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Fry me to the Eurasia【エッセイ】

Fry me to the Eurasia【エッセイ】

中学生のころ、椎名誠の「インドでわしも考えた」を読んだ。強い衝撃を受け、インドに行きたい欲がふつふつと湧き、高校の時には休み時間に「地球の歩き方 インド編」を読んでいる変なJKになってしまった。
インドの文化や風習に惹かれるなか、隣国のネパールにも興味が湧いてきた。そもそも山が好きだったので、ヒンドゥー文化圏のネパールで、ヒマラヤを眺めるのもいいかも、と思い始めた。
ネパールのことを調べはじ

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冬来たる【ただの日記】

冬来たる【ただの日記】

#2000字のドラマで賞を頂いて 、地元の新聞社の短編小説賞に送る小説を書き上げたら、なんだか文章を書くことから遠ざかってしまった。気づけばもう12月である。
私は普段、会社で下働きパートタイマーとして雑務をしている。月の変わり目にカレンダーをビリビリと破いて、日程表のホワイトボードを一新するのも私の仕事のうちだった。いそいそとその業務をこなす私を見て、上司が「もう年末だねえ」とため息をついてい

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頑張れよ私、日本を旅してる場合では【エッセイ】

頑張れよ私、日本を旅してる場合では【エッセイ】

地元の新聞社の短編小説賞で一席を取ったことは、親戚中に大きな波紋をもたらした。
お祝いの言葉や品々や作品を朗読したCDを頂くなど、なんとまあ嬉しいことの連続だった。

次作は何を書こうかしらん、note創作大賞に応募したいし、どんな話がいいかな……。などと練りまくっているうちに、締切を過ぎてしまった。なんたる不覚。
しかし今は、在住している地方の地域紙の文学賞に応募する作品を書いている。失

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かすみ草の花束はケータイ小説から【エッセイ】

このタイトル、アラサー女性には刺さってくれるだろうか。

私が中学生のときに、推しも押されぬケータイ小説ブームが訪れた。
まだパカパカのガラケーで、センター問い合わせに命をかけ、前略プロフィールを持っていた時代である。ケータイ小説とはその通り、SNSのような小説投稿サイトへ投稿された、ガラケーをぽちぽちして書かれた小説のことだ。
そのケータイ小説ヒエラルキーの中で、圧倒的トップに立ってい

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午後二時のトランス【エッセイ】

午後二時のトランス【エッセイ】

「ただいまから、防災設備点検を致しますので、音楽が流れます……」
ただでさえ眠い昼過ぎ、そんなアナウンスが会社のビルに流れた。そういえば、そんな回覧がまわっていた気がする。サイレンとかが鳴るのかな、と身構えていたが実際に流れたのは優しげな鳥の鳴き声だった

ピチチチ…カッコーカッコー…ピチュピチュピチュピチュ…カーカー

懐かしい音たちだ。私の実家は、山の中ではないにしろ畑や林が点在する田舎に

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短編小説の夜【ただの日記】

短編小説の夜【ただの日記】

地元の新聞の短編小説賞に応募する作品が、やっと書き上がった。
ずっと通勤のバスの中でスマホに書いていたので、Wordに起こさなくてはならない。しかし、家にパソコンはあるが、Wordがない。
そこで近くの快活CLUBに行くことにしたが、いかんせん子どもがいる身なので、自由に動くことはままならない。そこで、子どもが寝てから夫に留守を預けて行くことにした。

まず難儀したのが、ページ設定である。

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工業高校でJKでした①【エッセイ】

工業高校でJKでした①【エッセイ】

タイトルの通りです。
約十年前、私は田舎の工業高校の情報系の科を卒業しました。
工業高校にどんなイメージをお持ちですか?
よく言われるのは、ヤンキーとオタクの巣窟。だいたい間違いありません。少しだけ訂正すると、ちょっとやんちゃっぽい人とオタクの巣窟って感じです。時代的に、THEヤンキーよりも腰パンで財布チェーンでワックスで髪の毛ツンツンウェーイ族が主流だったので。
もちろん女子は少なかったで

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その世界で私はウマを食べるのか【たべものエッセイ】

その世界で私はウマを食べるのか【たべものエッセイ】

夫は最近ウマ娘にハマっている。
「ウマ娘の世界って、馬の代わりにウマ娘が存在してるの?」
私の問いに、夫は画面から目を離さず「そうじゃない?」と適当な相槌を打ったが、「残念、じゃあその世界には馬肉が無いんだね」という不穏な付け加えには、「当たり前でしょう」と顔を上げて答えた。
私は絶対そんな世界には生きられない。

馬肉と言えば熊本や長野が全国的には有名だろう。
ただ、私が生まれ育った町も

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