見出し画像

2022年2月最新 Instagramの投稿表示アルゴリズムまとめ なぜか伸びる投稿が生まれる背景

Instagramの公式アカウントを始め、インフルエンサーのPR投稿をしていくなかで、MPが伸びる投稿と、思ったより伸びなかった投稿がケースバイケースで発生しており、何が要因で数値が良かったのか悪かったのかの分析に頭を悩ませる企業も多くなっています。

Instagramのユーザー数は2019年時点で3300万人と2010年から急激に伸びており、1人のユーザーが見るコンテンツ量も膨大な数になっています。

そんな中で投稿がユーザーに表示されるか否かによって情報の広がりが変わり、プロモーション効果にも直結します。

今回はFacebook社からリリースされている「Instagramの仕組みを解き明かす」の記事を考察して、どのような仕組みで投稿の表示がされているのかまとめたいと思います。

Instagramのアルゴリズム導入の経緯


2010年
Instagramリリース当時は、時系列にタイムラインに写真が流れてくる状態でした。この当時は特にアルゴリズムがなくてもユーザーがみたい投稿を見ることができました。

2016年
ユーザー数が1200万人を超え、シェアされるコンテンツが爆増。
ほとんどのユーザーは、すべてのコンテンツどころか、見たい投稿すら全部はチェックできなくなりました。

2016年には見られずに終わったフィードの投稿の割合は70%に達し、
親しい人の投稿についても、半分近くが見逃されてしまう状況に。

この状況に対応するため利用者の関心に基づいて投稿をランク付けするフィードを開発して導入したのが、Instagramのアルゴリズムの始まりとされています。

画像1

今回は「フィード・ストーリーズ」「発見タブ」「リール」の3種類の機能ごとにアルゴリズムについて言及されていたので、それぞれ考察していきます。(引用と考察で構成されています)

1.フィードとストーリーズのランク付け(投稿評価のアルゴリズム)


フィードとストーリーズが友達や家族などの親しい人のコンテンツを見るために利用されているという前提があります。

表示される投稿の優先順位1位はもちろんフォローしているユーザーの投稿が優先されます。

ただ親しいユーザーの半分近く見逃してしまう現状では、
それにプラスしてInstagramが定める数千個もの「シグナル」によって表示する投稿が決められています。

◆フィード・ストーリーズにおいて重要視されるシグナル(Instagramの説明文から「重要度に基づき」とあるため上から順番に重要だとすると①から順番に重要度が高い)


①投稿に関する情報

引用:”これには、投稿の人気度と、投稿に関する一般的な情報が含まれます。人気度は何人がその投稿に「いいね!」したかなどを含み、一般的な情報は投稿日時、動画投稿の場合はその長さ、投稿が関連付けられた地域などです。”

→「いいね数」「コメント数」「保存数」などの明確なENGは指標に含まれているため、フォローしているユーザーの中でも高いENGの投稿の方が表示されやすくなります。
ストーリーズにおいては、一番左に表示されるようになります。

投稿されている日時は最近の投稿が表示されやすいと考えられ、
コンテンツの長さに関しては、投稿を見るユーザーの普段ENGしている投稿の傾向が反映されているかたちです。

また、投稿のキャプションについても「Instagram検索の詳しい仕組み」にもあるように、Instagramで情報収集の対象となっているため、つけているハッシュタグやメンション、キーワードなどによっても、投稿の内容を収集し、投稿を見るユーザーへ最適化しています。

「一般的な情報」とあるため、具体的には投稿を見るユーザーに距離的にも時間的にも関係値が高い投稿が優先表示されると考えられます。

例えば北海道の地域が関連付けられた投稿は北海道に関する投稿をしているユーザーに表示されやすいなどです。

②投稿者に関する情報

引用:"投稿者に対するあなたの関心の度合いを表すシグナルです。直近の数週間で、あなたとその投稿者との間に何回やり取りがあったかなどが含まれます。"

→「直近の数週間」とあるため、長くとも直近1ヶ月以内のエンゲージメントが影響していると考えられます。

「やり取り」は投稿に対してではなく「投稿者」に対するものになるため、
DMでのやり取り以外にも、コメントでの返信やメンションやタグ付けなども含まれると考えられます。

③あなたのアクティビティ

引用:”あなたが関心を持つ可能性があるものがわかります。あなたが「いいね!」した投稿数などが含まれます。”

→関心を持った行動として「数秒間投稿を見る」「コメント」「いいね」「保存」「シェア」が挙げられるため、こういったENGをよくしているユーザーの投稿は優先的に表示されやすくなると考えられます。

また、「関心を持つ可能性があるもの」とあるので画像の内容や投稿文章の内容(ハッシュタグやメンション先、キーワードなど)によっても、表示の最適化が図られていると考えられます。


④あなたと特定の利用者とのやり取りの履歴

引用:”あなたが、特定の利用者の投稿にどれくらい興味を持っているかがわかります。これには、相手の投稿にコメントしたかどうかなどが含まれます。”


→②、③と近しい項目にはなりますが、「特定の利用者の投稿」とあるため、特定のユーザーの投稿に対して継続的にいいねやコメントしていたり、
何度もプロフィールを見に行くなどの行動もシグナルとして収集されていると考えられます。

これらの情報をもとにInstagramにて「予測のセット」が組まれ、投稿の表示順序の決定をしています。

そして、フィードで重視するアクションは以下の5つになります。

①投稿に数秒間の時間を費やす
②投稿にコメントする
③「いいね!」する
④保存する
⑤投稿者のプロフィール写真をタップする


引用:”ある投稿について、あなたが特定のアクションを起こす可能性が高く、さらにそのアクションの重み付けが大きい場合、その投稿はあなたのフィードに表示される可能性が高くなります。あなたが関心を持つものが適切にフィードに表示されるようにするため、シグナルと予測は時間の経過とともに削除または追加されます。”


とあるため、記事に記載されている順番に基づくと①から重要度が高いと考えられます。

SNSという特性上ユーザーの滞在時間が媒体価値に直結するため
「投稿に費やした時間」について評価が高いことは納得できます。YouTubeにおいても同様に動画の総視聴時間、再生維持率が重要視されており、
Instagramにおいても同様のアルゴリズムになっています。

画像2


◆フィード・ストーリーズにおいて表示されにくい投稿

・同じユーザーの投稿を連続で表示させにくくしている
(しかしストーリーズへの再シェアについては表示させている)

・コミュニティガイドラインに違反する投稿

・偽情報と判断されるコンテンツ
(Instagramの第3者ファクトチェッカーによって判別されている。主に感染症の話題やニュースなど)

2.[発見]タブのランク付け(投稿評価のアルゴリズム)

発見タブは馴染みのない新しいものに出会えるようにするためのものです。
ここに表示されるのは、それぞれの利用者のためにInstagramが探し出した、おすすめの写真や動画が表示されるため、大半がフォローしていないユーザーの投稿になります。

表示される投稿の優先順位はまず、過去に「いいね!」した投稿や、保存・コメントした投稿などのシグナルによって決められています。

そして、いいねした投稿に対して、他にいいねユーザーがどんなシグナルを持っているかを調べ、類似する投稿を発見タブで表示させています。

ただ、フィード・ストーリーズ同様に発見タブにおいても数多の投稿があるため、優先表示させるシグナルは以下の4つになっています。

◆発見タブにおいて重要視されるシグナル


①投稿に関する情報

引用:"投稿の人気度を測ります。どれだけ多くの利用者が、どれだけ素早く投稿に「いいね!」またはコメントしたか、あるいは投稿をシェアまたは保存したか、などがシグナルとなります。[発見]タブでは、こうしたシグナルは、フィードやストーリーズの場合よりもはるかに重視されます。"

→発見タブでは新しいものに出会えるようにする目的で運用されているため、人気で質の高いコンテンツが優先表示されています。

特に「どれだけ素早く投稿にENGしたか」に関しては、投稿されてから数時間以内に獲得したENG数が多ければ評価も高まると考えられます。

また、シェアや保存もコンテンツの質が高くなければ発生しないアクションのため重視されていることは納得できます。

②あなたと投稿者とのやり取りの履歴

引用:"ほとんどの場合、[発見]タブに表示されるのは知らない人の投稿です。ただし、ある投稿者と過去にやり取りがあった場合、そのことが、その投稿者の投稿に対するあなたの興味を推し量る判断材料になることがあります。"

→こちらは発見タブの場合あまり影響はない部分と考えられますが、直近1ヶ月以上過去にやり取りをしていた場合に、そのユーザーが人気投稿をした場合に優先表示される可能性があります。

③あなたのアクティビティ

引用:”あなたがそれまでどのような投稿に「いいね!」、保存、コメントといったアクションを取ってきたかや、[発見]タブの投稿にどのような反応を示したか、などのシグナルが含まれます。”

→過去のENG投稿の傾向を収集しているということですが、「どのような投稿に」の部分で、投稿の写真や動画の内容、投稿文章のキーワード、ハッシュタグ、メンション、位置情報などを複合的に判断していると考えられます。

画像認識のシステムやキーワードマイニング、ユーザーがよく使うハッシュタグなどをビックデータ化して最適化しているかたちが想定されます。そのため、コスメに関心の高い女性の発見タブにはコスメやサロンの投稿が多くなり、反対に男性ユーザーには表示されにくいなどが発生しています。

④投稿者に関する情報

引用:”直近の数週間で、その投稿者と他の利用者との間に何回やり取りがあったかなどのシグナルが含まれます。魅力的なコンテンツを投稿している人を、多種多様な投稿者の中から探し出すのに役立ちます。”

→やり取りはDMなどのユーザー同士のコミュニケーションを指すと考えられますが、コミュニケーションが盛んであることと魅力的なコンテンツを投稿しているかどうかはそれほど相関関係がない印象です。

ただ、特にストーリーズなどで反応としてDMを受け取っていたり、質問返しなどを行っているアカウントは、ユーザーのInstagramの滞在時間を伸ばす行動をしているユーザーと判断され優先されていることをこの項目では表していると考えられます。

画像3

◆発見タブにおいて表示されにくい投稿

おすすめに関するガイドライン に抵触するコンテンツは表示されにくくなっています。

このガイドラインに直近で違反している場合や、繰り返し違反しているアカウントも発見タブに表示されにくくなっています。

特にインフルエンサーに多いのは

”透けた服を着ている人の画像など、性的に露骨な表現や性的な内容を示唆するコンテンツ”

にあたる投稿をしている場合にInstagramのアルゴリズム的にガイドライン違反になっている可能性があります。

俗に「シャドウバン」と呼ばれている現象はおすすめに関するガイドラインの違反によって引き起こされており、冒頭に記載した親しい人の投稿も半数近くが見られていない状況下においては、いつも同じ人達に見られておらず、ガイドライン違反をするアカウントは優先表示されなくなることから、急激にIMPが落ちる現象が起きています。

このことに関してはInstagramも改善の取り組みをしていると発表されており、ガイドライン違反した場合に具体的なフィードバックを送る仕組み作りを進めている様子です。

ただ現状はガイドラインに違反していてもユーザーが把握することができないため、「なぜか最近IMPが伸びない」というインフルエンサーも増えています。

3.リールのランク付け(投稿評価のアルゴリズム)

リールの目的は、見て楽しんでもらうこと、とされています。
発見タブと同様にフォローしていないユーザーが大半で表示されていきます。ただ、発見タブと異なる点は「楽しさ」を重視していることです。

Instagram独自にどんなリールが楽しいと感じるのか調査をしながらアルゴリズムを組んでいます。

そのため楽しい動画であればフォロワーの少ないユーザーも表示するような仕組みなっています。(フォロワーが少なければ、ENG数も少なくなりますが別の評価軸で表示される可能性がある)

リールの評価ポイントで重要な項目」は以下の4つです。

①リールを最後まで見る
②「いいね!」する
③「楽しかった」または「面白かった」とコメントする
④音源ページに移動する(自分のリールを作ってみたいという刺激を受けたことを意味します)

◆リールにおいて重要視されるシグナル

①あなたのアクティビティ

引用:”あなたが最近「いいね!」またはコメントをしたり、アクションをとったりしたリールを調べます。これらのシグナルを参考に、あなたとの関連性が高そうなコンテンツを把握します。”

→発見タブ同様の内容になっています。

②あなたと投稿者とのやり取りの履歴

引用:”[発見]タブの場合と同様、表示されるのは知らない人が作成した動画です。ただし、ある投稿者と過去にやり取りがあった場合、そのことが、その投稿者の投稿に対するあなたの興味を推し量る判断材料になることがあります。”

→こちらも発見タブ同様になっています。

③リールに関する情報

引用:”動画内のコンテンツに関するシグナルです。解像度やフレームレートなどの動画に関する情報、音源、人気などが含まれます。”

→動画の内容に関する項目になっており、解像度やフレームレートなども記載されているため、見やすい動画の方が評価が高まることが分かります。

音源についても直近で多くの人が使っている音源は投稿を見たユーザーが同じ音源を使って投稿を作ることにもつながるため、流行りの音源を使うことで優先表示されやすくなると考えられます。

「人気」については前述の「フォロワーが少なくても表示される」という仕組みから、動画の再生数や再生完了率も評価に入ると考えられます。再生数が高く最後まで見られている動画は優先表示されていきます。

④投稿者に関する情報

引用:"投稿者の人気度は、魅力的なコンテンツを投稿している人を多種多様な投稿者の中から探し出し、あらゆる人にオーディエンスを見つけるチャンスを提供するのに役立ちます。"

→「投稿者の人気度」はリールにおいてはフォロワー数というよりもInstagram的に高いクオリティのコンテンツを多く投稿しているユーザーと言えます。そのためリールのアルゴリズムから良い評価を受けている投稿を継続的に出していくことで人気度が上がり、より多くの方への拡散が見込めます。

画像4

◆リールにおいて表示されにくい投稿


発見タブ同様におすすめに関するガイドラインに抵触する投稿は表示されなくなっています。

その他
・解像度の低い投稿
・政治的な問題を扱ったリール
・政治家、政党、政府関係者またはその代理が作成したリール

などもおすすめの対象外となっています。

4.Instagramアルゴリズムの今後とプロモーション活用

ランク付けのテクノロジーに関してInstagramも改善を繰り返していくと記載されていますが、「大切な人や大好きなことと、あなたを近づける」という理念に基づく運用をされていくと考えられるので、

スクリーンショット 2022-02-18 4.28.35

TikTokのようなランダム性が含まれるアルゴリズムからはよりユーザーの過去の行動や似たような趣向を持つユーザーが、関心のあるコンテンツなどをレコメンドしていく仕組みになっていくことが予想されます。

企業や広告代理店においては、
・アルゴリズムに適していないインフルエンサーは起用しない
・ターゲットユーザーがいま何に関心が高いのかを把握する
・ターゲットユーザーがよく使うハッシュタグやキーワードを把握する
・その上でインフルエンサーごとに適したクリエイティブ、投稿文章設計をする(公式アカウントにおいても同様)

などを考えていくことが求められていきます。

KAIKETSUでは各種SNSのアルゴリズムの研究を行いながら、プロモーションを最適化する分析ツールやメソッドの体系化を進めています。


参照元URL:

https://help.instagram.com/313829416281232

https://about.instagram.com/ja-jp/blog/announcements/break-down-how-instagram-search-works

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?