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あじあのおんがく

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アジアの音楽に関する記事を集めています
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2021年2月の記事一覧

タイ・バンコク発 コロナ禍だからこそ、海外進出に向けてやっておきたいこと

先日2/20(土)、沖縄発信の国際音楽カンファレンス「Trans Asia Music Meeting 2021 (TAMM)」にてオンラインで講演しました。 「TAMM」は、沖縄とアジアの音楽ネットワーク構築と、沖縄から音楽を海外発信する試みを続けている国際音楽カンファレンスで、今回は「コロナ禍を音楽・カルチャーで生きるヒント」をテーマに開催されました。また、ショーケースフェスティバル「Music Lane Festival Okinawa 2021」も同時開催され、那覇

加山雄三 | 愛を語る#2

皆さん、加山雄三は聴きますか? 私は今までに日常的に加山雄三を聴く同年代に出会ったことがないのです。 だからこそ同年代に伝えたい、加山雄三の魅力を!!! 「加山雄三って古くね?おじさん?演歌歌手?」 私が最初抱いていた加山雄三さんへのイメージ。皆さんはどんなイメージを持っていますか? ちなみに加山雄三さんは今年で84歳です。おじさんというよりむしろおじいさんですよね。美空ひばり、阿久悠、笑福亭鶴瓶と同い年です。 曲を出したのは1960年代。思ってたよりも古い。 勝手に

「プラスティック・ラブ」ムーブメントから考える日台音楽

もう3年ほど前のことになってしまうのですが、2018年ごろに、アジア圏で竹内まりやさんの「プラスティック・ラブ」が非常に流行していました。 当時、レコード屋さんの店長が、アジアから来る観光客の人がこぞって7インチのレコードを買いに来ていて、値段も少しずつ上がってプレミアが付き始めているんだ、という話をしてくれました。 アジア全域で、「シティポップ」=「プラスティック・ラブ」みたいな感じで、クラブでかかりまくっているんだよね、と話していたことを、良く覚えています。 そのムー

ひとつの音に世界を聴く

みなさんお元気ですか? 地無し尺八演奏家で倍音も大好きでヨガや瞑想なども教えている青山雅明です。 今日から2月もスタートです!今日はとても寒いですね。三寒四温と言いますから暖かくなってきたーと油断してると翌日には「超寒いんですけど!」となります。 こんなぼやきを何万年も繰り返して、人類は変わらずに生き続けているのでありますね。 さて、僕のライフワークの『地無し尺八』のことを『法竹』(ほっちく)と呼びます。本当は『法竹演奏家の青山雅明です』と言いたいのですが、そうすると

Mizraab / Mazi Haal Mustaqbil

Mizraabは1997年に結成されたパキスタン、カラチのバンド。1999年のデビューアルバム「Panchi」はプログメタルというパキスタンでは馴染みのないジャンルながらヒットを飛ばしました。先日ご紹介したFaraz Anwarがリーダーのバンド。この人は本当に才能あふれる人ですね。もともとヌスラットファテアリハーンやVital Signといったパキスタン音楽界の大物たちのセッションプレイヤーとして活躍したのち、自分のバンドを組んでデビューした才人。このアルバムは2004年リ

アジアの民族楽器・音楽のことをどれほど知っていますか?

今日もわたしの記事を見ていただいてありがとう♪( ´▽`) わたしは音楽の専門家でもないし ましてや民俗学のことも知らない全くの素人です でも、最近の世界やアジアのことを見たり聴いたりして思うところがありましたので書いてみました 専門家やお詳しい方ならツッコミどころ満載だと思いますので、どうかご容赦願いますね 昨日、このつぶやきを投稿してから思い出したことがありました みなさんは「笙」という楽器をご存知ですか? ご存知の方なら「雅楽で演奏する」楽器であることはす

メタルとマントラが出会うとき 台湾の仏教メタル DAHRMA (達磨楽隊)

※LA Timesの記事が興味深かったので翻訳しています。 台湾・台中 - 1月の土曜日の夜、観客は耳をつんざくようなリフを期待した。 黒服を着たメタル・バンドのメンバーは、コンサート・ホールの巨大なアンプの色とマッチしていた。しかし、異彩を放つメンバーが一人。頭を剃り、宗教上の伝統的なオレンジのローブを身にまとった仏教の尼僧がメンバーの中に入っていたのだ。 台湾の仏教メタルバンド、DAHRMA 達磨楽団のメンバーであるミャオ・ベンさん(50歳)。彼女が、ゴシック・メイク

Takatak / Acrophase

Takatakはパキスタンのプログ・メタル・バンド。中東的、パキスタン的な要素も感じさせつつ現代のプログ・メタルとしても高品質。こういう伝統音楽の影響がにじみ出る、西洋音楽とは違うルーツを持ったロック(の進化系としてのメタル)が大好きです。先日、特集記事でも取り上げたバンド。 いわゆるジェントとかマス(数学的)ロック、メタルコア(スクリームなどの激烈パートがありつつクリーンでメロディアスなパートもある)などと呼ばれる音楽です。聴いて思ったのは、西洋的な洗練、現代的な激烈音楽

『テュルク語族マップ』サポートページ

ここは、『テュルク語族マップ』(無料!)に収められなかった情報や補足説明を置いておくためのサポートページです。最新版へのリンクもここに置いておきます。 『テュルク語族マップ』の最新版は ver.1.00 (04/04/2021)です。古い版をお持ちの方は最新版をご利用ください。地図のPDF版が欲しい方は、ツイッター経由でDMください。 これまでの訂正・変更点は以下の通りです。 ver.0.91 (18/02/2021) → ver.1.00 (04/04/2021) ・

外国人練習生は中華アイドル業界を再活性することができるのか

 2月17日8時に、青春有你3,創造営4が同時開始されました。今年の目玉は「亜洲超星団」を含め、新たに多くの外国人が参加することで、国際的な一流アイドルグループ誕生への期待がされている。しかし、もともとこういった経緯に至ったのは、かねてから叫ばれていた中国版プデュのマンネリ化が原因だ。では、果たして外国人の加入はどういった影響があるのだろうか、今回は創造営2021での評価を中心に紹介したい。 1,マンネリ化した中国版プデュ  2016年は中国アイドル元年と呼ばれ、アイドルオ

ドンブラ日本に持ち帰り狂想曲

2018年にカザフスタンの首都、アスタナ(現ヌルスルタン)に研究発表で行った話は以前にも(そこでの出来事があまりにも恥ずかしいので有料記事にしたのですが)書いたことがあるのですが、そこで手に入れたのがカザフの代表的な民族楽器たる、ドンブラ(dombra)です。 みてくださいこのフォルム。カッコよすぎでしょ… ぜひみなさんにも、一度この音色をyoutubeあたりで聞いていただきたいです。 こんなかっこよくてシブい音を出す弦楽器が世の中にあるっていうんですから、世の中はまだ

【インドネシア音楽】ダンドゥットがユネスコ無形文化遺産に申請! ダンドゥットとはどんな音楽⁉

日本にも歌謡曲とか演歌という大衆音楽ジャンルがありますが、インドネシアにも独自の大衆音楽というものが存在します。 ダンドゥット(Dangdut)という音楽ジャンルです。インドネシアでは洋楽やK-POPよりもダンドゥットが人気となっています。 現在でもインドネシア人から根強い支持を集めているインドネシア歌謡曲「ダンドゥット」についてご紹介します。 ダンドゥットとはインドネシア版ダンス歌謡曲1970年代初頭から、おもに都市部の若者を中心にして人気を博すようになった大衆音楽で

【超長文】タタール音楽の歩き方:タタールポップスに頻出する単語とともに読み解く

日本の演歌を初めて耳にしたタタールは「これはどこの村(アウル)の歌だい?」と私に訊ねた。また一方で、タタールの歌を初めて聴いた日本の人も「なんだか懐かしい響きがするね」と言う。 皆さんの耳はタタールの歌に接したことがあるだろうか。日本の旋律に慣れ親しんだ耳には、きっと、どこか懐かしい響きに聞こえるであろう。 タタール民謡「わがナイチンゲール」(Ай, былбылым) Ай былбылым, вай былбылым, ああ わがナイチンゲール おお わがナイチンゲー

人気は国内に留まらず。邦楽が再評価され、和モノと親しまれる理由

近年、レコードの中には和モノと呼ばれて注目を集めているものがあるのをご存知ですか? 果たして、和モノとは一体何なのか。レコードとはどのような関係があるのでしょうか。 和モノ(和物とも書く)とはその名からわかる通り邦楽のことを意味していて、魅力に溢れた作品に親しみを込めて呼ばれる言葉です。 「それなら和モノにはいったいどんなものがあるの?」 私たち日本人にとっては最も身近な音楽である邦楽の中で、どのような作品が和モノと呼ばれ高額になっているのか、今回はその人気について紹