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『今日も売り上げがなかったらどうしよ…』と毎日ビビっている家電販売員へ

沖縄で『営業』と『教育』に注力しているTAISHIです。

今回のnoteは、家電販売員をやっているときの自分に向けてメッセージを書きます。

『今日も売り上げがなかったらどうしよ…』
これが出勤前の思考ルーティン。
会社に向かう途中、必ず考えてします。
『賈う人に声かけられたら良いな』というラッキーパターンも同時に想像する。
毎日、まいにち出勤するたびに考えて落ち込んだまま売り場にでて結果が出せずに1日がおわる。

このnoteは実際に全国チェーン展開で有名な家電量販店で経験したこと、営業している人なら誰もが知っている当たり前のことを書いていますが、今でも知らないまま家電販売員を続けている方に読んでほしい。

『家電販売員』は担当する『家電の知識』はあたりまえ。そのことは何となく知っていました。

でも『販売員として売ることもあたりまえ』とは考えもしませんでした。
そんなことも全く知らないで苦しんで悩んでいた自分に向けて、自分と似た誰かに向けても書いています。

21歳で家電販売員になる

初めての転職。
選んだきっかけは、
1.たまたま求人誌に掲載されていた
2.企業名を知っている
3.安定していそう
4.電化製品は身近だし好きな方
5.お給料がそれなりに良い
本当にこれだけの理由で面接に応募。
いまでも覚えている質問は『転勤があっても大丈夫ですか?』
即答で『大丈夫です!どこでも行きます!』と勢いよく返事をした。

担当するのは黒物家電

黒物(くろもの)家電はテレビやレコーダー・プレーヤー、オーディオ全般を担当。
白物(しろもの)家電はエアコン、冷蔵庫、洗濯機や美容・理容関連を担当。
他にもPC担当やおもちゃ担当などがある。
(当時の呼び方&エリア分けです)

新入社員は商品の品出しや担当商品の勉強が中心で黒物家電の場合は展示されているテレビやレコーダーを操作しながら各メーカーさんの強みを学んでいく。
メーカーの営業担当者も頻繁に売り場に出入りしているので、おすすめ機能や他者との違いをそれぞれの営業担当者から聞くことができる。
また、店舗の営業終了後にはメーカーさん主催の新商品の勉強会などもやってもらった。

『地デジ』がスタートしたばっかり

当時は『ブラウン管テレビ』から地上デジタル放送対応の『液晶テレビ』に切り替わるとき。
四角い箱型の重たくいテレビから薄くて映像も綺麗なテレビに買い替えようとするお客さまが多かった時代。
初期型の液晶テレビは32インチでも20万円ぐらいするものばかり。
65インチクラスになると余裕の100万円越え。
ブラウン管テレビの大型のものでも10万円前後で手に入っていたので液晶テレビとなるとかなりハイスペックです。

ただ、大変なのは別にありました。
『液晶テレビを自宅にそのまま設置しても映らない場合がある』ということ。

騙された!ウソをつかれた!と大クレームの電話

液晶テレビに買い替えを検討しているお客さまへご説明をして商品決定。配送の手続きやお支払いを済ませる。配送する日程はだいたい1週間から10日ほどで受付をしていたので問い合わせがあっても数日経てばどのお客さまかは忘れてしまします。

そんな中、1本の電話。
そうとうなお怒りで『テレビの担当者を今すぐだせ!』と言われていますと受付から無線がとぶ。
売り場にいるテレビ担当者全員が無線を聞いているけど、誰も反応しない。
(お客さまの電話は保留のまま)
管理職から受付担当へ『レシートから担当者きいてみて』と返しの無線がとぶ。
(しばらく無線が返ってこない)
『レシートの担当者は○○さんだそうです。本日は出勤していますか?』と受付からの無線がとぶ。
『はい。います。でんわとります。』
(自分以外のテレビ担当者全員が安堵したのがわかる)

原因は屋上に設置されているアンテナが古いこと、そしてお客さまの地域ではまだ地上デジタル放送対応の電波が受信できないことだった。
午前中に受けたお客さまの電話対応でしたが、各機関への問い合わせやアンテナ工事業者とのやり取りで原因が分かるまでに2日かかりました。
もちろん、お客さまの液晶テレビは返品対応。

担当者として『知らなかった!』ではいけないんだなと実感した経験。

入社して1ヶ月後には県外への転勤が決定

同期メンバー全員が香川県の新店舗に転勤することが決定した。
移動して2週間ほどはホテル滞在。その期間で入居先の住所や必要な手続きを済ませる。新店舗はオープン前で店舗ストック商品の搬入やメーカーさんと一緒に陳列することからスタート。自分で売り場を作っていくような感覚で新鮮だった。

個人の売り上げ成績は底辺付近をウロウロ

従業員の事務所にはグラフが貼られている。
個人名と売り上げ数字がすぐに分かるようになっていて、毎月1日は全員が真っ白な状態からスタート。1日の終わりに売り上げた数字の分だけ赤ペンで塗りつぶしていく。
会社としては、土日や祝祭日には特選チラシやおすすめ商品などをピックアップしてお客さまの来店を後押しする戦略をバンバンやってくれます。
それでもその月の最初の土日を過ぎたあたりからあのルーティンがはじまる
『今日も売り上げがなかったらどうしよ…』と。

結果として、家電販売員のときには良くても真ん中少し上ぐらいの売り上げでした。その原因は何であったかと、今となって振り返ればかなり単純です。

無線で聞かれるのは『声』をかけたかどうか

レジの打ち方、配送手続きのやり方、発注の仕方、端末の使い方は最初にぜんぶ教えてくれる。
でも『売り方』はだれも教えてくれない。
そして『売り方』を学ぼうとしない。
担当する売り場にお客さまがいる場合、『だれかお声かけした?』と無線がとぶ。『お声かけ』とは家電販売員がお客さまに対して『なにかお探しですか?』『気になることはありますか?』と声をかけたかどうか。

もしこの時にお客さまの傾向や男女別で商品を見に来ているときの特徴などが分かればもっと別のお声かけができたかもしれない。

たとえば、『ご夫婦』の場合

『ご夫婦』または『ファミリー』で来店されていれば1人で来店するよりご成約になる確率が高い傾向があるよ。
という情報があれば、『新築引越しでお買い替え』なのか、『ブライダルで家電を選びに来ている』のか、それとも『2台目とか子ども用に家電を探している』などの質問も考えることができる。

たとえば、PCコーナーで『女性1人』の場合

女性の方が1人でPCを見ているときは『見ため』から入る傾向があってその後に『商品のこと』を聞かれることが多いよ。
という情報があれば、最初のお声かけは『どのようなものをお探しですか?』ではなく、『コンパクトで軽いので女性にも人気ですよ』だったり、『カラーバリエーションも豊富ですのでかわいいですよね』かもしれない。
その後、使用する環境について話をしていく展開をイメージすることができる。

たとえば、白物コーナーで『男性1人』の場合

洗濯機や冷蔵庫の見ているサイズが大きめだと金額や性能比較をしている可能性が高いよ。
という情報があれば、古くなってきているから『お買い替えを検討中』なのか、家族が増えるから『サイズアップを検討中』なのか、今使っているものが壊れたから『急いで探している』のかどうかなどを質問準備ができる。
また、メインで使う人は『買いにきた人』かそれとも『奥さま』なのかを質問することで『即決』か『再来店』かをイメージすることもできる。

『売れる販売員』=『商品知識がある人』ではない

このメーカーさんは動きに強いのでブレがないのが特徴で・・・
このメーカーさんはスピーカーに力を入れていて・・・
このメーカーさんは・・・

お客さまに『どれが1番良いの?』と聞かれて各メーカーの特徴をぜんぶ説明されてもお互いにもったいない時間を過ごしてしまう。

お客さまの聞いた『どれが1番良いの?』という質問と家電販売員の考えている『1番良い』はズレている時がほとんど。

お客さまの頭の中には家の中のイメージがあって、その家電を置く場所またはすでに置いている場所があって、それをよく使う時間帯や使用頻度などが含まれた状態で『我が家の条件に合う1番良いのはどれなの?』と聞いている。

対して家電販売員の頭の中は、いまこの店頭に並んでいるものの中で人気のサイズとお値段でしたらという状態で、『これが1番売れています』と言ってしまう。

このやりとりを続けていても『売れる販売員』にはならない。
もちろん、商品の知識は必要。ただ、商品知識が豊富な人が必ずしも売れる販売員ではない。

『他者より安い』から売れるわけではなくて『質問上手』だから売れる

『これいくらまで値下げできるの?』
お声かけしたお客さまの第一声がこれになることも多い。
その時の対応で多いのが『他社さんではおいくらでした?』と値段を聞いてしまって金額勝負をしようとすること。
バックヤードに行って、ネットや競合店舗の価格確認、値下げ幅やポイントのやりくりをして戻ってくる。
『うちでしたらこの金額にこれだけポイントつきますよ』と。

そこで決めてくれるお客さまもいらっしゃればそうでないお客さまがいるのもまた事実。『わかったぁ〜』といってお帰りになることも。
きっとそのお客さまは競合店でも同じやり取りをするかもしれないし、しないかもしれない。また来店されるかもしれないし、もう来ないかもしれない。
お客さまとお話ししたのは金額のことだけ。ご成約になればラッキー、そうでなければアンラッキー。期待するぶんだけがっかりする気持ちも大きくなる。

そこでしっかり、お客さまの頭の中にあるイメージを聞き出すことができれば別の提案をすることができるかもしれない。
もしかしたらお客さまの頭の中には『この商品しかない!』と決めつけて他の商品が見えなくなっているのかもしれない。

お客さまの求めているものを聞き出せて、最適な商品のご提案ができれば以外にも単価アップすることがある。
『エッ!そうなの?知らなかった!じゃあこの商品よりも値段が高くなるけど、絶対こっちの方が良いじゃん!』と言われて、お礼まで頂戴して、単価アップ。

お客さまの頭の中にある使用するイメージをどれだけ家電販売員が汲み取ることができるかが大切。
そのためには的確な質問力が必要。
お客さまと家電販売員のイメージがバチっ!決まった時には『それでしたらこちらのメーカーさんの商品が・・・』と提案できて商品知識が活かされる。

『想像させる』ことで使用しているイメージがリアルになる

メリットのさきにある『ベネフィット』を伝えることでお客さまにリアルに想像してもらう。
『このカメラ、手ブレ補正がついているんです』
『このPC、バッテリーが大容量なんです』
このままだとただの商品説明、この先にある『だから〇〇なんです!』をどれだけ伝えられるかがリアルな想像につながる。

『このカメラ、手ブレ補正がついているんです。だからお子さまの運動会やスポーツ大会でも上手に撮れるんです!大切なお子さまの一瞬のシーンを末長く綺麗に保存することができるんです!』
『このPC、バッテリーが大容量なんです。だからご自宅ではもちろんのこと、外出先でも電源を気にすることなく作業することができるんです!外出先でわざわざ電源のあるところを探す時間も節約できるんです!』

『メンタルリセット』ができなければ負のスパイラル

どんなに売り上げが良いトップセールスでも数字が落ち込むときはあります。
その落ち込みを引きずらないからまた売り上げにつながるんです。
落ち込んでいる時にやっかいなのが『本人は気づかないところでお客さまに影響を与えてしまっている』ということです。

お客さまが感じることとしては『なんだか自信がないようにみえる』です。

声がなんだか小さい
猫背ぎみになってしまっている
ハキハキしていないように感じる
表情がなんだか暗いようにみえる
こっちまで不安になる

お客さまは耳だけで説明を聞いているわけではなく、視覚からも情報を仕入れています。そして落ち込んだままの人は自分の気づかないところでお客さまを不安にさせてしまっています。
お客さまはその『なんとなく』を肌で感じとります。
結果として『売れない』につながります。

落ち込んだままの気持ちをズルズルと引きずる人は『売れない』もズルズル引きずります。

なんとなくでも落ち込んでしまっている自分に気づいたら少し休憩するでも、甘い飲み物を口に入れるでも、好きな音楽を聴くでも何でも良いので『メンタルリセット』できる儀式を取り入れるのをオススメします。

『不快感を与えない』ことは最低限のマナー

容姿に関することや服装などの身だしなみについては規定があると思います。
それ以外の『意識』できるところの部分です。

『待機しているときの姿勢』は片足に重心が偏っていないか
『口角』はマスクをしていても自然に上がっているか
『眉間にシワ』を寄せていないか
『たばこの臭い』はしないか

ほんの少しの気遣いができる人は人としても魅力的です。

お手紙やお気持ちをいただくことがきっかけで仕事観が変わる

お金を出して商品をご購入してくれた上に、後日お礼のお手紙やお気持ちを頂戴することがある。
たったの1回でもその経験をするとクセになる。
それまでは『このお客さまは買う人かどうか』でみていたフィルターだったのが、『このお客さまはどんな人なんだろう』とそのお客さま自身に興味を持てるようになる。

フロントトーク、ヒアリング、ニード確認、商品提案、クロージング、キャンセル防止などの営業トークは聞いたことがない。
ロープレ研修なども当時やらずに、ただ売り場でそれなりに過ごして、商品知識ばかり話をして、売れないと悩んでばかり。

今振り返れば、『ただ悩んでいた』だけ。
不安ばかりが先行して『どうやったら解決するのか』という『考える』ことに意識がまったくなかった。

このnoteを読んだ人が『悩む』ことから『考える』一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです。

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