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シェルに学んだシナリオプランニングの奥義①:予測できない未来に対応するには?シナリオ作成時のルールについて

読書ノート(101日目)
さて、本日からは
こちらの本を紹介してみます。

シナリオプランニングは
VUCA時代で未来は予測できないものの
想定できるシナリオを複数考えることで
事前に備えておこう
、というそんな手法

僕がシナリオプランニングに
興味を持ったのは、今年最初に読んだ
こちらの本がきっかけでした。

本業での、来年度の経営戦略や
事業戦略を立てる際に役に立つ
考え方になるはず!
ということで3月の読書テーマは
「データ分析」関連としたものの、
この本を読むことを優先しました。

シナリオプランニングとは
「未来の展開を現時点で正確に予測することは本来的に不可能」とするが、
「分からないから考えない」ではなく、
「可能的未来を複数想定し、それぞれ異なる未来世界に
 組織と事業を置いてみて、現時点で打つべき手を考える」
という手法

・シェルのシナリオプランニングのルール
「どの未来も同じ確率で現れると想定すること」
(どの未来が"最も出現しそうか"という方向では考えない)

■シナリオ作品の見本
 英国政府の依頼により諮問機関がコロナ禍での4つの未来シナリオを作成
・シナリオの射程は今後の12カ月から18カ月
・4つのシナリオの前提は、いずれも、コロナ禍は当面収束せず
 今後の12カ月から18カ月以内にも新たな変異株が流行するだろう、
 という共通の予想に基づいて作成

・その後、作成されたシナリオは4つ
①「想定可能な最良シナリオ」
 
次の変異株はワクチン効果・感染力・重症度に現状と大きな変更はない
②「楽観的シナリオ」
 
脅威を持つ新たな変異種が出現し季節的な流行が発生
③「悲観的シナリオ」
 
新たな変異株は過去に形成された免疫をすり抜け
 感染力も現状のものより強い
④「想定可能な最悪シナリオ」
 
発展途上国でワクチン接種が進まない等を理由に、結果として
 多様な変異株が出現し続ける。ワクチン開発が変異スピードに
 追い付かず、強い毒性と高い感染力をもつ株が出現する

・4つのシナリオはいずれも因果関係をたどって説明されるが、
 その因果のロジックは4つの各シナリオごとに敢えて違えてあり
 かつ、そこに出現確率を割り当てていない
「4つの未来は同等の確率、同等の確からしさをもって取り扱うべき」
 
という立場が貫かれている

・仮に楽観シナリオの出現確率は60%と定義すれば、
 英国政府も国民も、楽観シナリオを英国社会の将来と受け取ってしまう
 それでは4つのシナリオを用意した意味がない
・「出現確率」を出すことは、未来のリスクは、過去の出現確率から
 計測可能との考えの現れ。そもそも、シナリオプランニングをする際に、
 未知の事象に対しどこまで過去の事象が適用できるかは不明としたはず

・用意するシナリオの数は偶数にする
 シナリオ数を仮に4つでなく3つにした場合、楽観・中道・悲観シナリオの
 うち、中道シナリオを英国社会の将来だと、英国政府も国民にも
 受け取られかねない。意図しない誘導を避けるためには
 2つもしくは4つの偶数個のシナリオを示すべき

・シナリオ作成では、不確実性の高さ影響度の強さが大きい未来事象が
 何かを考えると良い

・シナリオプランニングの際に必要なシステム思考
・各要素がそれぞれの目的(存続)に向けて、
 相互に繋がりや影響力を持ち動いている
・世の中はフィードバック・ループ・プロセスの集合体と考える。
 成長している何かは、その成長をドライブする自己強化型フィードバック
 ループをがあり、最終的に成長を制約するバランス型フィードバック
 ループの両方が存在すると考える。永久的に成長し続けるシステムは無い

シナリオプランニングを考える際の
特徴が少しずつ見えてきました。

シナリオプランニングで考える際は
これらが共通の特徴なのかな?と思い、
現時点での考えを少し整理してみました。

・大前提の考えとして「未来は過去の延長線上にはない」とする場合に
 シナリオプランニングの手法が有効となる
 (その際、過去データから統計的な未来予測はしない)
・シナリオは偶数個パターン用意する
 (奇数だと中間シナリオが暗に出現確率が高いと思われてしまう)
・想定するシナリオはどれも同じ出現確率と捉える
・希望的な予想はせず、各要素の不確実性と影響度の2つから
 未来のシナリオを楽観・悲観の両方の視点で想定する
 (→不確実性と影響度の2軸マップで示すと視覚的に分かりやすそう)

人は「自分が見たいものを見てしまう」
という「確証バイアス」があることから
想定するべき未来を
時に楽観視し過ぎてしまう…

シナリオプランニングではあえて
悲観的なシナリオを考える。
それも楽観シナリオと同じ確率で。
という点が、今日の学びでした。

事実を事実としてバイアスを
除去して受け止めるという点は、
「ファクトフルネス」(2019年出版)とも
通じるものがありそうです。


次回以降はより具体的に
・シナリオプロジェクトの使い方
・プロジェクトの進行手順とポイント
・アプローチとフレームワークの選択
・ファシリテーションの技術

あたりを紹介予定です。

それではまた明日ー!😉


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