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「地域学習」で「化石発掘体験」ができるまちで、「ブランディング」に小学生がチャレンジ

2022年、国指定天然記念物になったアケボノゾウ化石多賀標本。
シガタガゾウのサト祭り実行委員会」は、アケボノゾウ化石多賀標本が国の天然記念物となる動きや、取り組みを契機に動き出したプロジェクトです。『アケボノゾウ化石でわくわくするまちづくり』をコンセプトに活動しています。
シガタガゾウのサト祭り実行委員会の取り組みを紹介します。

多賀町内の小学生は、古琵琶湖層から発掘された古代ゾウ、アケボノゾウ化石のことを学びます。人口約7500人の小さなまちですが、博物館と図書館、文化財センターが入る「あけぼのパーク多賀」という生涯学習施設があります。
「あけぼのパーク多賀」スタッフから学べる贅沢な環境、アケボノゾウ化石発掘にも関わった名物先生に学ぶ地域学習、化石発掘体験は、このまちならではの特権です。
しっかりアケボノゾウ化石のことを学んだ小学生達は、次なるミッションにチャレンジ!
アケボノゾウ化石をみんなに知ってもらう方法をシガタガゾウのサト祭り実行委員会と考えました。

あけぼのパーク多賀MAP → https://maps.app.goo.gl/kysbhmNN1mWjRVpaA


総合的な学習の時間で何ができるでしょう?


総合的な学習の時間で、地域の魅力に触れ関われる地域学習ができないかと、6年担任の先生から相談いただき、11月頃から関係者の皆さんと調整。
約3ヶ月間、「飛び出しゾウや」のブランディングを子どもたちと共に勉強し活動しました。
「飛び出しゾウや」って??後ほど説明します。

滋賀県多賀町は、古代ゾウの化石がたくさん出ています。ナウマンゾウもアケボノゾウも。中でも、「アケボノゾウ化石」の産出状態が素晴らしくて、(偶然の幸運と、涙ぐましい努力がありました→YouTube)発掘から30年の月日を経て2022年3月に、国の天然記念物に指定されました。ゾウ化石の指定は日本初で快挙です。
『多賀はゾウの里だぞう』多賀町立博物館編(サンライズ出版)で読めます。

アケボノゾウ化石多賀標本を元に作った全身復元骨格(多賀町立博物館より)


天然記念物指定の時、4年生だった子どもたちが、卒業制作で、アケボノゾウ化石多賀標本の事を考え、このまちの魅力を発信するブランディングの方法を学びました。いろいろ知恵をしぼり取り組んだことが、記憶の片隅に残ると嬉しく思います。

「飛び出しゾウや」って??

国の天然記念物に指定された「アケボノゾウ化石多賀標本」を国内外に周知することを目的に、令和5年3月18日から4月8日まで「第1回シガタガゾウのアート展2023」を開催しました。

アート展開催以降、出品者とのご縁で多方面に事業が展開されました。
なかでも、公募作品より、坂本成志氏の『アシタガゾウが生存する世界線』に登場する、交通看板「飛び出し坊や」のパロディー「飛び出しゾウや」の人気が高まり話題となりました。
下写真が、その作品です。「アシタガゾウ」と、作者の坂本さんは作品提出されていますが、実は後日談で「シガタガゾウ」と書いたつもりだったのに誤記だった??かも・・・と。
シガタガゾウ スタッフのダジャレ好きが過ぎて、「飛び出しゾウや」と呼ぶうちにそれが定着してしまいました。

「アシタガゾウが生存する世界線」2連作品
坂本成志
もしもアシタガゾウが現代に生息していたら、という架空の世界を街のスナップ写真で表現。
飛び出し坊やならぬアシタガゾウの看板が注意喚起しています。

 さらに、アート展プロデューサー神谷利男氏が久田工芸様に依頼して、公式「飛び出しゾウや」5体が制作されることになりました。この「飛び出しゾウや」を多賀町内でどのようにデビューさせるのか、ブランディングに多賀小学校6年生51名、大滝小学校6年生4名と地域学習で取り組むことになりました。

パロディーをブランディングするのは、とても難しいこと。事務局でも、賛否両論。多々議論をしてきました。6年生にも、その難しさを隠さず、そのまま伝え話してきました。

 第一線で活躍されている、プロのデザイナーである神谷利男、坂本成志の両氏を講師に迎え、見せ方のヒントやデザインの話などを学び、子どもたちと議論してきました。子ども扱いはまったくせず、同じ目線で対話して進められました。その光景はまるで大学生のプレゼン発表授業のようでした。

 この、総合的な学習の時間で地域学習をした成果を、3月のシガタガゾウ月間で発表、展示をすることとなりました。
発表会・展示告知ポスターは、ポスター班で制作。一人一台ずつタブレットを持ちキャンバアプリなどを使いこなす子ども達の手際よさに講師も驚きました。

卒業制作展 ポスター 
[飛び出しゾウやのことが見て分かる学べるポスター グループ 制作]

講師


神谷 利男 [かみたに としお]
グラフィックデザイナー/イラストレーター/画家/第1回シガタガゾウアート展プロデューサー
坂本 成志 [さかもと せいし]
グラフィックデザイナー/「飛び出しゾウや」作者

キャッチコピー「ぞうが逢い多賀ってる!」

キャッチコピーは、250個以上出たアイディアの中から6年生と講師の投票で決定しました。

① 地域の宝「アケボノゾウ」を知ること、広めることをコンセプトにアイデアを出し、6年生が主体となって地域学習に取り組むこと。

②「飛び出しゾウや」で、在校生や新1年生、まちの交通安全を願い、交通標識で地域貢献を目指すこと。

この2つをテーマに、課題に取り組みました。

下記紹介する発表レポート5枚はシガタガゾウ事務局で作成し卒業式の日に配布しました。

8回の学びの時間

12月中旬から、8回にわたり6年生と共に学んで来ました。
1回目の授業は、「デザインについて、ブランディングとは何か?」「飛び出しゾウや」のファンを作るにはどうすればいいか?講師、神谷さんから学びました。
大人でも、普通に生活していると接点がないブランディングの話を、プロから分かりやすく学べたのは、貴重な経験でした。ワークシートも準備いただき、アイディア出しのコツ、アイディアを寝かすこと、他人に見てもらうことなどなど、子どもたちも目を輝かせて聴いていました。

12のグループ


どう見せる?を考えるのは、各自得意分野の見せどころ。
自分たちで考えて、子ども達の自主性を尊重してすすめました。方向性がなんとなく決まり、12グループに分かれて発表に向けて動きました。
LINEスタンプや、ゲーム、ダンスが出てくるのは講師も想定外だったようです。

①飛び出しゾウやのことが見て分かる学べるポスターグループ

②SNSでゾウやをもっと広めるゾウグループ

③ゲームがゾウを呼んでいるグループ

④そうゾウ以上に使いやすいLINEスタンプグループ

⑤みんなが使い多賀るLINEスタンプグループ

⑥パンフレット~ゾウやくんと多賀を知ろう~グループ

⑦ゾウやのグッズを作ってるゾウグループ

⑧夢ありゾウありグッズありグループ


⑨おいしさ飛び出すゾウやの絵本グループ

⑩楽しくおどろうLet’sダンスグループ

⑪ゾウやを愛する車デコレーショングループ

⑫神社にゾウやグッズがやってきたグループ

成果発表

3月1日、12グループのブランディング成果発表と飛び出しゾウやのお披露目を行いました。
ミニ飛び出しゾウや12体に色を塗り、公式「飛び出しゾウや」の仲間を制作。これらの看板は在校生へプレゼントします。町内の各所に交通看板として今後設置を予定しています。
内覧会はあけぼのパーク休館日に開催、非公開で行われました。来賓に地元企業の方、保護者が参列しました。また、報道各社の取材もありました。

上の段 5体  公式 飛び出しゾウや
中段 12体 6年生卒業制作 ミニ飛び出しゾウや
下段 1体 初号機 坂本さん作

寄せられた感想

・小学生の卒業制作という枠におさまらない大変画期的な素晴らしい企画だと感じました。
・実際に使用されるところまでを想定してデザインしたり、副次的な効果が見込めるものだったり可能性を感じました。
・どれも創意工夫がなされており、大人では中々思いつかないような斬新なアイデアをカタチにしていてとても良い刺激を受けました。今回の発表会のような挑戦体験は、今後大人になった時に必ず役に立ちます。是非この思い出を大事にして中学校へ進学していただければと思います。
(すべて原文ママ)

アケボノゾウのことをしっかり学んだ児童は、実行委員会より「シガタガゾウのヒト」に認定!
「シガタガゾウのヒト」ステッカーがゾウ(贈)呈されました!

メディア掲載

彦根経済新聞 2024年3月4日 (Instagram、X:3月6日)
・みんなの経済新聞ネットワーク Yahoo!ニュース、X  2024年3月4日
中日新聞 びわこ版 2024年3月6日
・朝日新聞  2024年3月8日
・読売新聞しが県民情報  2024年3月15日

・多賀町有線放送農業協同組合 Instagram 2024年3月6日
・多賀町有線放送農業協同組合  成果発表展示CM  2024年3月6,8,12,14,18,21,26,29日
・エフエムひこね 成果発表展示CM 2024年3月14日
・多賀町有線放送農業協同組合   2024年3月7日

主催:シガタガゾウのサト祭り実行委員会
後援:多賀町まちづくりネットワーク・YOBISHIプロジェクト
協力:多賀町立多賀小学校・多賀町立大滝小学校・多賀町立博物館・多賀町立文化財センター


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