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旅好きの思考 "旅をして脱皮する"

旅好きがあつまるコミュニティTABIFLEEEEEKのKuniです。
旅好きの思考」シリーズ第三弾です。旅に熱中している人へ取材をし、旅に魅了されるその人の人物像も探っていきます。

取材相手は会社のスタッフ、サロンメンバー、はたまた外部の人など興味の赴くままにすすめようと思っています。どこか共感してもらえたり、発見があったり、さらに読んだら旅したくなっちゃった!と思ってもらえたら最高です。頑張ります、ぜひ最後までお読みくださいませ。

インタビュー プロファイル3 ) 愛知県出身、トルコ在住9年目、1年間のうち2ヶ月はキルギスで観光開発プロジェクトに携わっているtanoueさん。日本語、英語、トルコ語を扱うトリリンガル。世界中旅した国は60ケ国以上でも、一生住むならやっぱり日本。思い立ったが吉日、楽に流れて生きています。マイペースにいきたいので旅は圧倒的に一人旅派。

世界約1/3の国*を旅しました

*日本が承認している国の数である195か国に日本を加えた数196ケ国が世界の国数(2023年3月現在)

外務省ホームページより

-自分なりに「この国はこうなのかな」を掴み取って帰りたい
遊びでも仕事でも旅先では必ずローカルに触れる時間をつくります。この国はこういう国か、というのを自分の感覚で自分なりの解釈で感じ取りたいんですよね。ちょっとディープなところを訪れると発見が多いように感じます。

-何があるかわからない」に突き動かされる
吸ったことがない空気を吸いたい、それに尽きますね。3年くらい前までは航空券がお得(ターキッシュ エアラインズのイスタンブール⇄ヨーロッパ往復航空券が約$100) だったのでとにかく頻繁に旅していました。
この取材を機に数えてみたら、60カ国くらいですね。ブルガリア、セルビア、ボスニア、マケドニア….行った、どこ行ってないんだろう、と思い出すのに時間がかかります。リピートする国もありますが、どちらかというと新しい国での発見を楽しみにして旅先を決めています。

-結果として"バックパッカー"のスタイルに
家族旅行で小さい時から旅行には親しんでいたのですが、いざ一人で、自分のお金で旅をするとなるとホテルも航空券も高くて(当時大学生なので)びっくりしました。長期間で行きたかったのでパッケージツアーはなく、なおかつ限られた予算となると飛行機は中国国際航空やエバー航空(乗継ぎ便がお得だった)で、ホテルはドミトリーやユースホステルにと選択肢が絞られ、結果バックパッカースタイルの旅になりました。リュック背負ってたくさん旅しましたね。今はバックパッカーという文化が先にあって、そのような旅をしたい!と旅する人もいるかもしれないですが、必要に駆られてなので余裕があれば違ったかもしれないです。

-伝統工芸品を求めて旅をする
伝統工芸品に出会うにはいわゆる先進国ではない国が穴場です。何もない国のように見えて、手作りのモノに出会えるチャンスが多く、目が輝いてしまいます。トルコから近い国だとコソボ、モンテネグロは行ったことがないので次の候補です。コソボはオスマン帝国だったのでトルコと似ていると想像しているのですが実際はいかに。そしてキリスト教なので豚が食べられるのもポイントです。(後の記事を読んでいただくとわかると思います)

コソボの街

-トルコ語は結構通じる
今いるトルコ、赴任前にトルコ語の基礎だけは勉強しましたが、実際に使えるようになったのは住んでからです。生活しながら慣れ、慣れた後で文法を学び直しました。
日本語は日本でしか通じない言語ですが、トルコ語は結構使える国が多いんです。トルコから離れるとちょっとずつわからなくなっていくのですが、アゼルバイジャン、トルクメニスタン、イラン北部は似ていてトルコ語が通じる。さらに距離を伸ばしウズベキスタン、カザフスタンあたりは数字のみ理解できるので買い物などには困りませんね。第三言語を学ばれたい方はトルコ語結構おすすめです。旅をしていて言語を知っていると現地の人に受け入れてもらいやすいです。相手の国に対しての敬意の表しになるので言葉は大事ですね。

-もう一度行きたい国
普段、出張で行くことが無いのがヨーロッパ。イタリア、フランスが好きです。でももう一度行きたいとなるとスロベニア。派手ではないですが、キリスト教の伝統がある国なので歴史が面白いです。冬のクリスマスマーケットは可愛く、夏はブレッド湖周辺ホテルでダラダラできて、とってもおすすめです。

スロベニア「ブレッド湖」

-これから注目の旅先
地味で、観光の受け皿も未熟ですが面白いのが中央アジア、特にキルギス、ウズベキスタンは魅力的です。そしてアフリカのマダガスカルはかわいい雑貨の聖地、ラム酒も有名だそうですが、いきたいですねぇ。(バオバブの木目当てじゃないんですね!?)

キルギス

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1年に二ヶ月はキルギスへ

JICAのプロジェクトで1年のうち2ヶ月はキルギスにいます。中央アジアでもウズベキスタン、カザフスタンは発展していて、キルギスとタジキスタンが支援を必要としているという現状課題を解決するために、日本のODAの観光開発プロジェクト(4年間)にHISとして参加しています。せっかくの取材の機会なのでキルギスのお話をします。

-観光開発の難しさ
綺麗に写真や動画を撮って、知名度のある人が拡散して、広告をたくさんすればいいというものとは全く違いますね。(他の観光地も今はそうではないかもしれませんが) 街は美しい、世界遺産もある、観光客にも来てもらいたい、ただインフラが整っていなかったり知名度がない状態なんです。
コンサルタントチームの一員という立場になりますので、1年目は視察、調査、データ分析をして人と会う、2年目で少しずつ実働、となりますが現地の行政、自治体、DMOなどの活動グループとの協力しながらのプロジェクトになります。点を繋げて国の魅力を伝えていきたいと考えています。まだまだ勉強中の身ですね。

-キルギス人はどんな民族?
キルギス人は実際に関わってみて、寛容・穏やか・真面目という印象です。すごく親切な人たちなので旅人にも優しいです。旧ソ連の国なので教育レベルも高いですよね。

JICAの一村一品プロジェクトで、キルギスは実は大成功を納めていて、商品は日本の無印良品でも買うことができます。目的に向かって一生懸命働くキルギス人のことをもっと知って理解したいと思っています。

-キルギスって何が魅力?
トルコより住みやすそう、という感想です。都市観光としては物足りないかもしれないですが、湖・山・遊牧民カルチャー・大自然があるので自然好きには本当にいい。そして伝統工芸品や歴史も残っていますのでその領域に興味がある方にもおすすめしたいです。そのためにも現地からの情報発信がある状態にしておきたいですね。

あとは世界遺産であるアク・ベシム遺跡もシルクロードの歴史的価値で評価されているので、一部しか発掘されておらず、観光地としてはまだまだです。ですが、ここには「手付かず」があるんです。旅好きなら何もないところを発見する喜びを感じる人もいるのではないでしょうか。


さてここまでは旅のお話でしたが、さらに取材は続きます。オタク最強時代!日本と海外で"オタク"の認識のズレがあると思いますが、ここではオタクは薄く広くではなく一点深く愛する人と定義します。旅の他に熱量高く語りたいもの、どんな人を好きで、どんな哲学を持っているのか聞いていきます。どうぞお付き合いください。

伝統工芸への愛

-世界中は可愛いもので溢れています
伝統工芸がとにかく好きです。小学生の時に楽しかったリリアンや手芸への情熱が大人になって伝統工芸の収集に繋がっています。特にトルコ、中央アジアには伝統工芸品が残っていて、刺繍ものを買ったり、遊牧民のシルバーアクセサリーを探したり、キリがなくて沼にハマるので一度はやめていたのですが、再燃しています。

キルギスの伝統工芸品の刺繍ジャケットを見せてくれました

-国を知って、言葉を知らないと辿り着けないロマン
発展途上国は、古きを捨て、新しいものを求める傾向にあるので伝統工芸品が結構出回っていないんです。ローカルバザールで地元の人と仲良くなり、人づてに辿っていくと産地を紹介してもらえることもあります。工房を見学したり、田舎のおばあちゃんのつてでお家にお邪魔して、発見する!というようなお宝探し感が本当にたまらないです。本当のお宝はアンティーク専門家に根こそぎ取られてしまっていますが、普通に可愛い伝統工芸品は手に入ります。

-楽しむために、知りすぎない。
柄(刺繍など)は意味があるので知りたくなってくるので興味を持って調べることはしますが、その道を極めているような人のように詳しいわけではないです。「これかわいい!」その感覚だけで収集しているのでそのものの価値はわからないです。あまり知識を持ちすぎても、うんちくばかりで心がワクワクしないですよね。好きなものは着たり使ったりして日常に取り入れています。布の歴史は100年くらい、骨董品は手書きか本物か、時代がどうかとか突き詰めるのは楽しいですけどね〜。収集癖のある友達と集めたものどうする?という悩みはを話したりもしますが、たまに思い出しては触って見てニマニマする。それでいいかなと今は思っています。

海外にいても日本のものに触れる

せっかく海外にいるのに日本人で集まって日本の情報を交換しあって勿体無い!と最初は思っていたのですが、家を出れば100%海外、家にいる時に日本の情報を集めてもいいか。と長く住んで考えが変わりました。

-こだわりはなくおすすめされたものを吸収
トルコは日本人が少ない(トルコ全土で2000人程度)のでちょうどいいサイズの日本人コミュニティがあります。日本人同士で文庫本を回し読みしたり、朝ドラの話で盛り上がったりしています。最近紹介してもらって面白かったのは太宰治の娘 津島佑子の著書で、キリシタン迫害をかいた「 ジャッカ・ドフニ」と昆虫学者で通称バッタ博士の著書「バッタを倒しにアフリカへ」。こだわりがない分、いろんなジャンルのものを知る事ができるので刺激的です。

-毎日見るのは日本のYouTube
お笑いコンビ"レインボー"の動画を楽しみに生きています。ほぼ3年間毎日投稿されているので、どれだけ見ても新しく、日々のルーティーンになっています。ネタは面白いですが癖が強そうなので芸人そのものが好きとは言い切れないですが…(すみません)黄色いスカートに紫のカーディガンで女装をしている芋姐さんが特におすすめ・・見てみてください。

トルコのことは語っておきましょう

-映画館では騒いじゃう
トルコに来て衝撃だったのが、映画館を訪れた時のこと。とにかくうるさいんです。家にいる感じで食べて、観て、騒ぎなら、その空間にいる人がみんなファミリーかのように寛いでいるんです。ソファでゴロゴロしながら観ることができる映画館もあって、スタイルは変わってるかもしれませんね。みんなで家でテレビ見てる、みたいな。文化を知るという意味では訪れてみても面白いかもしれません。

-距離感が近いトルコ人
トルコ人ってとにかく社交的で押しが強いんです。トルコ人男性にとっては最初が肝心で、トルコのことをよく知らないで接すると、社交的でいいかも!って思うかもしれないですが、永遠と続くと暑苦しさに変わりますので要注意( ゚д゚)。トルコのドタバタコメディではいつも家族みんなで喧嘩しています。感情をぶつけ合う、干渉し合いすぎるそんな文化かもしれません。

-トルコ国外に出たら、豚肉を求める
トルコでは宗教の関係で豚肉を食べられないので、国外に出ると豚肉が無性に食べたくなります。トルコ料理は美味しいですが、味付けが割と単調で濃いめ(トマト、塩、オリーブオイルが基本)なので結構飽きがきてしまい、国外に出るとなんでも美味しく感じています。

ただせっかくなのでトルコで食べて欲しいもの!を紹介すると"ウイグル料理" ですね。日本にはないのではないでしょうか?イスラム系中華料理なので麻婆豆腐や青椒肉絲とメニュー名は一緒ですが、豚肉を使わず中国本土の味に近くて、美味しいんです。

-Kahvaltı(カフバルトゥ)は特別
短い旅であってもぜひ食文化に触れて欲しいので、ぜひトルコ式朝ご飯「カフバルトゥ」を試してみてください。ジャム、チーズ、オリーブなど20種類くらいを並べて(宮廷料理のように)楽しむ豪華な朝食です。トルコ人は土日のブランチや、知人を招いた時におもてなしする時に食べます。

カフバルトゥ

大切にしている考え

物事に必ず二面性がある
海外にいて違う文化の人と触れ合っているのが大きいとは思いますが、トルコ人と会話をしていると言葉の裏に隠れている文化、社会・経済的な変化による浮き沈みも考慮しなければいけない。というのを学びます。日本の常識は海外では非常識であることももちろんありますし、自身が生まれた国で培われた価値観を信じすぎるのも楽しくないな、というのは強く感じます。

その立場にならないとわからないことで悩まない
人を羨んだり、自分を苦しめたりするのはやめようというのは教訓のように思っています。あの人は順風満帆そうだな、と思っても実は悩みを持っていたり、先ほどの二面性とも繋がる話ですが、物事をいろんな角度から捉えることが大切だと思います。そして自分以外の人の心の内を理解しようなんて無理なので、羨むことなく自分自身の「思い」を大事にマイペースに生きていきたいなと思っています。程よい距離、自分と相手のバランスをとって付き合っていくって大事ですね。

飲み込まれなかったことを転機に変える
フィーリングが合わない環境、なんとなくの流れに飲み込まれてないな、という時は逆にチャンスだと思います。トルコに行くという選択肢を考える事ができた環境は、ラッキーだったと思っています。

ツアーをあらためてみて欲しいですね

今回はHISのスタッフへのインタビューなので、せっかくなので自社のことを。"親友にすすめたくなるようなコンテンツやサービスってありますか?"っと聞いてみました。
最近は自分でホテルや航空券を手配される方が多いとは思いますが、実はパッケージツアーの方がお値段も条件も良かったりするんです。おそらくみてないので知られてないかもしれないのですが・・。ツアーは あらゆる人が手をかけて(海外で言うと日本人(または日本文化を理解している人)が目利きをして仕入れをし、企画し、商品化しているので自信を持って紹介できるんです。ホテルの品質チェックも丁寧に定期的にやっているので、旅行会社のホテルリストは私自身も参考にしています。

あとはコロナ禍で生まれたオンライン体験ツアー。マニアックでなかなか行きづらい場所への旅は間違いなく価値があると思います。人生でそんなにたくさん旅することはできないですし、オンラインツアーを入り口に実際に現地へ旅するきっかけを見つけてくれたら嬉しいですね。

10年後、これからの未来について

-世の中の進化、注目していること
ChatGPTでイスタンブールのおすすめレストランを聞いてみたのですが、かなりいい線いってました。旅行分野で結構使えると思うので旅も変わりますね。(日本のお店の精度はまだ低いかも…アプデしていってほしいですね。)調べる側が何を求めているのか明確であれば、ほしい情報に辿りつきやすい反面、本人が欲しているものに気づけていなければ、いくら検索が便利になっても辿り着けないので、その本質を探るような役割を旅行代理店が担えたらいいですよね。求めているものを引き出し、検索はChatGPTで、手配はHISで、というように混ざり合っていいと思っています。

-“旅をしたいから旅をする人”が増えてほしい
聖地を巡る、芸術に触れる、スポーツを見るなど、何かしら目的を持って行く旅というのが最近の旅のスタイルだったかもしれないのですが、一周回って、コロナ禍で旅に行けなかった時期が長かったこともあり、旅は旅であればいいんだ!「旅をしたいから旅をする」という旅の面白さの原点が復活しているんじゃないかな、復活してほしいなと願っています。ただ違う空気をするだけでも、いいですよね。

旅することの意味

"脱皮"ですね。いつもとは違う空気に触れると、心の脱皮(≒リフレッシュ)に繋がると思います。どんなに素敵な世界遺産の近くに住んでいても、日常は日常なので、違う空気を求めて旅はし続けたいですね。

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1.5時間にわたる取材、ありがとうございました。ほんの一部なので全生音源データを公開したいところではありますが、コンプライアンスのラインなど判断が難しいので、公開は控えたいと思います💦

"人"を通して、旅の素晴らしさが伝わると嬉しいです。もっと旅を愛する人が増えていきますように。そして世界が平和でありますように。
次回の"人"もぜひお楽しみに。

第一回第二回のインタビューも是非ご覧ください。

旅好きなら知らない人はいない!そんなコミュニティにしていきたいTABIFLEEEEEKでした。ではまた。

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