🔴いつも大安吉日162　〜シンプルに生きられる〜

【シンプルに生きられる】

ひとり暮らしも三日が過ぎた
みんなとのお祭り騒ぎからの、ひとりしずかな夜もそれはそれでいい

ごはんは基本的にすにちゃんが用意をしてくれていたので、昼間作業をしてからの夜ごはんづくりはかなりめんどうだ
だからやらない
食べないか、ある野菜を焼くだけ
もしくは昼と同じで麺でも食うか
もちろん朝なんて食べない

うちの調理はすべてが薪で、薪はもちろんボタンひとつで、「ピッ」とはいかない
杉っ葉を入れて、細かく割いた薪に火をつけて、それからだんだん大きくしていく

はっきり言ってめんどうではある
「ピッ」で済むシステムがあることを、ぼくももちろん知っているからね

でもこの「めんどうだなあ」ってときに、またひとつの選択肢が生まれる
やるのか？やらないのか？

死ぬほど腹が減っていれば、すぐに火をつけて料理をはじめるだろう
料理なんてしないでそのまま食うかな

腹が少し減ってるくらいなら、わざわざ火をつけて料理なんてしないときもある
面倒くさいほうが上回って、「今日はいっか」と、早々に眠りにつく
これならこれでいい
「しっかりたべるものなんだ」と、そう思い込んで食べてる部分もぼくにはあるから

環境がかわるとあたらしい発見がある
だから、あたらしい発見をしたければ、さっさと自分で環境を変えることもひとつの手だ

🔴畑復活

朝めし食わずに畑に向かった　
前の日に見た「草むら化した畑」は、やっぱり夢なんかじゃなかった

昨日は田んぼには目もくれずに、真っ先に畑の草取りからはじめることにした

まずはさつまいもの畝（うね）
生い茂ったさつまいもの葉っぱを畝の逆側にひっくり返すと、株元には草はほぼなかった
一度しっかりやったのが効いている
畝一列すべてをひっくり返したら、そこを草刈り機で「ブイーん」と刈り込む
終わればまた葉っぱを畝の逆側にやる
そして今度はそっちを「ブイーん」とやる
五百株くらい植えたのでこれを四列

しっかり育ってる
草むらに見えてたけどまったく問題なし
冬にはカラフルな干し芋づくりの風景が、うちの屋根に広がってるんだろうな
ちなみにぼくは干し芋向きだとは言われない、紅あずまの干し芋が大好きなんだ
かなり干して、食べるときに七輪で焦げ色が軽く付くまで炙るんだ
少し「プクッ」と膨らむくらいがいい塩梅
白に黄色にオレンジに紫、どれもそれぞれに個性があってうまいんだよなあ

出来てなかったツル野菜たちの誘引を手助けしたり、ひと株ひと株の株元もきれいにした
人参も草に隠れ気味で成長がわかりづからかったけど、草をどけたらおっきくなっていた
いつのまにやらとうがらしも元気だ
えごまの葉っぱもいい香りだ

この畑ではじめてのきゅうりも取れた
あの長雨に耐えて、まちに待ったおひさまの光をあびて、たくさんの花をつけていた
ツルムラサキもちいさい花をつけた

しかしかなり成長の遅いものもある
ツルムラサキもそうなんだけど、オクラとかはやっぱりなかなか育たない
高気温の日が少ないこの地区では、やはり早めにあったかい場所で苗を作って植えてあげたほうがいいのかな
この畑のリズムにしっかり沿ってあげよう

草むら化したかと思った畑は、株まわりの草が一気に伸びただけだった
株元は梅雨の間にもこまめにやってたからな
その時期のがんばりが、いま効いてきてる

🔴秋の気配

昼をはさんでかなりの時間畑作業ができた
夕焼けがきれいになったころ、野菜と芋の畑はすべてきれいにすることができた

うちに向かって車を走らせると、すぐ近くの田んぼの稲にぼくの目は反応した
「穂が出てたっ」
群馬のころと比べて植えるのも早いから、穂が出るのももちろん早いんだなあ
穂が出ればすぐに花が咲く

秋がいきなりすぐ近くに来たみたいだ

群馬のころは六月末に植えて、八月末に花が咲いてた記憶がある
「日が短くなると、稲は子孫を残そうとして、穂を出して花を咲かせる」
群馬の頃のリズムはちょうどそんな感じで、ぼくの中では「出穂は秋」となっていた

でも「秋説」もあながち間違ってはいない
ここ大日向は夏が短い
お盆になったら去年は涼しくなった
まだ「あっついなあ」てなって一週間だよ

ぼくは、さらに秋の空気を後押しするような事実に気付いてしまった
「まさに今日がその日なんだっ」
今日から暦のうえでは秋だった
いつもより立秋がなんだかさみしい

田んぼの向こうに見える夕日も、そういえばなんだか秋っぽかった

🔴なくても生きられる

気分も「スーッ」とさめたし、気温的にも夕暮れ時で涼しくなった
昼間の炎天下での作業で疲れてもいた
「今日はドラム缶風呂沸かすの面倒くさい」
ぼくは前の日に学童のこどもたちと遊んだ川で、ひとり素っ裸になって水浴びをした
汗臭いＴシャツを濡らして絞って、そいつで体をゴシゴシした

やってることは風呂と同じだ
この時期なら川が風呂になってくれる
「これでいーじゃないの」

帰って初収穫したきゅうりを梅干しと和えて、これまた初収穫のピーマンを焼いた

水を止めたいま、洗い物は池に出てる水で
いままでの暮らしの流れで、無意識に蛇口をひねろうともしない
「意外とぼくは順応できるんだな」

薪の料理も薪の風呂も、使わなくてもいい状況なら、それがいちばん楽でいい
生で野菜を食えばいいし、川を風呂の代わりにしてやればいい
「生きる」ってことから考えてみれば、ほんとにシンプルに暮らしていける
畑行って草取って、帰りに川で風呂入って、ごはんは畑の野菜を焼く
まあ、いまはひとりだからそんな風にできてるんだろうけどね

そんなことを思いつつ、ハイボールを片手に、今度はとうもろこしを焼いていた
「汲んできた水を、自分んちで炭酸水にしたハイボールだよ」
これならギリギリセーフでしょ？

「ミドボン、炭酸水、自作」
これチェックしてみてね
ゴミも出ないし、好きな水で好きな炭酸加減に出来るからいいよ

ではみなさん今日もすてきないちにちを

五穀豊穣　子孫繁栄　
大安吉日や　さかいひろし
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