45歳はじめての転職 第9話 失敗した面接

第9話 失敗した面接

7ヶ月の就職活動でこれは失敗したとはっきり思う面接がある。その1つ、仮にF社としておこう。この会社はアメリカに本社があり、その日本法人の人事部門のトップのポストだった。

1回目の面接は非常にうまくいった。面接者は人事責任者で常務、つまりこの人の後任を探しているということであった。この人は日本人であった。約2時間にわたった面接は非常によい雰囲気だった(私の経験でいうとだいたい時間が長い場合はOKである)。

1週間後、大変評価がよかったので次に進めたいという話がヘッドハンターからきて、日本法人の社長と会うことになった。社長は日本人であったが、この面接に通れば本国で本社の重役と最終面接という段取りだった。

しかし、その日本法人社長との面接が問題だった。結局、社長との面接でOKがでなかった。何が悪かったのか。面接において特にトラブルがあったわけではない。しいていうとその原因は私の態度にあった。

相手の立場からすれば「この人を是非採用したい」という気持ちにさせることができなかった。

会社が人を採用する。特に上司が自分の部下を採用する場合、その仕事ぶりは採用側にも降りかかってくる。だから採用する側は本当に真剣だ。応募者は可もなく不可もなくではダメなのだ。オンリーワンでなくてはダメなのだ。

具体的にはどういうことだったのか。

私は人事責任者との面接があまりにもうまくいって、もう採用されたような気になっていた。社長との面接は顔見世程度の気持ちで望んだのだった。

しかし社長は「こいつは前任者と同様に自分をきちっとサポートできるくらい優秀か?」という目でみていたはずだ。

きっと社長はそれを試すため、質問の中で意欲を試す色々なシグナルを送っていたはずだ。

だから「自分はこんなに会社に貢献できる。この会社が非常に気に入って、ぜひ入社したいと思っている。仕事に対してもこれだけの情熱がある。」ということを強烈にアピールしなければならない。言い訳をすれば、面接続きで少し疲れていたのかもしれない。しかし前にも言ったとおり、採用面接は毎回が一発勝負なのだ。なぜなら、相手にとってはこれが初めての面接であるからだ。

面接の最後に社長がいった。「当社についてなにか聞かれたいことはありますか?」

私「先日常務から色々お伺いしたので特にはありません。」これは本心だった。もう十分に話はしていた。しかし前回と同じことでも聞くべきだった。これでは私の会社に対する熱意は伝わらなかっただろう。


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