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【ライフスタイル】初めて次男と2人で歩いて帰ったある日の、秋が眩しかった話。

いつも小学校から電話の着信があるとビクッとする。
良い連絡は想定されていないからだ。

午前中の体育の時間は元気いっぱい走っていたものの、給食の準備が終わったとたん、次男の顔色は青ざめその場にしゃがみ込んでしまったらしい。

詳しい状況がわからない中、迎えにいった帰りにはかかりつけ病院に行ったほうがいいのか、そうなると、病院行きセットがいるな、お茶は新しいものを持っていこう、給食は食べていないと言っていたからお腹空いてるかな、などの思考をめぐらせ、一通りの準備をして迎えに行った。



青い顔をした次男は保健室で横になっていた。
私の顔を見ると少し安心した様子で起きることができた。

「30分前に給食を完食されています」

そう保健室の先生から聞くと、私の肩の力が抜けた。

食べるのが大好きな次男である。
食欲があるならひとまず安心。
いつも自分のお皿を空にしてから、ハイエナのごとくママパパのご飯まで狙っている彼。

しかし、まだ血の気が戻っていない状態でよく完食できたな、と安心・心配・ズッコケる気持ちが入り混じった奇妙な感覚を抱えつつ、先生にご挨拶。

「お母さんが来たからもう安心したかな。おうちでゆっくり休んでね。」



学校に迎えに行って2人で歩いて家に帰るのははじめてだった。
ありそうでなかった帰り道。

目線を足元におろすと、どんぐりや松ぼっくりがたくさん落ちている。
いつもは丁寧に目にとめることはなかったが、次男が観察するペースに合わせて眺めてみると、実に色とりどりの落ち葉が秋を演出している。

「来週の図工の時間にみんなで“秋見つけ”に行くの。どんぐりとか松ぼっくりとか。赤い葉っぱを拾って、それで僕はかんむりを作るの。だから、これ持って帰ってもいい?」

まだ青いどんぐり。細長いどんぐり。かさが取れてしまったどんぐり。丸っこいどんぐり。
割れてしまった松ぼっくり。赤と緑が半分こになった葉っぱ。ふさふさしてきたススキ。


ひと通り図工の材料を集めたあと、どんなかんむりを作るか、次男なりの説明を聴きながら手を繋いで歩いた。

あぁ、可愛い‥



朗らかな秋の午後、子どもと一緒に手を繋いで歩き、どんぐりを拾う。
小さくて柔らかな彼の手のぬくもりを噛みしめながら、この時を止めたい、そう強く願った。

時は止められない、と知りながら、静かに移ろいでいく流れの中に、大切な今を放していかなければならない。

幸せが持つ儚さの一面。

無常を受け入れながら、この瞬間を存分に味わいつくせるのも豊かさの一つなのだろう。

子どもたちが存在している奇跡から教わることは多い。



ススキの花言葉は「活力」「心が通じる」である。
自然が色鮮やかな変化で魅せてくれる季節。

日に日に大きくなる子どもたちと気持ちをぶつけ合いながらも、その心がたくましく育つよう、温かい時間を紡いでいきたい。



***

noteでは、ブログでは書ききれない想いを短いエッセイで綴っています。

・プチ栄養学
・おうちごはん
・ライフスタイル

の3つの視点から、子育てのことやちょっと役立つ栄養のお話、ママの働き方、将来に想うことなど自由に書いていきます。

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