見出し画像

【ロンドン】あの怖い絵が頭から離れないので、出掛けてきた【一人女子旅】

みなさん、この絵、見たことありますか?

画像1

こちら、2017年に東京上野で開催された『怖い絵展』という展覧会でポスターに使用されていた絵です。Twitterでも当時バズっていたので、「見たことある!」な人も多いのではないでしょうか。

しかし、この部分だけ見ても、「怖い絵?何が?」と思った方もいるかもしれません。実は、こちら絵のほんの一部分なのです。

絵の全体を見てみましょう。どどん。

画像2

ポール・ドラローシュ作 『レディ・ジェーン・グレイの処刑』

女性が手を伸ばしているのは、自らが処刑される斬首台。絵のタイトルの通り、白いシルクのドレスを身にまとい、目隠しをされたジェーン・グレイがこれから処刑される場面が『怖い絵』たる所以です。

この絵の主人公、ジェーン・グレイは、周りの大人たちの身勝手な野心から、16歳という若さで玉座に祭り上げられ、そしてこれまた大人たちの勝手な都合で、たった9日間のみ女王として君臨した後、処刑台に追いやられてしまいました。

自分と対して年も違わぬ女性が、政治的理由かつショッキングな方法で若い命を落としたことに衝撃を受けたと同時に、

これから消えゆく命にも関わらず、一点のシミのない綺麗な白いシルクのドレスに身を包み、自ら自分が処刑される斬首台に手を伸ばし、最後まで誇り高さを失わない態度を不謹慎ながら美しいと感じてしまいました。

また、左側奥に位置する侍女は神に祈るような態度で手を上げながら、耐えられないと言わんばかりに、これから起こる悲惨な光景に背を向け、
もう一人の手前の侍女はあまりの悲しみに失神し、直前までジェーンがつけていたであろうマントと宝石を握りしめています。

画像3

この描写からも、ジェーンが同世代の女性からいかに慕われており、愛されていて、誇り高い女の子であったのかが伺えます。現に、王位継承者4位として両親から厳しい教育を受け、「イングランド1の才女」と謳われていたようです。

私は、ずっとこの絵を見ていると、まるで自分が実際にこの光景に立ち会った感覚に陥り、この絵が頭からなかなか離れませんでした。

そして、この怖く、悲しくも美しい魅力的な絵に惹きつけられた私は、

ジェーンが実際に処刑されたというロンドン塔と、この絵をもう一度見に、所蔵場所のナショナル・ギャラリーに足を運んでみました!

画像4

快晴とロンドン塔

ロンドン塔入るには、団体客が多いため、チケット買うのにも一苦労!なので個人で手配する場合には、ネットでの予約がおすすめ。

ロンドン塔の衛兵さん、本当に厳しくて、チケットの入場時間締め切り時間3分前に滑り込める!とおもったら、今日はもう終わり!と言われ、、、。
まだ時間あるじゃん!と私が交渉している間にもどんどん観光客が来て、みんなでわいわい抗議したのですがだめでしたので、この日は近くのスタバで一服しながらロンドン・ブリッジの橋の上げ下げだけチラ見しました。

画像5


これはこれで夜のライトアップが綺麗で大満足!日によるので、タイムテーブルを要チェック

また次の日、朝イチで再チャレンジ。すんなり日付交換してもらえたチケットで入場。(ここはいいのかぁ。。)

入場してすぐわかる空気の重さ。霊感とか全くないけど、周りの石塀が重苦しい。これはぜひ体感してほしい。。。

雰囲気に負けず入り口からまっすぐ歩くとホワイトタワーに到着!

画像6

中は、かっこいい鎧や剣等のロンドン塔の血にまみれた歴史を彩ってきた銀製品が展示されていたりと、盛りだくさんでみどころ満載!

画像7

この写真のような、すっっごい狭い階段とかよくわかんない通路とかもそのまま生かしてあって、震えました。

ちなみに拙い感じですが、日本語の説明もあるので優しい(^o^)

そして、目的のジェーンの処刑場へ。

画像8

絵では室内で処刑されたようでしたが、実際は屋外だったようです。

綺麗なテーブルにお花が一輪とポエムが刻んでありました。

Gentle visitor pause a while,
Where you stand death cut away the light of many days.
Here, jewelled names were broken from the vivid thread of life.
May they rest in peace while we walk the generations around their strife and courage,
Under these restless skies.

ちょっとイギリスらしくない(?)優しいポエムでうるっと来ました。

お察しの通り、ジェーンの他にも、ここでは様々な著名人から極悪人まで処刑されています。ささやかながら、私もお祈りしてきました。この日はこれまた、ロンドンらしくない快晴の日で、まさしくrestless skyを感じました。

ロンドン塔は他にも女王が実際にかぶっていた宝石キラッキラの王冠を見ることができたり、それら貴重な財産を守っているガチ現役の兵隊さんがいらっしゃるので、歴史に興味がなくてもぜひ訪問してほしい場所です!

ただ、世界的にも有名なガチの心霊スポットなので気をつけてください。ブラッディー・タワーやホワイト・タワー(名前からもう怖い)から、幽閉され殺された幼い双子の王子の足音や姿が見えるとのこと。。。(あ、だから日が沈む前に絶対に閉まるのかな。。。?)

画像9

ロンドン塔ではカラスを公式で飼っているらしい。まさしくイギリスっぽくてウキウキ。

次は実際に絵が所蔵してある美術館、ナショナル・ギャラリーへ!

画像10

ナショナル・ギャラリー

めちゃくちゃ広くて迷路のような館内をさまよましたが、、、

画像11


ついに!

画像12

絵をじっくり見る観客が多いため、ナショナルギャラリーの床がすり減ってしまうくらい、人気の高い絵ということで行ってみると本当に床がすり減っていてびっくりしました。

縦2.5メートル、横3メートル(ざっくり高校とかの教室の黒板2枚を縦並べしたくらい)の大きな絵なので、実際、目の前に人がいなくなるまでかなり待ちしました。。。

日本の展覧会では写真はぜっっったいに取れなくとも、所蔵元にいけば写真撮り放題なのは旅行しないと味わえない醍醐味♪


日本では絵と距離も遠く、人が押し寄せている中で鑑賞でしたが、今回はじっくり心ゆくまで鑑賞出来ました。自分よりだいぶ大きい絵なのに、どうしてか、その場面に居合わせてしまうようなリアルさ。今回も堪能できました。またゾゾッとしに見に来るね。

さいごに

ナショナル・ギャラリーをはじめ、ロンドンの美術館をまわり、私が衝撃を受けたのは、芸術が人々の生活の近くにあることです。

幼稚園の遠足をやっていたり、絵の前で人々が待ち合わせをしていたり、家族での娯楽の時間として訪れていたり。なかなか日本では見られない光景だと思います。

画像13

絵が好きな私にとっては、このロンドンの街のように、生活の一片に美術があれば、ほんの少し人生の楽しみが広がるんじゃないかとも思いました。

私はもともとギリシャ神話やキリスト教に興味があり、宗教画から絵画に興味を持ち始めました。大学を卒業してしまった今は、完全独学で絵の勉強をしていますが、今回のように、旅行のテーマにしたり自分の知見の裾野を広げるきっかけにしたりと割と自由に楽しみながら学んでいます。

お家から出られない、こんなご時世ですが、普段美術に興味のない人にとっても、お家でも出来る自分なりの時間の過ごし方の一つの提案になればと思います。

ちなみにですが、ナショナル・ギャラリーではいつでもオンラインで所蔵品をじっくり見ることができます。詳細はこちら

最後までご覧いただきありがとうございました!

出典:https://www.nationalgallery.org.uk/paintings/paul-delaroche-the-execution-of-lady-jane-grey

--------------------------------------------------------------------------------------

画像14

ライター:riri
個人ノート:週に2-3本のペースで作品を見ている私が、おすすめの映画/アニメ/ドラマをご紹介しています☺️こちらから♪

この記事が参加している募集

おうち時間を工夫で楽しく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?