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パニック障害を持ったまま、国際線に9時間乗れた方法

こんにちは!
カウンセラー/カードリーダーの橘奈緒美です。

今回はパニック障害でも海外旅行できたし、一人で飛行機も乗れたよ、ということについて書いてみたいと思います。

写真は旅先で撮ったものです。
旅行へのワクワクも、少しだけお伝えできたら嬉しいです。


私のパニック障害の状態

現在は発作が出ることはかなり少なくなりました。
それでもショックなことが起こった時、身体が疲れすぎた時、不眠気味の時など、年に3回くらい発作が出るかどうかの寸前まで行くことはあります。

なので通院はしておらず、身体に異変を感じ始めたら頓服薬を飲めばコントロールできる「寛解」に近い状態と思われます。

完治をゴールにできるものでもないのと、日常生活への支障はほぼないので焦ってはいません。

私が旅行中に最初のパニック発作を起こしたのが2017年で、帰国後に通院で薬物治療を2年半ほど行いました。

その後は自分で食生活や運動などを見直し、かなり良い状態になってきたと思います。

満員でなければ電車も乗れますし、新幹線と国内線の飛行機もこの2〜3年ほどで乗れるようになりました。

そこで今回は国際線に6年ぶりのチャレンジをすることにしました。

今も「もう飛行機は平気です!」と自信満々に言えるわけではないので偉そうなことは何も言えませんが、

「元々は旅行が大好きだったのに、パニック障害で行けなくなって辛い!」

「もう一生海外旅行に行けないのかな」

「電車でも不安なのに飛行機に乗るなんて、怖すぎる」

「飛行機の中で発作が出たらどうしよう」

「現地で発作が出たらどうしよう」

といった、私と同じ不安を抱えている方の参考の一つになれば良いな、と思います。

おこがましいかとも思ったのですが、あくまでも私個人の体験談としてお読みください。

私が旅行のために準備したことや持っていってよかったものもご紹介しますので、お役に立てれば幸いです。

大好きだった旅行に行けなくなったことで自信も無くしていた

私はもともとはロングフライトや長距離鉄道は割と得意な方だったと思います。

ワーキングホリデーに行ったり、有給休暇でちょこちょこ国内、海外問わずいろんなところに旅行をしていました。

そんな私が、まさか飛行機どころか電車もバスも乗れなくなるなんて本当に想定外でした。

発症当時のことやパニック障害との付き合い方については、下記の記事を読んでいただけると幸いです。

発症したときは、理由がわからずなぜそうなったのかばかり考えていました。

それまでに溜まったストレスや疲れで心身が悲鳴をあげていて、たまたまスイッチになったのが飛行機だった、ということだと思います。

そこから今回の旅行までの約6年は「予期不安」(発作が起きる恐怖が強く、苦手な場所を避けようとする)から自信をなくしてしまい、国際線はずっと避けてきました。

今回、国際線にチャレンジしようと思った理由

一昨年、かなり緊張しつつも東京から神戸までの1時間はなんとか飛行機に乗ることができました。

でも国際線となると移動時間は長いし、誰かが一緒ならともかく、一人で乗るなんて怖すぎる!
と思っていたのですが・・・

海外ノマドをしている友人が、「ウブドに来たらきっと元気になれると思う。今泊まっているとこに来ていいよ!」と言ってくれたんですね。

機内は一人だけど、着いたら友達がいると思えば、万が一発作が出ても薬を飲めばいけるかも?とジワっと希望が湧きました。

それでもやっぱり怖くて、チケットを予約するまで何週間も迷ってなかなか決断できませんでした。

でもいつかはまた海外に行きたいし、

「いざとなればキャンセルすればいいや!えい!」

と出発1ヶ月前くらいに航空券を購入。

でも少しでも体調を崩したり寝つきが悪い日には、

「やっぱり行けない、無理だ」
「9時間も乗るなんて怖すぎる」
「ていうか今日もお腹の調子が悪いし、こんなことで不安になるなんて海外は無理なのでは」(私はお腹が不快だと発作が起きやすい)

という不安祭りが、毎日開催されていました。

これね、パニック障害が理解されにくい理由の一つでもあるのですが、ただのネガティブ思考とは全く別物なんです。

発作が起こると突然身体がいうことを聞かなくなるので、実質的に解決しなければいけないこと(安心できる場所に移動する、薬を飲む、人によってはトイレに行くなど)がある。

だからもし周りにパニック障害の方がいて、「不安だ」と言ったときには「悪く考えなきゃいいんだよ」「もっとポジティブに考えようよ」というアドバイスは全く役に立ちません。

どちらかというと、「発作が起きてもすぐに薬があるから大丈夫」「医療機関にアクセスできるから大丈夫」という状態を作ったり、目的地まで付き添ってくれたり、背中や腕をトントンしてくれる方が私は安心します。

これは人によって違うと思うので、その人に「どうしたらちょっとは安心できる?」と聞いてあげるのが一番かな、と思います。

話が少しそれましたが、
「もし行けるとしたらどれだけ自信がつくだろう?ここで行かなかったら、もうどこにも行こうと思えないかも」

そんなことをグルグル考えながらも、最悪当日無理ってなったらキャンセルする!と決めて、「身体づくり」と「安心材料をたくさん持っていく」をテーマに準備することにしました。

飛行機や旅先でパニック発作を起こさないように準備したこと

帰りの飛行機の中で、これまでやってきたことを思い出していました。

基本的なことばかりだけど、普段からできていないからたまに発作が起きかけていたんだな、ということに気づきました。

この7つのことを一つずつ解説します。

1.毎朝散歩をする

心療内科や精神科の先生たちの本やYoutubeでは、必ずとっていいほど朝起きて1時間以内には太陽の光を浴びることと運動が勧められています。

私はパニック障害発症当時から樺沢紫苑先生のYoutubeを観ていましたが、毎日実践できていたかというと、ちょっと油断すると引きこもりになりがちでした。

自営業で通勤がないのも、私が意識的に外出しないといけない理由の一つです。

今回旅行が決まってからは、よほどの悪天候でない限りは毎朝近所を散歩したり、休みの日はカフェにモーニングをしにいったり、ちょっと遠くの神社まで参拝しにいったりしていました。

セロトニン不足が不眠や不安の原因になるというのはご存知の方も多いと思いますが、それを解消するための一番簡単な方法が朝散歩をすること。

体力もつくし、朝しっかり動いた日は寝つきもよくなるので、もしやっていない方がいたら一番に取り入れることをお勧めします。

ちなみに私はジムに通ったこともありますが、室内で運動してもあまり気分が良くならなかったので、もしジョギングなどをしたい場合は外か、日が当たるオープンな空間のジムを探すと良いのかなと思っています。

2.腸活を意識した食生活

これもセロトニン不足対策なのですが、私はもともとお腹が強くないので下痢や便秘をしないためにも必要なことです。

お腹の調子が悪いと不快感から「発作が起こる前兆かも」という思考に直結しがちだったので、お腹を壊さないもともとの土台作りは大事。

1.自分に合った整腸剤を毎日飲む
色々試したけど、私はミヤリサン錠が体質に合ってた。

2.乳製品をとる
これは人によるところが大きいと思う。
ヨーグルトやチーズでお腹を壊さない人は、食べるとセロトニンの材料になる。

3.肉をそこそこ食べる
鉄分が不足すると貧血になって、それも発作を起こす原因になり得る。
そして旅先で肉を食べてもお腹が張ったり気持ち悪くならないように慣れの意味でも。

4.野菜をたっぷり食べる
ほうれん草や小松菜などの葉物野菜、きのこ類などを多めに食べています。

5.プロテインを飲む
私は朝晩2回飲んでいます。
間食が減るし、甘いものへの欲求が減るので、急な血糖値の上下で震えたりすることがなくなりました。

6.サプリで栄養を効率的にとる
これは通院中の方はお医者さんと相談してください。
私は鉄、ビタミンD、リポソームビタミンCなどを飲んでいます。

7.カフェインとアルコールは避ける
これもパニック障害になった人はまずやらないと治りにくいと言われています。
発作を誘発しやすいので、「苦手な場面」が増えないためにも必須!

3.鍼で緊張を緩めてもらう

鍼の効果も人それぞれだとは思うのですが、私は整体やマッサージよりも即効性がある気がしていて、月に1〜3回ほど行っています。

美容鍼をしに行くところと、体調を整えるために行っているところがあって、その時の身体の状態で施術してもらう内容を決めています。

パニック障害は緊張とセットなので、身体が凝っているというより、気づけば身体のどこかにぎゅっと力が入っていることが多いかと思います。

私の場合、マッサージはとても好きなのですが全身が緩むまでには結構時間がかかるので、鍼を打つ一瞬だけ緊張しますが、その後すぐにほぐれる感じは合っているなと思います。

ただ、ウブドのマッサージは1時間1,500円〜2,000円位で技術もうまい人が多いので、毎日受けられたのも今回の旅で発作が出なかった原因の一つかな?と思っています。

疲れが溜まって抜けなくなる前に、予防として鍼やマッサージを取り入れるのはとても有効でした。

4.自分に合った方法で瞑想する

これもなかなか毎日はできていなかったのですが、見つけてしまったのです!

「ぬん先生」の寝たまま瞑想!
もちろん朝や夜寝る前にできる瞑想やヨガ、パニックを鎮めるためのヨガなども発信してくださっていて、LIVE配信のときもあります。

私はこの先生の動画を聴きながら眠ったり、朝起きてすぐに瞑想やヨガをすることで「眠れなかったらどうしよう」という不安感や朝の焦り感がだいぶ解消されてきました。

教室に通うのは着替えたり化粧したりしなきゃいけなくてハードルが高いし、オンラインでも良いけど、私は自分に合った先生を見つけて、繰り返し同じ瞑想やヨガをする方が習慣化しやすいと感じました。

5.安心キットを作る

不安から発作につながってそうなとき、いかに「早めに気をそらせるか」「発作まで行かないようにできるか」というのは重要なことです。

多くの方が実践していると思うのが、「ガムを噛む」「フリスクなどスッとするものを食べる」「顔を冷やす」「身体は冷やさない」「水を飲む」などかなと思います。

この辺までは今までも取り入れてきましたが、さらに自分を安心させる方法を探して、機内に持ち込める「安心キット」を作ることにしました。

安心キットの中身はこんな感じ。

1.一粒がデカめのミンティア
細かいのより噛みごたえがあって意識をそらしやすく、飴みたいに舐めてスースーを持続させることもできるから。

2.グミ
私はガムよりグミのネチネチした食感の方が心地よいと気づいたから。
ずっと好きなのはHARIBOのグレープフルーツ味、最近見つけてたくさん買ったのはこれ。
空港でも機内でも、ちょっとソワソワしたら食べてた。

3.頓服薬を多めに、数回分
実際に1日に飲める回分だけ持つより、こんだけあるから万が一乗り継ぎが発生したりロストバゲッジしても薬があるから大丈夫!というお守り感。

4.整腸剤
お腹がゆるくなってもこれがあるから大丈夫、というこれもお守り感。
もちろん当日も飲んでおく。

5.ノイズキャンセリング付きイヤホン
帰りは深夜便だったので寝るために耳栓も持っていたけど、私は耳鳴りしてしまうのでイヤホンが本当に役立った。

落としたら困るのでヘッドホンをお勧めする人もいるけど、マスクしたりアイマスクしたりと顔周りに色々あるので、私はしっかり耳に入る小さいサイズのイヤホンを探しました。
もしパニックになって無くしても泣かない価格のもの、と言うのも大事。

6.空のマイボトルとハーブティーのティーバッグ
機内でCAさんに頼むとボトルにお湯を入れてもらえるので、自分のタイミングで飲める。

ほっとできるし、乾燥対策にもなり、何度も呼ぶのは申し訳ないという気持ちにならなくて済む。
紙コップをもらっておけば味変もできるし、これは今回試して一番良かったかも。

7.アロマのロールオン
首や肩、鎖骨周りに塗ると結構スッとするので、これはかなり気分転換になった!
色んなブランドのを試したけど、私はこれが一番パンチがあって香りも好き。

8.ぬれマスク
これは普段使ってみて、息苦しさを感じないかどうか試してから使いました。
私は鼻や喉が乾燥するとだんだん鼻がむずむずして息苦しくなったりするので、保湿されるのはとても良かった。

「安心キット」は巾着に入れてすぐ取り出せるようにしておいて、席に着いたら前席のポケットに入れておきました。

前もってキットを作っておいて、普段からどの程度安心感が得られるかを試しておくと良いと思います。

6.少しでも良い席を予約する

もちろんファーストやビジネスクラスに乗れたら良いけど、エコノミーだと隣の人の体格によってはかなり圧迫感を感じますよね。

ということで、前が壁になっていたり、足元が広めな非常口横の有料座席を予約するというのも一つの手だと思います。

ただそういう席は手荷物を全て上の棚に入れなければならないので、私のように安心キットや上着を常に身近におきたい、という人には向きません。

以前非常ドア横の席に乗ったことがあったのですが、前席が無いなら無いでなんとなく心許ない感じもあります。

いざ緊急事態となれば、CAさんのお手伝いをしなければいけないルールがあるというのも若干のプレッシャーです。

ということで、私はオンラインチェックインの開始時間になったらすぐ航空会社のホームページにアクセスして、チェックインと同時に「隣が埋まっていない席」を予約しました。

それでも当日には隣に人が来る可能性は十分あります。
なので、カウンターで荷物を預ける際、もう一度スタッフの方に「隣の席は空いていますか?」と確認します。

もし埋まっていたら、隣が空いている席に移動することは可能か聞いてみます。

後ろの方の4列席などは隣が空いていることもあるので、もしそういう席があったら移動させてもらえることもあるからです。

搭乗してからCAさんに移動させて欲しいと頼むのはちょっと勇気がいるし、他のお客さんの目もあるからやりにくいけど、カウンターなら確実です。
だから早めに空港に着いておくことも大事。

(とはいえ満席で移動できない場合も考えて、通路側がいいか窓側がいいかの希望だけは叶うよう、席は必ず予約しておきましょう)

さらにカウンターで「パニック障害を持っていること、薬は持っているということ」も伝えておくと良いと思います。

こういったことはCAさんにも情報共有されるようなので、万が一発作が出てしまってもわかってくれていると思えば、少しは安心できるかと思います。

不安な方はこちらの動画が私の安心材料の大きな要因になったので、観てみてください。

Ryu Crewさんは客室乗務員としてお仕事に関することやカナダでの生活を発信されていますが、とにかく優しい言葉選びをされています。

「迷惑かけちゃうかも」という意味での不安な気持ちがある方は、この動画を観て欲しいなと思います。

私は今回のチャレンジをする上で、優しく背中を押していただいたような気持ちになりました。

Ryu Crewさんは2024年3月に書籍「自由へ飛び立つ翼の育て方」を出版されました。
その中でも乗客として乗る時のこと、ご自身のパニック発作の経験について触れられていますので、気になる方は読んでみてください。


7.リラックスできる or 面白い動画を用意しておく

これは人によって色々だと思うのですが、私が今回用意したのは、先ほどご紹介したぬん先生の瞑想動画、そしてRyu CrewさんのVlogです。

Ryu Crewさんの愛犬ゆず君との日常やオカン(関西弁CAさんなので)とのやりとりはほっこりして面白くて、最近の癒しなのです。

旅先での過ごし方も独特で本当に面白くて、機内ではオフラインダウンロードした動画を延々と観てたけど、全然飽きませんでした笑

Audibleで聴きたい本もダウンロードしておきました。
揺れる機内で文字をたくさん読むと気持ち悪くなる可能性があったので、これもとても良かった。


今回は原田マハさんの「板上に咲く」という棟方志功の物語です。
俳優の渡辺えりさんの朗読はまるで演劇を見ているように引き込まれるので、かなり不安を忘れることができたと思います。

ダウンロードして途中まで聴いておいて、続きが楽しみな状態を作っておきました。

無事帰ってこられたことで自信がついたと同時に、愛をたくさん受け取れた

最後はタンクトップ一枚で外出られるくらい元気になれた私!笑

ということで、準備したことは以上です。

今回はパニック障害を持っている私が、どうやって行き9時間(マナド経由バリ)、帰り7.5時間(バリー成田)の国際線に乗れたのか、を書きました。

以前はパニック発作が出ることを人に言うのはすごく恥ずかしくて、気を遣わせるようで申し訳ない気もしていました。

でも今回自分が必要とする情報を探したとき、色んな方が「不安な方へ向けて安心材料を発信していること」を目の当たりしにして、
「もしかしたら同じような境遇で海外旅行に行きたいと思っている方にとっては、私が体験したことも安心材料の一つになる可能性があるかも?」
と思ってこの記事を書きました。

そして今回誘ってくれた友人のMayuちゃん、気をつけて楽しんできて!と不安がる私を励ましてくれた友人たち、たくさんの有益な情報を出してくださっている著者やYoutuberの方、バリヒンドゥーの神様への祈り方を教えてくれた少年、そしてバリの神様まで、色んな人たちに感謝をする旅でした。

本当にありがとう。

そしてインドネシア語で「ありがとう」はTerima kasih (テレマカシ)と言いますが、「愛を受け取る」という意味なんですって。

私は今回、たくさんの愛を受け取れたのを実感しました。

だって、毎晩「今日も良い1日だった〜!」と言って寝て、朝は鳥や動物の声がして「生命がうるさ〜い!(いい意味で)」と言って起きられるって最高です。

ご飯も美味しくて、よく眠り、美しい景色をみて毎日マッサージを受ける。

健康的で愛が溢れる5日間で、また他の国も行けるかも?と、少し自信を取り戻せた気がします。

長くなりましたが、最後まで読んでくださってありがとうございました。

普段の私はカウンセリング、カードリーディングのセッションを通して、魅力あふれる本来の自分と繋がるお手伝いをしています。


皆さんが、たくさんの愛を受け取れますように。Terima kasih!


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