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【シドニー通信】ユダヤ人コミュニティー

セレブリティー。響きだけで胸が踊り長年夢見てきた暮らし。東京で毎年落ちるAvexのオーディション。当時の写真を見るとそれなりにイケメンを演じられてるような気がしてたけど、振り返ると恥ずかしくて鳥肌が立つ。あれから5年、ようやく人気者になりつつある。

シドニーで暮らすことを決め、高級住宅地ローズベイで念願の一人部屋をゲット。「これからコーヒーの勉強でもできたらいいな」という気持ちで近所のカフェに求人が出ていたので履歴書も持たず入ったのが始まり。あれよ、あれよと話が進み速攻で仕事ゲット。実は、飲食のバイトなんてほぼ経験ない。なんなら28年目覚ましかけたことが無い親泣かせのダメダメ人間。あまりにもあっさり仕事ゲットしたので時給がいくらなのか、どんな店かもしらないで迎えました初出勤。

店内はNYに多く生息していたハリーポッターみたいな人がたくさん。紛れもなくユダヤ人だ。おー懐かしいと思ってる間も無く、突然iPadを持たされ「Go Taichi!」ボスのフェルナンドはニコニコこっちをみる。そう、ここはシドニーで一番の老舗Kosherベイカリーが経営するカフェだった。

聞いたこともない食べ物の名前を一通り教えてもらい、戸惑いながらも女子グループ(みんなターバンを巻いてる)からオーダーを取ってみた。

Misia1。Sunny Side Up(目玉焼き)5秒裏返して3秒蒸して。Ray Sourdough(ライ麦のパン)は端から二番目のものだけで軽めにトーストして。食後のコーヒーはソイカプチーノ。舌が焼けるぐらい熱く、チョコレートパウダーはかけないで、持ち帰りのカップに入れて!

Misia2。スクランブルエッグ。卵はウェルダン。付け合わせのサラダはトマトとキュウリだけ、ドレッシングは別。缶のコーラが飲みたい気分。でもcreativeにして。(アイス。ミント。レモンを添えるが正解でした)

Misia3。ねー質問なんだけど、セロリと生姜だけでフレッシュジュースって作れるのかしら?お腹全然空いてないわ。

Misia4。ゴマのベーグルでサンドイッチ作って。バターでしっかりトーストしてスモークサーモンとクリームチーズ挟んで。4等分に切ってそれぞれラップで包んでちょうだい。コーヒーはアーモンドラテ。四角の氷を1個だけ入れて。今飲むわ。


。。。。。。

。。。。。。

へ?

子供からお年寄りまで一人残らずこの感じ。ただのカジュアルなカフェにも関わらず毎日世界中からいろんなユダヤ人がくる。タップウォーター(無料の水)はアレルギーだから飲まないって人や、窓側に座ると自分が水槽の中にいる気がして嫌。とかいうツワモノまで出てくる始末。もう最高に楽しい。

気づけば2ヶ月。今では一人でホールを任され、数少ない飲食バイトのうちのひとつ、銀座のキャバクラで習った片膝ついて取るオーダーが大ウケ。チップ制度がないオーストラリアでおこずかい稼ぎまくり。ボスにはレジェンドと言われ、仲良くなったロシア系ユダヤ人のEllaは老犬連れて家までよくベンツで送ってくれる。

時給は26ドルにアップ。東京生活もそれなりに楽しかった。どうにか芸能の世界に入り一花咲かすのを夢見てチャンスを探して、毎日背伸びして毎晩いろんな大人がいるところに顔だして生活していた。仕事して、遊んで、デートして、、、いわゆる青春なんか、したこともなければ、考えたこともなかった。

今は、自分の稼いだお金で身の丈にあった風通しのやたらいいボンダイの部屋で、早起きし歩いてカフェへ向かい、スペシャルピーポーのワガママを白目剥きながらネタにしてコーヒーの修行する生活にすごく満足している。

曲作りだって別に今のところ誰にも期待されてないので気ままでいい。しばらくは異文化交流を楽しんでみようと思う。

初めて自分の曲をリリースしてもうすぐ10ヶ月。全く興味のなかったオーストラリア。たまたま働いたカフェでユダヤ人のアイドル(召使い)になるとは誰が想像できるだろうか、、、こうやって思ったことをブログに綴るのもなんだか新鮮。一人でも多くの人とnoteを通して出会えたらな、なんて思ったりもする。


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