パスコ

マーケットに関するメモ

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最近の記事

中国株(上海総合指数)の上昇

年初来から低迷が続いていた上海総合指数について、9月下旬以降に急騰。連日の上昇幅は20%超となり30日には強気相場入りとなった。 契機となった時系列は以下の通り。 9/24 中国人民銀行が預金準備率の引き下げを発表。追加利下げの可能性を示唆した他、住宅ローンの引き下げ等不動産市場支援策も示す。 9/26 中国共産党が中央政治局会議において、不動産市場の安定化を図る支援策を発表。不動産市場に対し、「下落を食い止め、安定を取り戻す」と異例の強い表現で言及。上海市政府による消

    • マーケット定点観測(24/9)

      各国の製造業PMIは下振れ傾向。サービス業は持ち直しがみられており、こちらが景気を下支えできるかが注目点。また、ISMについても同様。若干の持ち直しがみられるも、8月については在庫の増加も寄与しており、持ち直すには時間が必要。 株価は、EPSの上昇ともに上昇。EPSの下振れは現状見られない。 予想PER 米国はややバリュエーションが高くなっている一方、日本株はまだそれほど高くない。 ファクターリターン IMMの投機筋のポジションについては、円ショートからドルロングに転

      • 石破首相誕生と関連銘柄

        9/27に投開票された自民党総裁選挙では、高市氏との決戦投票を経て、石破氏の勝利となった。来月10/1召集予定の臨時国会による指名を経て正式に新首相となる見込み。 9/27のマーケットの動きとしては、高市氏が一回目の投票において優勢であったことから、高市氏が勝利した場合に想定される日銀の追加利上げの停止による短中期金利の低下、長期金利の上昇(ブルスティープ)や円安、株高が進んだ。 その後、石破氏の勝利が決定すると円高、株安と高市トレードを巻き戻す動きとなった。 今後の注目

        • 半導体サイクルの定点観測

          半導体については、中長期的な需要の増加が期待でき、現在も株式市場を牽引するセクターの一つとなっている。 一方、技術革新のペースが速いことによる半導体製品自体の需要変動や最終製品によっては景気動向の影響を受けやすいことから、右肩上がりに市場が成長するのではなく、波を打ちながら成長していく産業と考えられる。 半導体需給について、月次データも確認しながら今後の需要動向を見ていく。 ①川上の半導体製造装置について 四半期ごとのデータでは、2024 年 1~3 月期に▲6.0%と減

        中国株(上海総合指数)の上昇

          FRBは利下げするのか。

          先週のFOMCでは、50bpの利下げが決定。声明文では、インフレ率については2%の目標に対して進展が見られた一方、雇用は鈍化しているとされており、今後の利下げについてはインフレ以上に雇用が重要となってくる。 しかしながら、雇用は一般的には遅行指標とされており、トレンドを把握するには数ヶ月の数値が必要となる。雇用や景気の先行きを見るにはISM製造業の有効だと考える。 実際、1990年代後半においては、二度の利下げ停止が行われる中で、同じタイミングでISM製造業指数が上昇して

          FRBは利下げするのか。

          銅価格について

          概要銅価格は、マクロ経済指標と関連性が高いことから「ドクター・カッパー(Doctor Copper)」とも呼ばれ、世界経済の健康状態を示す指標としても広く知られている。 OECD景気先行指数との相関も高いとされ、特にアメリカ、ドイツと連動する傾向にある。 見通し以下の記事によると、 2024年の銅価格は、中国の堅調な需要が支える一方、不動産市場の低迷が懸念され、追加の景気刺激策が鍵となる。 需給の面では、2025年まで供給が増加し、供給過剰が予想されるものの、南アフリ

          銅価格について

          米大統領選について

          米大統領選の投票日は、2024/11/5となり、2か月を切っている状況で、今後郵便投票や期日前投票が開始される中で、選挙は終盤に近付いている。 候補者は、民主党のハリス氏と共和党のトランプ氏となり、足元では、ハリス氏がトランプ氏をわずかながらリードしている状況。 直近の動き9/10に行われたハリス大統領が優勢だったとの評価となっているが、まだ大きくリードは広がっていない。 9/15トランプ氏の2度目の銃撃事件が発生したが、未遂に終わっており、同情票が入るかは不透明。

          米大統領選について

          自然利子率(R*)について

          概要自然利子率とは、景気や物価を過熱させすぎず、冷やしすぎずの経済の実力相当の実質金利のことで、各国の金融政策スタンスを評価する際の評価軸の一つとなっている。 昨年では、FEDがインフレ退治のために積極的に利上げが行われる中で、米国の消費や雇用は底堅く推移したことから、自然利子率(R*)が上昇している可能性が議論となった。 一方で、この自然利子率は、実際に目に見えるものではないため、推計によってしか把握することができないことが問題となる。 自然利子率の推計海外(アメリカ

          自然利子率(R*)について

          9月FOMCについて

          FOMCの流れFOMCとは連邦公開市場委員会の略称で、アメリカの政策金利や公開市場操作などの重要な金融政策を決定する会合のこと。  年8回開催され、FOMC後には声明文(政策金利や景気認識)が発表される。四半期ごとの会合では、定例の声明文の発表に加え、四半期経済予測(SEP)の公表と議長記者会見が行われるため特に注目される。 FOMCから3週間後には議事要旨(Minutes)が発表される。 24/9のFOMCの内容について50bpの政策金利の引き下げを決定。 ドットチャー

          9月FOMCについて

          ブルベア比率について

          ブルベア比率は、米国個人投資家協会が実施するセンチメント調査の指標で、株式市場の短期的な動向を示すものです。 調査自体は、毎週会員がサイトから投票し、1人1票のみが有効となり、2022年3月時点で200万人以上の会員が参加と一定の信頼性があるとされている。 調査内容としては、投資家に株式市場が強気か、弱気か、中立かを質問し、その割合を測定することとなっている。 ブルベア比率の高い値は市場に対する楽観的な見方を示し、低い値は悲観的な見方を示している。 以下のチャートがブルベ

          ブルベア比率について

          米国社債スプレッドについて

          クレジットスプレッドとは、企業などが資金調達する際に、信用リスクのない国債などの金利に上乗せされる金利のことです。債券の発行体の信用力に応じて上乗せされる金利で、一般的に国債金利と比較されます。 米国の投資適格社債は、平時では100-150bps程度、米国のハイイールド社債では300-500bps程度で取引が行われている。 米国債の利回りが3%の場合は、投資適格社債は、4-4.5%、ハイイールド社債は6-7%の利回りとなる。 特徴として、市場にストレスがかかった場合は、ス

          米国社債スプレッドについて

          在庫循環について

          概要景気変動を機敏に判断するために、在庫の変動は景気変動に大きな影響を持つとされている。 「在庫循環図」とは 、経済産業省または各都道府県が毎月、公表している鉱工業指数のなかの「出荷指数」 (または「生産指数」)の前年同月比(または前年同期比)を横軸にとり、「在庫指数」の前年同月比 (または前年同期比)を縦軸にとり、各時点の状況をプロットした図である。 以下の①②③④のフェーズで反時計回りで回転していく。 意図せざる在庫減少局面:景気拡張期に入ると、需要の増加が企業の予測

          在庫循環について

          半導体サイクル(シリコンサイクル)について

          概要半導体は「産業の米」とも言われ、家電、PC、スマートフォン、自動車、インターネット通信等に使われ、我々の暮らしを実現する上で欠かせない製品となっている。 半導体産業は、中長期的に拡大が見込まれる産業であるものの、半導体は技術革新のスピードが速く、設備投資の金額が嵩むことから設備投資のタイミングや在庫の見極めが難しく、好不況の波の変動が大きくなりやすい。 その半導体産業における景気循環のことを半導体サイクルと呼んでおり、一般的に3~4年周期で好況と不況を繰り返すとされてい

          半導体サイクル(シリコンサイクル)について

          ADP雇用統計と米国雇用統計の違い

          概要米国の中央銀行であるFRBはデュアルマンデートとして、「雇用の最大化」「物価の安定」を掲げる中、雇用を測る指標として最も注目されるのが、毎月第1金曜日に米労働省が発表する米国雇用統計である。 ADP雇用統計は、労働省が発表する米国雇用統計のうち、非農業部門雇用者数(NFP)の民間部門との相関性が高いとされており、雇用統計の先行指標として注目される。 主な違い米国雇用統計は行政機関(米労働省)による調査、ADP雇用統計は民間企業による調査となっている。 両者の違いは、サン

          ADP雇用統計と米国雇用統計の違い

          円キャリートレード

          今回は円キャリートレードについて、取り上げる。 足元の円キャリーポジションの見方として、銀行のバランスシートの状況等が挙げられるが、短期的な為替レートの動きを予測する上では、CFTCの週次データが、円キャリートレードのポジションを測る上で最も一般的な指標とされている。 挙げられている理由としては、 1) データが週次で更新されリアルタイムのモニタリングに適していること 2) 円相場の短中期の値動きを主導していると思われるレバレッジドファンド等の投機筋のポジションデータを含

          円キャリートレード

          Financial condition Index(金融環境指数)とは?

          概要についてFinancial Condition Index(FCI)とは、Webで検索すると以下のように記載されており、現在の環境が引き締め的なのか、緩和的なのかを見るものとなっております。 過去の推移シカゴ連銀やゴールドマンサックスが算出しているものがメジャーな印象で実際のチャート(長期)は以下の通り。 上に行くほど引き締め的、下に行くほど緩和的となっています。 金融危機のあった2008~2009年や、コロナショックのあった2020年は引き締め的な環境であったこ

          Financial condition Index(金融環境指数)とは?