自由詩『Metamorphose』
漂泊する魂が、虚偽の極みに達した瞬間、
絶望という名の空っ風によって、
危うい希望の幻燈が掻き消され、
埋葬されていた僕の死骸が蘇る。
土中から勢い良く飛び出した片腕が、
虚空に浮かぶ芸術の手摺りを摑み取り、
僕の躰を引き起こす。
乾いた言葉の土塊を道連れにしながら。
背中に生えた惡魔の翼で羽撃くと、
本音と建前の丘を飛び立った。
眼下には否定の鎌鼬が発生し、
乱立する二枚舌どもの墓標を切り裂いた。
こうして僕は、大空高く舞い上がり、
したり顔したあらゆる意味と対峙して、
これらを地獄の業火で焼き払い、
無意味の灰燼へと葬り去った。
――勝利の美酒に酔い痴れていたのも束の間、
今度は僕が紅蓮の炎に包まれた。
「お前の存在も無意味なのだ! ふはははは」
背後から地獄の業火の疳高い笑声が聞こえる。
薄れゆく意識の中で、僕は自分に言い聞かせる。
「死と再生を繰り返すこの果てなき徒労こそが、
唯一絶対の意味なのだ……」、と。
再び本音と建前の丘に埋葬された僕の亡骸。
魂だけが、今日も虚偽と絶望求めて彷徨い歩く。
📝2007年作、2023年筆削
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