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外国人練習生は中華アイドル業界を再活性することができるのか

 2月17日8時に、青春有你3,創造営4が同時開始されました。今年の目玉は「亜洲超星団」を含め、新たに多くの外国人が参加することで、国際的な一流アイドルグループ誕生への期待がされている。しかし、もともとこういった経緯に至ったのは、かねてから叫ばれていた中国版プデュのマンネリ化が原因だ。では、果たして外国人の加入はどういった影響があるのだろうか、今回は創造営2021での評価を中心に紹介したい。

1,マンネリ化した中国版プデュ

 2016年は中国アイドル元年と呼ばれ、アイドルオーディション番組が人気になったのはごく最近の出来事である。しかし、たった2,3年で下火となってしまった。この問題に対する発言で注目を集めたのは、EXOメンバーで、オーディション番組に貢献してきた張芸興(Lay)だ。彼は「哪能出好苗子啊(優秀な人が出てくるわけない)」と痛烈な批判を行い、離れていった視聴者の気持ちを代弁した。では不人気となった原因にはなにがあるか、いくつか例を挙げてみると、①新たに優秀な人材が出てこなくなった、➁その結果、同じ人が参加することとなり既視感がある、➂番組の独自性がなくなってきた、➃デビューまでの育成に力を入れ過ぎる反面、デビュー以降の活動を促進しないため、ステージに立つ機会がなく、アイドル業界が活性されなかった(韓国に比べ、業界は未熟性)、などだろう。

  これらの問題を解決しようと試みた代表例としては、「不定義女生、不定義女団」(女性を定義せず、女性アイドルグループも定義しない)というスローガンのもと、個性豊かな練習生たちが話題を呼んだ「青春有你2」や、海外からの練習生・メンター参加(青春有你2)や、韓国ラッパーの박재범(Jay Park)中国新説唱の参入、主に東南アジアなどの海外配信に着手した「這,就是街舞(Street Dance of China)」、などがある。これまでも、Weekly Chinaでは、ⅰ.「乗風波浪的姐姐」、マンネリ化した中国版プロデュースに新しい風、ⅱ.業界の再活性化に期待されるアイドルグループ間サバイバルバラエティ「炙熱的我們」 ⅲ.ⅳ.優酷(YOUKU)が発表した「亜洲超星団」、世界的オーディション番組への期待、という記事で中国版プデュの問題点と解決に向けての取り組みを詳しく取り上げてきた(中華アイドルに興味があるのなら、リンクの記事も合わせて読んでいただきたい)。

2,中国人練習生に対する評価

 では、今季の中国人練習生はどうだろうか? あくまでネット上の評価及び個人的評価ではあるが、年々レベルが落ちてきていることは否めないのではないだろうか。一部の練習生はダンスや音程に問題があったり、自身がない姿を見せたり、加試(初披露後の個人パフォーマンス)にのみ期待する姿勢など、レベルが上がったとは言い難い。しかし、楽器を使いこなす音楽家から、可愛い曲を歌いこなす乙女系、古典・中国風の声を持つ低調歌手まで、多様性に富んでいたのは評価に値する。また、トップ層のレベルは非常に高く、これまでに中国版プデュでデビューして来たメンバーとなんら遜色はなかったように感じた。日本のアイドルとは違い、中国版プデュに期待するのは、原石ではなくすでに磨き抜かれた宝石たちによる競争なので、平均ライン・標準概念をぜひとももう一つ上のステージに置いてほしい。

*追記:ここに関しては訂正を加える必要がありそうだ。確かにレベルが低いと感じるパフォーマンスも少なくなかったが、その反対に創4では二日目の選手、青3では全体的にレベルが高いと感じた。また、回锅肉(サバ番組に何度も参加する選手)についても番組自ら説明していたが、彼らに関しても評価を少し変える必要があるのかもしれない(個人的には、練習を積まず戻ってくるのはあまり好きではないが)。もう目ぼしい才能を発掘することは難しいとは言われていたが、実はそうではないのかもしれない。

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3,幅の広さは創造営4にも勝る青春有你3

迫力のあるダンス、ギャップ萌えに定評の「ProducePandas熊貓堂」

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高身長スキンヘッドの「梁森」(weiboではこんなコラ画像も・・・)彼は、全職高手に出演した人気俳優でもあり、切れのあるラテンダンスを踊れる実力者

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ここだけ切り取ると、これまでルックスから参加することを諦めていた人材が入って来たとも言えそうですが、人材の宝庫となるかカオスとなるかは見てみないとわからないですね。青春有你3は18日スタートです。

4,外国人練習生は圧巻の演技、A班のスタンダードは一気に覆されることに

 まずは一日目の日本のグループについて。大変申し訳ないが、番組を見る前は日本人の経歴についてあまり知らなかった。日本人の登場シーンは可愛いポーズをとったり、おふざけがあったりと柔和な姿勢が目立ったので、番組でもおそらく激しい競争を勝ち抜いてきた敵意向きだしの中国人練習生に圧倒されるのでは、と勝手に予想していました。

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日本人が中国版プデュでここまで自分を出して暴れていたのは、むしろ同じ日本人として誇らしかった。ここまで自己紹介で目立った登場をしたのは、中国版プデュの歴史の中で初めてである。

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 しかし、いざ二部に入り、「日本人頑張れ!」くらいの軽い気持ちで見ていると(すみません)、言語の壁も超える圧巻の演技、度肝を抜かされた。彼らには、英語のラップ、ダンス、場の支配、中文歌など、どの練習生にもピカイチのものがあり驚かされた。さらに、中国を非常に理解していると感じたのは「モニカ」「水星记」を披露した点だろう(どちらも中国ではかなり有名で掴みは抜群)。中国語の勉強も頑張ってきたに違いない、できる限り中国語でコミュニケーションをとろうとする姿勢にも感服した。

 そんな外国人選手の中でも特に目立ったのが力丸と賛多だろう。この二人の披露に対しては「A班のレベルを再定義した」「A班に一時確定した練習生が心配」「同じ練習生というよりは、先生レベル」という最大のリスペクトがあった。また、コメント欄では、「彼が中国人練習生のレベルをあげるのに大きな役割を果たす」、「倒れるまで踊りきる姿勢がプロ」といったコメントがあった。予告から推測すると、おそらく外国人がA班の席を乗っ取ることになるかもしれない。

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5,清華大学、漢語橋世界一位と異色の経歴を持つ外国人練習生も

 現状、日本関連(Avexグループ含め)以外のグループはステージに立っていないので、まだまだここからと言ったところだろう。特に今回一番注目の目が集まっているのはパーフェクトボーイ「David」だ。彼は中国最高峰の清華大学に留学、漢語橋世界一位および審査員担当、世界青年说のメンバーと異色の経歴を持つ。彼をはじめとして、多くのタレントぞろいであり、二日目も非常に楽しみである。

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6,結論

 選手・メンターからのコメント及び視聴者のコメントから見ると、外国人の参加が中国版プデュを活性化していることは間違いない。言語の壁はあるものの、強力なメンター陣の協力のもと、一流の外国人から学び(その逆も然り)、切磋琢磨していけば、世界最強のグループが生まれるかもしれない。

文/Tagawa Taichi

追記:張芸興(Lay)の説明に関して元EXOとしていましたが、間違いでした。訂正しお詫びします。指摘しただきありがとうございました。

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