外資系企業人事部長の部下へ宛てたHR Letter「グローバル企業での働きかた」第33話 転職の良いタイミング

第33話「転職の良いタイミング」

グローバル企業に働く人にとって何年くらい同じ会社に勤めるのが理想でしょうか? 答えはありません。素晴らしい会社で、一生自分に成長する機会とキャリアを与えてくれて満足できるなら一社でもよいと思います。実際一生同じ会社に勤めることは、まれではありますがグローバル企業でもあります。年配の方が長く勤続されていてリスペクトされているケースもあります。

しかしながら人事に携わっていると平均で2~3年毎に動いている人も少なくありません。一般的にリタイアするまでに何回かの転職経験は標準的といえます。なぜならよい仕事をするためにはコミットメントが必要ですし、周りの人との信頼関係作りにも数年はかかると思います。ある規模の仕事を成し遂げるには10年くらいが必要ではないかと、私は思っています。

一般論として適切に転職するタイミングは、いつなのでしょうか? 私は以下の3つがあると思います。

1. 今のポジションであるまとまった成果がでた時
1つの会社にいて、ある程度実力がついてくると仕事の成果も出てきます。その際、まず会社がきちっとした評価、表彰をおこなうことが必要です。次にその人に何をさせるかを本人に整合できるかどうかがキーとなります。今の仕事にある程度の達成感、満足感があれば新しい役割が必要になります。

2. 社外に大きなチャンスがあり、ステップアップできる時
1つの会社ではドラスティックに処遇を変えることはできません。なぜなら一般的な人件費のガイドラインがあるからです。また、ポジションがなければ上のポジションをオファーできません。そのため何度か転職することは長いキャリアの中では必要なことと思います。一方、素晴らしい仕事だとしてもストレッチしすぎた場合は結果が出ずうまくいきません。採用する側は魅力的な給与とポジションを出す場合がありますが、本人が本当に手の届く範囲のストレッチか真剣に考えなくてはいけません。

3. キャリアのコースを変更したい時
ある程度専門性をひいて組織を作るグローバル企業において、例えば同じ人事の中でも賃金担当から研修担当に動くということは容易ではありません。その会社の規模にもよりますが、ほとんどの会社の人事は総勢でも10名未満です。従ってこのような希望があった場合、1人の問題ではなくなりますので、会社内で調整できる可能性は50%未満になると思われます。もちろん入社する側に専門性がないのに入社できる会社とはどんな会社かという逆の見方もあります。従ってこのようなケースはジュニアなポジションで議論されることです。


外資系企業人事部長の部下へ宛てたHR LETTER「グローバル企業での働きかた」プロローグ・目次 に戻る

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?