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ゴムボールとボウリング球。(941文字)



息子がゴムボールをつきながら歌う。

あんたがたどこさ、ひごさ どこさ♪


ゴムボールはよく弾む。
弾力と重さがあるから、風にも流されにくい。
素手でのキャッチボールも、身体にあたってもいたくない。
弾んだ調子で窓にあたってもガラスを割ることがない。

息子って、ゴムボールのよう。

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40日もある、小学校の夏休み。
一日の中でいかに自分時間を捻出するか必死な私。
思うようにやりたいことが進まないひ、やきもきしていると、息子がゆったり言う。


「貴重な今のときを楽しもうね」



外出日。
目的地までの電車内で、先の段取りを頭の中で忙しく組み立てていると彼が言う。
「お母さん、じゃんけんしよっ」
急にじゃんけん?と思いながら、
「ジャンケンポン」


「お母さんの勝ち。今日は最高の日になるよ!」

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先日、突如襲われた腹痛とめまい。
横たわりながら、原因究明に頭を絞る。
ますます気分が悪くなりそうになっていたら、息子がやってきた。
「なにが原因ってことはないよ。ただ疲れてるってこと」
そういって保冷剤とお水を渡してくれた。


夫が風邪をひけばお見舞いの言葉を、インスタを始めた実家の母にはエールを。
画面を一生懸命みながら、気持ちを込めた言葉を打ち込む。


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息子がゴムボールなら、私はボウリングボウル。
ゴロゴロゴーロ ゴロゴロ ガコ ガコン!
天使のような息子に対し、時々はドカンと目くじら。


「それもお母さんらしさの一部だよ。それに、みんな激しいところあるよ。ぼくだってある」
「ほとんどないじゃん。赤ちゃんの時も、機嫌のいいあかちゃんだったよ。ホントときどき理由もなく泣いたり怒ったりしていたかな~」
いたずらっ子っぽくニヤリとし、
「生理前だったんじゃない僕?」

適度にシュールな笑いも自分らしさも、いつの間にやらしっかり身に着けている。


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爪の伸びるスピードや、お通じ具合、一日の食事内容、考えていること、
すべてがわかってしまう距離にいる。
こんな時期はあとどのくらいだろう。

夏休みなにしたい?
お母さんとしたいことある?
「ゆっくりしたい。あとはね、おやつ食べながらおしゃべりしたい」


ゆっくりしよう。
おしゃべりもしよう。

おやつもクイズ、散歩も、歌作りも、セミの観察もしよう。
ラジコンも、ゲームも、映画も、モーニングも、料理作りもしよう。


夏休みはこれから。




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