わるその行程を敢えて無視して、ビジネスホテルの予約をとった。
理沙はもちろん不満顔だったし、僕は

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telecasterの外の夢(2)

telecasterの外の夢(2)

9月の初めに、理沙からlineが来た。少し、話が出来る?とそれだけ。僕は少し後ろめたい気持ちがしたが、ほぼ毎日会っているのに、二人では会えないというのもおかしな話のような気がして、良いよ、と短く返事をした。正直強がりだ。
最寄駅でも僕の部屋でも何でもなく、渋谷。東急百貨店の方向に、渋谷を避けるように歩く、渋谷。そこのコーヒーショップで会うことにした。

理沙は喫煙ルームにいた。居るだけで灰皿は置い

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telecasterの外の夢(1)

telecasterの外の夢(1)

見る気もないテレビを流しながら、コーヒーを喉に流し込んで、煙草に火を点ける。2DKの部屋に2人で住み始めて1ヶ月が経った。
拓の前では大っぴらに吸えない。拓もきっと同じで、僕がいない時にしか、出来ないことがある。
お互いの影に干渉しない。そういう小さい決まりを作ってやっと今完成しつつある。

扉の閉まる音が密かにした。拓はいつもマーチンを脱ぐのに時間がかかるから、まだ土間にいる。

おつかれ、どう

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