川島 太一

なぜか二度も海外で働いている不思議な地方公務員。 エッセイ、ショートショート、時々ホラ…

川島 太一

なぜか二度も海外で働いている不思議な地方公務員。 エッセイ、ショートショート、時々ホラー書きの文筆見習い。天秤座♎️要素強目の乙女座♍️さん。 世界の怪奇、奇妙、不思議、ミステリー、ホラー、民俗な出来事や物が大好物。 スティーブン・キングがこの世で一番大好きな作家。

マガジン

  • ショートショートの部屋

    川島太一のショートショートを集めた部屋です。ライトなものからダークなものまで、さまざまな物語をお楽しみください。

  • 地方公務員、海外で働く!

    二度の海外赴任の経験を基に、海外赴任準備や生活、仕事などについて書きます。

  • エッセイ(食べ物編)

    食べ物が出てくるエッセイを集めました。読むとお腹が空いてきちゃうかも。

  • ひとり感想部

    映画やドラマ(主にNetflix)を観て、好き勝手に個人的な感想(ここ大事!)を書き連ねてます。 時々、本についても書きます。

  • エッセイ(家族編)

    家族を題材にしたエッセイを集めてます。家族には書いてること一切言ってないけどね。

最近の記事

  • 固定された記事

【エッセイ】おもしろい喫茶店

「そういえばこの前、おもしろい喫茶店に行ったんやけど」  おもむろに母が口を開いた。  その日はたまたま用事があり、そのついでに実家に帰っていた。約半年ぶりの帰省だ。近くのレストランで母と共にランチを食べていた最中だった。 「おもしろい喫茶店ってよく意味が分からないんだけど、どういうこと?」  私は思わずつっこむ。コーヒーがおいしいとかサービスがいいとかはあっても、おもしろい喫茶店とは聞いたことがない。すると母が話し出した。 「こないだ●●にある喫茶店にお父さんとモーニングに

    • 【#毎週ショートショートnote】戦国時代の自動操縦

       その日、家老が持ってきたのは棒の先に筆がついている変な箱だった。ボタンを押すと、筆先に墨をつけ、半紙に何やら書く。 「これは、儂の花押ではないか」 「殿の右手の骨折で花押が書けず、書状が溜まっており、どうにかするために皆で作った自動操縦花押製造機です」  それから製造機が花押を書き続け、皆、殿に確認もせず書状を出すようになってしまった。  時は戦乱、戦に関するやり取りで敵か味方か、心理作戦でパターンの違う書状を家老たちが作り、最終的にどちらかの書状に製造機で花押を書かせて

      • 【#毎週ショートショートnote】ごはん杖

        「あの山には、一振りすれば飯が出てくる『ごはん杖』が奉られている」  昔々、何人もの村人が山へ入ったが、戻ってくる者は誰もいなかった。  ある日、一人の男が「儂が行く」と言った。その年は飢饉に見舞われ、頼みの綱は『ごはん杖』しかなかったのだ。  村を救うため、男は頂上を目指す。  どれだけ険しい山道かと思ったが、緩やかな道だけだった。  恐ろしいものが出てくるかと身構えたが、可愛い動物たちが出てくるだけだった。  なぜみんな戻ってこなかったのかと男は首を傾げるが、頂上に着いた

        • 【#毎週ショートショートnote】親切な暗殺

          「あのさ、話したいことがあるんだ」  高校からの帰り道、智也が話しかける。 「…なに?」  私は明るく返したつもりだったが、正直なところ自信はなかった。なぜならそれは私が聞きたくないことだったからだ。 「小夜子のこと?」  智也は幼稚園からの幼馴染だ。そして、よくある話で、私は智也にずっと片想いをしていた。しかし、高校に入学してから、小夜子のことを話す智也の表情は恋をしている者のそれだと気づくのにそれほど時間はかからなかった。  小夜子は美人で性格もよく、学校でも人気者だ。

        • 固定された記事

        【エッセイ】おもしろい喫茶店

        マガジン

        • ショートショートの部屋
          23本
        • 地方公務員、海外で働く!
          2本
        • エッセイ(食べ物編)
          7本
        • ひとり感想部
          2本
        • エッセイ(家族編)
          12本
        • エッセイ(海外編)
          7本

        記事

          地方公務員、海外で働く!~生活編(引越荷物郵送)~

           海外で働く機会を得る地方公務員は数少ないですが、実際には世界中の様々な機関に出向しています。私自身もかなりレアですが、ヨーロッパと東南アジア、二度海外赴任を経験しています(ちなみに二度目は現在進行中)。海外赴任は決まったけれど、誰に聞いていいか分からない、どうしたらいいか分からない地方公務員が多いのではないでしょうか?そんな方々の助けになればと思い、このnoteを書きました。同じ地方公務員の方々がひとつでも参考になることがあれば幸いです。  今回は海外に引越荷物をどのよう

          地方公務員、海外で働く!~生活編(引越荷物郵送)~

          【エッセイ】バンコク赴任101日目で屋台の常連になる

          「ミディアム」  夜のバンコクで、彼女は私の顔を見ながら真顔でそう言った。  その日はバンコクに赴任してから101日目だった。7月にタイに入国してから約3ヶ月、その間に結婚式や葬式に出て、ビザとワークパーミットが取れ、そしてつい最近、銃撃事件がありと、なんとも騒がしい日々を送っていた。  まさかタイに来るとは…今年の1月4日の夕方までは思いもしなかった。終業間際の夕方、上司からいきなり呼び出され、部屋に入るなり「タイ、行ってくれんか」と言われたのだ。青天の霹靂とはこういう

          【エッセイ】バンコク赴任101日目で屋台の常連になる

          地方公務員、海外で働く!~生活編(住まい探し)~

           海外で働く機会を得る地方公務員は数少ないですが、実際には世界中の様々な機関に出向しています。私自身もかなりレアですが、ヨーロッパと東南アジア、二度海外赴任を経験しています(ちなみに二度目は現在進行中)。海外赴任は決まったけれど、誰に聞いていいか分からない、どうしたらいいか分からない地方公務員が多いのではないでしょうか?そんな方々の助けになればと思い、このnoteを書きました。同じ地方公務員の方々がひとつでも参考になることがあれば幸いです。  海外赴任で(私の中の)最初で最

          地方公務員、海外で働く!~生活編(住まい探し)~

          【エッセイ】過去と今と未来の私の命のリレー〜MOTOKOさんのエネルギーワークを受けて〜

          「ドアがいっぱいある…」  私は宇宙の中で360度周りをドアに囲まれていた。どのドアも形は一緒。クルクル私の周りを回っている。私はあるドアノブを握り、ドアを開いた。  MOTOKOさんのセッションはいつか受けたいと思っていた。しかし地方在住ではそんなチャンスは滅多にない。それが急に海外赴任が決まり、赴任前に3ヶ月だけ東京に住むことになった。だが、なかなかセッションのタイミングはなく、このまま海外に行くのかなと思っていたところに突然QUANTAのエネルギーワークのお知らせが!

          【エッセイ】過去と今と未来の私の命のリレー〜MOTOKOさんのエネルギーワークを受けて〜

          【#毎週ショートショートnote】心お弁当

           ある昼下がりの午後、僕はある町の弁当屋の前にいた。  僕は仕事にも人間関係にも疲れ、どこか遠くに行きたかった。ただ、そんな時でもお腹は空く。そして、いい匂いに釣られて、今並んでいる。 「お兄ちゃん、何にする」  店のおばちゃんに声をかけられ、僕はぼうっとしていたことに気づく。 「あ、すみません。ええっと…」  レジの前にあるメニューを見る。たくさんありすぎるのと、緊張してすぐに決められない。 「お勧めは『心お弁当』だよ」  結局、おばちゃんの言う通りにする。しかし、後で

          【#毎週ショートショートnote】心お弁当

          【ひとり感想部 第1回】「ダメージ(傷)」を受け入れるか「オブセッション(執着)」するか、どちらがお好み?

           さてひとり感想部、記念すべき第1回は、Netflixのドラマ『オブセッション/執着』。このドラマが、ひとり感想部を始めるきっかけになったと言っても過言ではない。・・・いや、正直に言うと、このドラマの前につくられた映画についてどうしても書きたかったのだ。  たまたまこのドラマを観てしまったがために、その昔、レンタルビデオ屋で赤面しながら借り、親に隠れてこっそり観た当時の私の倒錯した想いが甦ってしまったのだ。ただ、その想いを聞いてくれる奇特な友人も残念ながらいない。そうなると、

          【ひとり感想部 第1回】「ダメージ(傷)」を受け入れるか「オブセッション(執着)」するか、どちらがお好み?

          『ひとり感想部』

           ひとり感想部。  この部活では、私が観た映画やドラマ、読んだ本をひとりきままに、好き勝手に感想を綴っていくnoteです。あくまで個人の感想なので、こういう捉え方もあるんだなくらいに思って読んでもらえると嬉しいです。  これまでたくさんの映画やドラマを観て、多くの本を読んできました。そして「これ、他の人にも観てほしい!」「この本は勧めたい!」と強く思いながらも、結局自身の心の中に秘めたままで、なかなかその想いを外に出せずにいました。それは、うまく言葉に表せないから恥ずかしい

          『ひとり感想部』

          【エッセイ】愛すべき悪あがき

          「このチョコ、おいしいですよね。なんて名前でしたっけ」  終業後、隣の同僚が話しかけてきた。視線の先は私と彼女の間にあるゴミ箱だ。その中には私が捨てたチョコの袋があった。 「いつもこれ食べてますよね」  笑顔で聞く同僚の前で、私は答える前にペットボトルのお茶を一口飲んだ。  私は万年ダイエッターであるにも関わらず甘いものが好きだ。ただやはり体型も気になるお年頃なので量は控えめにしているつもりだ。  そんな私の今のお気に入りはガ●●だ。手のひらサイズの袋に七から八粒ほどのチョ

          【エッセイ】愛すべき悪あがき

          【エッセイ】消えたハンガー

          「なんで落ちてるんだろ」  仕事から帰ってきた私は、ベランダに干してあった洗濯物を取り込んだ。そしてあることに気づき、恐怖に陥った。  その日は朝から快晴だった。窓を開けると、すぐ近くを走る電車の音が部屋に入ってくる。一週間前までは静かな山奥にいたのに、今は転勤で引っ越してきた都会にいる。慣れない生活音に戸惑いながらも、私は洗ったばかりの服やタオルを順番にベランダの物干し竿にかけていく。パーカーや薄手のシャツは針金で作られた細く白いハンガーにかけ、下着や靴下は洗濯バサミがつ

          【エッセイ】消えたハンガー

          【#毎週ショートショートnote】穴の中の君に贈る

          「ねえ、ドーナツを穴だけ残して食べることできる?」  そういって彼女は目の前にあるドーナツを片手で持ち上げた。  ある休日の午後、僕たちはある喫茶店にいた。昔からある古びた店だが、ここの手作りドーナツが二人とも好きでよく食べに来るのだ。 「ん、どういうこと?」  いきなりの不思議な質問に僕は戸惑う。少し考えてから答える。 「ギリギリのところまでドーナツ生地を食べればいいの?」 「それじゃ完食じゃないでしょ」 「じゃあ、例えば四次元の僕がドーナツを食べても三次元の君のドーナ

          【#毎週ショートショートnote】穴の中の君に贈る

          【エッセイ】40歳過ぎたら親の愛情を独り占めしたくなった

          「お姉ちゃんだから我慢しなさい」  弟や妹がいる人なら必ず一度は言われたことがあるだろう。私もこの言葉の呪縛に長く囚われていた一人だ。しかも四歳離れた妹が二人もいる。私は双子がこの世に生まれた四歳から両親を独り占めできなくなってしまったのだ。  妹たちを最初に見たときのことは覚えていないが、母が出産のために入った手術室の前のベンチにずっと座っていたことは記憶に残っている。途中で父が医師から呼ばれて席を外したため、一人になった。このまま母が帰ってこないのではと、薄暗い病院の

          【エッセイ】40歳過ぎたら親の愛情を独り占めしたくなった

          【#毎週ショートショートnote】男子宝石

          「今日は誰にしようかな」  私は大事にしている宝石図鑑を開く。  二重人格っぽいA君はアレキサンドライト。  C君は楽しいことが大好きなカーネリアン。  人を寄せ付けない雰囲気を出しているG君はギベオン。  リーダー的存在のI君はインペリアルトパーズ。    みんなキラキラしている。ページを捲り続ける。  自分ファーストが上手なK君はクンツァイト。  L君は優しく包み込んでくれるラリマー。  底抜けに明るいO君はオパール。  物静かだけど賢者的なS君はサファイア。  T

          【#毎週ショートショートnote】男子宝石