タキオン=フィンク

これまでに僕がしてきた創作は、バンド活動(作詞・作曲・ギター・ヴォーカル)と、執筆活動…

タキオン=フィンク

これまでに僕がしてきた創作は、バンド活動(作詞・作曲・ギター・ヴォーカル)と、執筆活動(純文学)です。 ここでは、過去の経験を活かして、みなさんに少しでも喜んでもらえるような記事を書きたい、と思っています。 https://youtube.com/@user-vu7ch5gv5f

マガジン

  • 万年筆回顧録『羽毛のタッチ』

    連載中の "万年筆回顧録『羽毛のタッチ』" をまとめました。不定期更新。

  • 短編ミステリー『アムネシアの夜』

    連載中の『アムネシアの夜』の捜査ファイルをまとめました。不定期更新。

  • 小説『EGOILL』

    小説『EGOILL』のChapter.1からChapter.8までをまとめました。8話完結。

  • Tachyonic Field ― タキオン場 ―

    タキオンのとりとめのないつぶやき――エッセイのようなもの――をまとめました。不定期更新。

  • タキオン死臭(詩集)

    2008年以前にタキオンが書き溜めていた自由詩をまとめました。不定期更新。

最近の記事

  • 固定された記事

小説『EGOILL』Chapter.1

あらすじ「〈エゴイル〉というのは、私が発見したウイルスの名前なんです」と彼女は静かに口を開いた。「エゴイルは人間をゾンビに変えてしまうんです」  予想だにしなかった回答に私は首をひねった。「ゾンビ……?」     『EGOILL』Chapter.5より  社畜(ゾンビ)人生をおくっていた滝夫は、ある女性との出会いをきっかけに、かつて志していた芸術の道を再び歩み出す。  芸術の道とは、真に人間たろうとする道。  しかし、真に人間たろうとすればするほど、滝夫個人の人間的幸福は滝

    • 万年筆回顧録『羽毛のタッチ』第六回

      六、パイロッ党への誘い「国産万年筆の強み」と言えば、まずは特殊ペン先の存在が挙げられると思う。PILOTなら16種類、SAILORなら14種類のペン先がラインナップされている(舶来万年筆の場合、8~5種類が一般的だ)。※PULATINUMは8種類なので除外する。  この連載をお読み下さっている方なら、既にお気づきかもしれないが、僕はカリグラフィタイプの――つまり、縦線が太く横線が細くなる――ペン先を好む。  なぜ、縦線が太く横線が細くなるペン先が好きなのか? と問われたな

      • 万年筆回顧録『羽毛のタッチ』第五回

        五、KING OF 万年筆 パイプ界には、「いつかはダンヒル」というフレーズがある(僕はシャーロキアンなので、パイプ煙草を嗜む。ちょっとしたパイプコレクターでもあるのだ)。その言葉を万年筆に置き換えるとするなら、「いつかはモンブラン」ということになるのだろうか、――そう言えば、ダンヒルとモンブランには共通点がある。どちらも本業(ダンヒルなら煙草、モンブランなら万年筆)を疎かにして、ファッションブランド化してしまったという点において(それもその筈、モンブランはダンヒルに買収され

        • 万年筆回顧録『羽毛のタッチ』第四回

          四、先生と僕 僕が川口先生と初めてお会いしたのは、2006年〜2007年頃だったと記憶している。その頃、「スローライフ」がどうとやらで、万年筆が静かなブームを呼んでいた(ムック本『趣味の文具箱』のナンバーがまだ一桁台だった頃だ)。PIOTからは色彩雫シリーズが発売されたり、WAGNERの『ペン!ペン!ペン!ファウンテンペン 私が選んだ一本の万年筆』が出版されたり、私の地元に万年筆コーナーを前面に押し出した小洒落た文具店がオープンしたりした。  私は、その文具店の常連客となり、

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        小説『EGOILL』Chapter.1

        マガジン

        • 万年筆回顧録『羽毛のタッチ』
          6本
        • 短編ミステリー『アムネシアの夜』
          1本
        • 小説『EGOILL』
          8本
        • Tachyonic Field ― タキオン場 ―
          1本
        • タキオン死臭(詩集)
          10本
        • アルビオンオンライン ロイヤル大陸滞在記『タゲ取り物語』
          4本

        記事

          万年筆回顧録『羽毛のタッチ』第三回

          三、書けない万年筆とインク沼「旨いものをみるとキクマサが欲しくなり、 辛口のキクマサを飲むと、旨いものが食べたくなる。」  懐かしの菊正宗のCMのフレーズだ。  このフレーズに万年筆を当てはめると次のようになる。 「万年筆を集めると字幅を太くしたくなり、字幅を太くすると、多彩なインクを呑ませたくなる。」  この領域に踏み込むと、色々と大変なことになる。今回はその大変なことについて記そうと思う。  初めての万年筆を購入する時、大抵の人は「F(細字)」か「EF(極細字)」を選ぶ

          万年筆回顧録『羽毛のタッチ』第三回

          短編ミステリー『アムネシアの夜』事件簿その1

          1.カヴェコのシャーペンを追え『アムネシア(記憶喪失)の夜』とは、過去にタキオンが購入したものの、買ったことさえ忘れてしまっているような――いわば、お蔵入りになった――アイテムたちをピックアップして、「いつ、なぜ購入したのか」を読者と一緒に思い出そう、というセルフ推理小説である。  今回の依頼物は、ご覧の通りだ。素敵な缶ペンケースに入った銀色のシャーペンである。  KAWECO(カヴェコ)社を知らない人のために、以下に説明しよう(日本語のwikiがなかったので、代理店のHP

          短編ミステリー『アムネシアの夜』事件簿その1

          万年筆回顧録『羽毛のタッチ』第二回

          二、羽毛のタッチとPelikanフィーバー 前回の続き――PARKERソネットを購入する際に、興味本位でPelikanスーベレーンM400を試し書きしたこと――を語る前に、万年筆について予め話しておかなければならないことがある。万年筆の構え方(持ち方)についてだ。  万年筆で筆記する際には、鉛筆やシャープペンシル、ボールペンと同じように構えてはならない。万年筆用の構えとは、これ即ちペンの中ほどを持つことを指す。ペンの中ほどを持つと、自然と筆記角度が傾斜する。20度から30度ぐ

          万年筆回顧録『羽毛のタッチ』第二回

          万年筆回顧録『羽毛のタッチ』第一回

          一、至高の筆記具・万年筆  万年筆のことを書こうと思う。  僕は、今では万年筆を30本以上所有している。万年筆歴は32年だ。マニアとまではいかないまでも、万年筆について人に語れるぐらいの知識は持ち合わせているつもりだ(文房具全般については、マニアを名乗ってもいいかもしれない)。  正直なところ、僕の身近な人たちの中に、万年筆を愛用している人は一人もいない。僕から受けた影響によって、万年筆を使い始める人も何人かはいた。が、みんなすぐに飽きてボールペンに戻っていった。  まぁ、そ

          万年筆回顧録『羽毛のタッチ』第一回

          自由詩『黄色いバケツ』

          連絡がついたとしても、 結局何の連絡にもならない。 ただ朧気に互いの存在を確認し合うだけ。 それが一体、何だと言うのだ? メッセージはいつも、 頭の中では明確な色彩を帯びているのに、 外に出してしまった途端、 あっという間に薄まって、 跡形もなく消えていく。 それはまるで、 絵の具の付着した絵筆を、 筆洗バケツの水に浸した瞬間、 スーッと色が拡散して、 元々何色だったのか、 判別出来なくなってしまった時のようだ。 連絡がついたとしても、 伝えたいことは薄まって、 何色だ

          自由詩『黄色いバケツ』

          自由詩『鬼ごっこ』

          追うと逃げられ、 逃げると追われる。 いつまで経っても捕まえられないし、 いつまで経っても捕まえてもらえない。 果てしない鬼ごっこの最中、 曖昧な攻守交代だけが、 漠然と繰り返されているような気がした。 追うと逃げられ、 逃げると追われる。 いつまで経っても捕まえられないし、 いつまで経っても捕まえてもらえない。 果てしない鬼ごっこの最中、 「自分は本当にこのゲームに参加しているのだろうか?」  と疑った。 なぜなら、 いつまで経っても捕まえられないし、 いつまで経っても捕

          自由詩『鬼ごっこ』

          自由詩『常夜幽世』

          口だけ一丁前な あなたの言い分は 何が何だか分からない 中身何にもない 自分に嘘つきな おいらの言い分も 保身まみれで反吐が出る お話にならない あなたも私も何かが足りない 自尊心だけがカラカラ音立て あなたも私も満足できない 自尊心だけがカラカラ空回りして 芸術にだけ宿る真実 嘘・嘘・嘘・嘘 現し世の影に怯えて 逃れられないよ 僕の存在さえ みんな 嘘・嘘・嘘・嘘 隠り世の影に追われて 逃れられないよ 口だけ一丁前な あなたの言い分は 何が何だか分からない 中身何に

          自由詩『常夜幽世』

          自由詩『蜻蛉の眼』

          白昼堂々お化けを見る、 おどろおどろしい霊能力者のように、 僕には見える。 人の背後に潜む欲の影。 エゴイストに成り切って、 闘牛のように猪突猛進。 目先の事しか見ていない、 彼等のようになれたなら! そう思うときも、 全く無いと言ったら嘘になる。 でも哀しいかな、 僕のオメメは蜻蛉の眼。 あらゆる個眼で見てしまう。 「悪いのは彼じゃない。 罪深きは人間そのものなんだ」 口で言うのは容易いが、 やっぱり彼も憎らしい。 人を憎んで彼を憎まず。 人を憎んで彼を憎まず。

          自由詩『蜻蛉の眼』

          自由詩『Metamorphose』

          漂泊する魂が、虚偽の極みに達した瞬間、 絶望という名の空っ風によって、 危うい希望の幻燈が掻き消され、 埋葬されていた僕の死骸が蘇る。 土中から勢い良く飛び出した片腕が、 虚空に浮かぶ芸術の手摺りを摑み取り、 僕の躰を引き起こす。 乾いた言葉の土塊を道連れにしながら。 背中に生えた惡魔の翼で羽撃くと、 本音と建前の丘を飛び立った。 眼下には否定の鎌鼬が発生し、 乱立する二枚舌どもの墓標を切り裂いた。 こうして僕は、大空高く舞い上がり、 したり顔したあらゆる意味と対峙して

          自由詩『Metamorphose』

          自由詩『おk おk』

          まんざら嫌でもねぇ そんな時 もったいぶってるなんて もったいねぇ もじもじしてんじゃねぇよ おk おk もじもじしてんじゃねぇよ おk おk そっちの出方次第で 考えよう そんなこと言ってないで 先に出ろ けちけちしてんじゃねぇよ おk おk けちけちしてんじゃねぇよ おk おk もじもじしてんじゃねぇよ おk おk けちけちしてんじゃねぇよ おk おk 📝2007年作

          自由詩『おk おk』

          自由詩『イカロス』

          なりたくなかったものにだけ なってしまった今 思考回路を停止させて このまま生きていくのか? 炉端の幸福に甘んじて 満足しているのかい? 思考回路を停止させて このまま生きていくのか? そうだ こっちへ来いよ すぐに楽にしてやるぜ そうだ こっちへ来いよ すぐに楽にしてやるぜ 蝋で固めた翼広げ 空高く飛び立った 僕は全てを見つめ 否定してやる 蝋で固めた翼広げ 空高く飛び立った 僕は全てを見つめ 否定してやる 今日もタイムカード打刻して 明日もまた繰り返して 思考回路を

          自由詩『イカロス』

          自由詩『狐と蛙』

          人に使われている人間は、 奴隷根性の持ち主だ。 人を使っている人間は、 選民思想の持ち主だ。 人に使われている人間は、 見て見ぬふりをする人間だ。 人を使っている人間は、 人を見る目がない人間だ。 人に使われている人間は、 会社(社会)に画一化されてしまった人間だ。 人を使っている人間は、 他人を支配(マインドコントロール)しようとする人間だ。 人に使われている人間は、 虎の威を借る狐だ。 人を使っている人間は、 井の中の蛙だ。 人に使われる人間にはなりたくな

          自由詩『狐と蛙』