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現状の打開策を自分なりに考えてみた

現状の乳価、もしくは価格改定後の乳価で乗り切るには、飼料代を極限まで引き下げることと飼料の確保と牧場が抱えられる適正飼養頭数にしていくこと。
そのデメリットは飼料代を引き下げても、最低限の生活費を捻出できるかどうか。償還や借り入れの返済額によっては飼養頭数を減らすことができない。(補助事業や借金をする条件として将来的な増頭、出荷乳量の増加を計画して約束する場合があるから)

キーワードは「つながる」と「集める」

迅速な対応は上記の通りでしかないが、今後アメリカがスーパーインフレになるかもしれない背景を考慮すると欧米からの輸入飼料の相場は上がり続ける。加えて今後もロシア、ウクライナの穀物市場の危機的状況で輸入できない状況となれば現在の輸入に依存している国内の酪農スタイルを大幅に変えていかなくてはならない。
前提として国や市町村からの援助、支援は受けないものとする。企業との連携は可。

中長期的戦略

  1. 中央機能集約牧場の拠点づくり

  2. 新たな流行と購買意欲、魅力的な商品づくり

  3. 経営の大規模な方向転換

  4. 作物飼料流通のプラットフォームをつくる

  5. 小規模乳業工場の設立

1 中央機能集約牧場の拠点づくり(スマートファーミング)
これは国内での事例も多数ある。作付から収穫までの請負業者コントラクター事業と牧場内の作業代行の酪農ヘルパー事業、それから子牛や育成牛を預かる預託事業。これらを総合して運営される団体企業。簡単に言えば酪農のなんでも屋さん。これを私は中央機能集約牧場と仮称している。

事例としては北海道にいずれも拠点を置く企業だが酪農業界の慢性的な人材不足、労働力不足、酪農家の省力化を測り最大効率での乳生産を可能にしている一因でもあると思う。

私が考える中央機能集約牧場は都府県の場合1拠点に集約するのではなくいくつかの傘下組織にする必要があると感じる。子牛の預託についても離農した空き畜舎を改装利用しホルスタインと和牛の哺育、育成管理をするほうが良い。リスク分散とマネジメントの簡易化のためだ。コントラクター事業も同様に新品の機械ばかりを揃えるのではなく中古の農業機械も集め、整備、修理ができる環境のほうがよい。オペレーターの雇用も実務経験がある人間を配置したほうがよいと思う。もちろん市町村や国との官民連携のほうが出資の負担が減るだろう。

2 新たな流行と購買意欲
流行やブームとは無関心層の生活にも食い込んでくるもの
また未体験、新発見の要素を多く含むサービスと商品を提供し続けることで消費者の購買意欲を落とさない。ソフトクリームスタンドやミルクスタンドはこれからの時代の走りだと思う。

ソフトクリームスタンドという
新たな形の店舗の可能性を感じる。

乳製品に関しても従来のパック詰め牛乳の消費に依存するのではなく新しい商品づくりやベースとなるクリームなどの開発を乳業と組んで取り組むべきだろう。牛乳は米やパン、卵のように様々な食品と組み合わせると相性がよいという性質があり生クリームやアイスクリーム、バター、チーズなどの多様な加工技術がある。新しい乳製品の可能性は未知数だと思う。

3 経営の大規模な方向転換
現在は取引乳価を毎年交渉している牛乳業界だが、新たな付加価値を模索するためには生乳自体の品質や種類の多様化が必須である。
牧場もホルスタインに限らず、ジャージー、ガンジー、水牛、ブラウンスイスなどの専門牧場が増えても良い気がする。飼養管理が安定して生乳価格自体が担保されてるがためにホルスタインを多頭飼育するスタイルよりも、小さく多様な経営スタイルがあっても良い。昨今ではサステナブルエナジーの観点から小規模放牧酪農が注目されているが、これからの酪農経営は大量生産に特化するよりも特質化した経営が求められ、ベンチャー感がある牧場が勝っていくかもしれない。市場価値もそれによって変動していくだろう。

4 作物飼料流通のプラットフォームをつくる
前述のコントラクター事業と並行して収穫した作物の流通事業を立ち上げる必要がある。各牧場の飼料必要量の管理と予約、支払い管理や買い取り価格など国内でのデントコーン、牧草ロール、子実コーン、ホールクロップサイレージなどの飼料作物の販売流通のネットプラットフォームの設立。米農家や畑作農家との連携で堆肥の販売還元や藁ロールの流通にも使えるだろう。そのためにはコントラクター事業から一歩踏み込んだ大型トラックでの配送サービス、農業機械の運搬などもやる必要がある。

5 小規模乳業工場の設立
現在の牛乳の出荷は組合に依存したシステムになっており、決まった乳価での取引が約束されている。また乳価が安いので牛乳を高く買ってくれる乳業団体(MMJなど)に移籍する農家も近年の増えています。そういった酪農家は組合を抜けなければいけないため、一般にアウトサイダーと呼ばれています。
前述の経営の方向転換から、多様な種類の牛乳が生産されることと酪農家が出荷する牛乳を副収入に転換する場合、500kgまで個人消費できる決まりがあるためにその牛乳を民間小規模乳業を設立して製品化し販売する仕組みを使えば酪農家は実質ふたつの収入経路(販売経路)を持てるようになる。
これが可能かは定かではない。

あくまで私が考える打開策は個人的な策ではなく、地域、企業、複数件の酪農家、畜産農家を巻き込んだ包括的なネットワークがなければ成立しない。
また雇用問題、出資や財源についても検討してかなくてはならない。
企業的な運営が求められるため、様々な規模、経営形態の自営業者がほとんどの酪農家に受け入れらるかは未知数である。

現実的に考えて国内のコロナ情勢と異常な物価高による消費低迷は酪農家にはどうしようもない問題であり、世界情勢の安定は必須事項であり、国内でも経済と消費動向が回復しなければ離農にストップはかからないだろう。
説明は下手だがこんなところではないか。

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