45歳はじめての転職 第1話 45歳にしてはじめての転職

第1話 45歳にしてはじめての転職

昨年末、45歳になった。

22年間大手電気機器メーカーでサラリーマンをやってきた。今はいわゆる中間管理職だ。40歳を超えたあたりから「これから自分の人生をどうする?」と考えるようになった。そして45歳になった時、なんとなくこのまま60歳まで変化なく過ぎていく自分を思い浮かべた。

「このままでいいのか?」という思いがぐっとわいてきた。石川啄木も坂本竜馬も30そこそこで後世に残る仕事をして死んでいった。こちらは凡人とはいえ同じ人間であり、同じ一生である。悔いは残したくない。

もう20年も同じ会社で日本のサラリーマンをやってきた。これからは今までとは別のことをやってみたい。何ができるかわからないが、ひとまず今まで乗っていた終身雇用という電車から降りて自分の足で歩いてみることにしよう。

「どこまでできるか自分の実力を試してみよう」そう強く思った。そして転職をすることにした。

もう1つ直接のきっかけもあった。会社ではリストラクチャリングを進めていた。それにともなって45歳で早期退職金がもらえる制度ができている。この退職金で住宅ローンは一掃できる。「ローンがなければ、後はいざとなったら食べる分だけ稼げばいいさ」と思った。これこそ千載一遇のチャンスかもしれない。

私は大学を卒業するとすぐに今の会社に入社し、人事系の仕事を主にやってきた。本社部門だけでなく事業部や海外、国内子会社など、7つの職場を経験してきた。今は社内ベンチャーの教育会社を立ち上げて2年が過ぎようとしていた。世の中的には大手企業の標準的なサラリーマンといえる。

しかしながら、いざ転職となると果たして自分にどんな市場価値があるのか、そしてその価値をどう売り込むのか、ということから始めなくてはいけない。もちろん何の知識もないところからのスタートである。「どうしたら転職できるのか?」がこれからのひそかなプロジェクトである。

まずはインターネット求人サイトに登録してみる。これは自分の履歴書をネット上で匿名で公開するものだ。興味を持った会社が見にくる仕掛けになっている。2週間たったところで確認してみると、閲覧件数は8件。

「こんなものか」ちょっとがっかりした。転職サイトで更に情報を入手。どうも転職求人のニーズは30歳代が中心らしい。がんばらねば。

考えているだけではだめだ。具体的な行動に移ろう。まずはネットワークを使った口コミ作戦である。知り合いを片っ端からあたった。「転職したいんだけど、誰かいい人知らない?」「ヘッドハンターを紹介してよ」人材紹介会社にコンタクトしてみる。まずは5-6社だ。会社の転職支援部門にこっそりコンタクトしてみる。「どうぞよろしくお願いします」頭を下げた。「これから6ヶ月以内に転職するぞ。」と誓った。


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