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公認心理師からみた働きやすい職場とは?  ~働きやすい人間関係を築くポイント~

【東京都社会福祉協議会 広報誌 アクティブシニアの特集記事】

働きやすい職場とはどのような職場でしょうか。残業時間が少ない、有給休暇が取得しやすい、福利厚生の制度が充実しているなど、労働環境が整備されていること。あわせてもう一つ大切なポイントがあります。それは「職場の人間関係」です。

職場に関する各種アンケート調査でも「人間関係の悩み」が上位にランキングされます。私が従業員の方に働きやすい職場とはどのような職場ですかと聞くと、大半の方が「人間関係が良い職場」、「雰囲気の良い職場」と答えられます。労働環境が整備されていても「人間関係が悪い職場」は働きにくい職場になりやすく、「人間関係」が働きやすさに大きな影響を与えています。働きやすい人間関係を築くための3つのポイントを紹介します。


▶ボイント1 相互理解が人間関係を良好にする

良好な人間関係を築くうえで相互理解が大切になります。まず自分の傾向や特徴を知ること。好き嫌い、長所や短所、どのようなことに対してポジティブやネガティブな感情になるのか。同じように相手のことも理解しようとすることが大切です。お互いのことを理解していれば、仮面をかぶる必要がないので自分のことを大きくみせたり、隠したりすることなく、自分らしくいられます。心理的安全性も高まります。

お互いが相互理解し仮面を脱ぎ、協力して快を増やして、不快を減らすことによってリソースフルな状態を目指していきましょう。

※参考資料①幸せのセブンスター ②セーフティーゾーン ~心の境界線~

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▶ポイント2 自己表現の3つのタイプ       ~自他尊重のコミュニケーションを目指す~

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エピソード1 レジでの攻防
スーパーに買い物に行ったら大混雑でレジに行列ができています。やっと自分の番の時にさっと割り込みをされました。その時、あなたはどうしますか?

自己表現には3つのタイプがあります。

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・ノンアサーティブ(非主張的)                  :私はOKでない、相手はOK(相手を優先)
自分の気持ちや考えを表現できず、仮面をかぶって相手に合わせてしまう。

・アグレッシブ(攻撃的)                      私はOK、相手はOKでない(自分優先)
自分の気持ちや考えを一方的に押しつけ、相手の言い分や気持ちを無視、 軽視してしまう。

・アサーティブ(自他尊重):私はOK、相手もOK
まず自分の気持ちや考えを大切にし、あわせて相手の気持ちや考えを大切にできる。お互いを尊重し会話のキャッチボールをしていきます。

さきほどのエピソード1のケースですと、
非主張的:何も言わずにスルー、もしくは伝わらない言い方。
攻撃的:並んでるんだよ(怒)!割り込みするなぁ!
アサーティブ:ここに私、並んでいます。後ろに並んでいただけますか。

あなたはどのタイプにあてはまりますか?働きやすい人間関係を築くには自他尊重のコミュニケーションが大切です。非主張的だとモヤモヤやストレスが溜まりがち、攻撃的だとギスギスした人間関係になりがち。お互いを大切にするアサーティブなスタイルを目指していきましょう!

▶ポイント3 2つのメッセージ

・あなた(You)メッセージとは?
あなた(You)メッセージとは、あなたを主語にして、自分の感じたことや考えたことを伝える言い方。あなたは○○です。Youメッセージは評価的態度(上から目線)で、命令されたような印象を与えます。相手(言われた方は)は、それが正しい発言であってもネガティブ(批判)に受け止めます。

※あなたメッセージを使っていないと思った方は要注意です。使わないように意識していても、心に余裕がない、体調が悪い時などに、無意識に使ってしまいます。とくにポジションが自分より下、親しい関係の人に使っている可能性がありますのでご注意ください。自分でも使っているかも知れないと意識することが大事です。

・わたし(I)メッセージとは?
わたし(I)メッセージとは、自分を主語にして、自分の感じたことや考えたことを伝える言い方。私は○○です。「わたし」メッセージは自分の気持ちや考えなので、善し悪しはありません。「あなた」メッセージよりも相手は受け取りやすく、協力的になります。

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・エピソード2 ミスを繰り返すスタッフに対して

「あなた」メッセージ
また、同じミス・・・。あなたはミスばかりしますね。         なんど同じミスをするんですか!!

「わたし」メッセージ
これは大切な仕事だから、しっかり取り組んでくれると私は助かります。 わからない点は教えるので、一緒に取り組んでいきましょう。

・エピソード3 お互いの考えが違うことに対して

「あなた」メッセージ
あなたの考え方は間違っています。

「わたし」メッセージ
なるほど、あなたはそのようにお考えなのです。            私は違った考えをもっています。

「あなた」メッセージと「わたし」メッセージを比較すると違いが明確になります。「あなたは」メッセージは相手が反発しやすくなり人間関係がギスギスします。「わたし」メッセージは相手が受け取りやすいですし、自分も伝えやすくなります。人間関係を良くする「わたし」メッセージでコミュニケーションをしていくことが大切です。

▶自分が働きやすい職場にしていく
人間関係でモヤモヤやトラブルがあると、自分の考え(正義)を押しつけ、説得して相手を変えたくなってしまいます。しかし、相手には相手の考え(正義)があります。相手を変えることはできませんし、変えようとすれば反発します。

こういう場合は「正しい・間違い」、「勝ち・負け」、「善・悪」を手放し、相互理解に取り組み、何がお互いにとって有益かを考えましょう。相互理解、アサーティブな表現、わたしメッセージなどにとり組むことで相手との関係性は変えることができます。まずは、できることからコツコツ取り組んでいただければと思います。オススメは感謝を伝えていくことです!!



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