45歳はじめての転職 第15話 アメリカに面接を受けに行く

第15話 アメリカに面接を受けに行く

外資の会社のシニアポジションを決める場合、本国での面接をおこなうことが多い。日常的に本国とのやり取りがあるからだ。一見わざわざ飛行機代まで払っていかせる必要があるのか?と思う人もいるかもしれない。

しかし、一度雇えば生涯で数千万円から1億円を超える投資になる人の採用ということを考えれば当然だろう。こういうところは、外資はきわめて論理的だ。日本の会社が外国で現地人を雇って、面接に日本まで呼ぶだろうか。

もちろん、本国までいく場合は最終選考過程に入っていることは間違いない。あるヘッドハンターから聞いた話では、本国に行ってもNGとなるケースはあるとのことだった。最後まで気を抜いてはいけない。

面接者の数についていうと日本企業より外資の方が多いくらいだ。少なくとも私が受けたある会社の場合、面接者は日本と本国とあわせてで13人であった。また、別の会社でも日本だけで5人はおこなうそうだ。より多くの人に会うことで、誤った判断を避けたいという意図があるのだろう。

ということで、本国のアメリカに面接を受けに行った。週末にかけて2泊4日の強行軍だ。2日で9人と面接を受けるとのことだった。面接は1対1で1時間程度おこなわれた。日本人の面接と違うのは肩肘張らない非常にオープンな雰囲気でおこなわれるということだ。質問の内容は非常に具体的だ。

「なぜ今の会社を辞めようと思うのか?」「あなたのキャリアの中で特筆すべきことはなにか?」「この会社のどんなことに関心をもっているか?」「なぜこの会社のこのポジションに応募したか?」「日本の労働環境はどうなっているか?」「あなたはどんな人間か?」「人事として大切なことはなんだと思うか?」等々。

面接が終わる度に、コーディネーターである将来のボスは面接者に感想を求めていく。そして1日目の終わりにはコーディネーターとのディナー。滞在中、あらゆる角度でアセスメントが行われていたのだと思う。

後で思うと、最も重要なことはさまざまなタイプの人とプロアクティブなコミュニケーションがとれること。つまりきちっと自分の考えが伝えられ、また相手の意見も受けとめられること。つまり、ミーティングがいかに中身の濃いものになるか、ということだと思う。

ハードな出張スケジュールの中で高いモチベーションを保っていられること、つまりタフであることも重要だ。

最後の面接が終わった後、コーディネーターは私に言った。

「お疲れ様でした。今回の面接での評価は大変よかったよ。従って我が社はあなたに仕事をオファーすることにしました。」

「ありがとうございます。検討してできるだけ早くご返事をします。」

私はコーディネーターとがっちり握手した。


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