半導体サイクルの定点観測
半導体については、中長期的な需要の増加が期待でき、現在も株式市場を牽引するセクターの一つとなっている。
一方、技術革新のペースが速いことによる半導体製品自体の需要変動や最終製品によっては景気動向の影響を受けやすいことから、右肩上がりに市場が成長するのではなく、波を打ちながら成長していく産業と考えられる。
半導体需給について、月次データも確認しながら今後の需要動向を見ていく。
①川上の半導体製造装置について
四半期ごとのデータでは、2024 年 1~3 月期に▲6.0%と減少したが、4~6 月 期に+8.2%と再び増加しており、過去最高水準となっている。
世界の半導体製造装置の販売額は 2023 年にかけての緩やかな縮小局面から脱したと判断でき、2024年も緩やかに増加が続くのではないか。
地域別では、最大市場である中国や日本、北米などで減少がみられた一方で台湾が大きく持ち直し、全体を牽引。
②川下に位置する半導体について
インフレ影響をの除く実質ベースにおいて 2024年4~6月期の前期比年率+21.7% まで 6 四半期連続で増加。7 月は 4~6 月期を年率換算で 2 割超も上回っており、7~9 月期も増加が見込まれる。
名目ベースで地域別の動きを見ると欧州を除いて上向きだが、牽引役が米国から、日本やアジアに移行する可能性が示唆されている。上向きの半導体循環に沿って、2024 年に半導 体売上高は増加基調を辿ると見込む。
2023年に半導体売上はボトムアウトがみられており、半導体循環に沿って、需要の拡大が見込まれる。
③電子機器セクターPMI
半導体の需要者となる電子機器セクターのPMI は 2024年7月の 50.4 から 8 月の 51.4 へ上昇し、4ヶ月 連続で節目となる50を上回っており、明るい兆し。
生産関連サブインデックスについて、全体の購入数量指数は低位で推移していたものの、8 月は 50.2 と50を上回っており、回復の兆しがみられる。
まとめ
上記から川上となる半導体製造装置は過去最高水準、川下の半導体については23年にボトムアウトし拡大の兆し。半導体の需要者となる電子機器セクターのPMIも回復傾向であり半導体需要の継続が見込みやすい。
過去のサイクルでは、半導体の循環は3年程度を一つのサイクルとしており、今回の拡大が23年を起点に始まったとすると、2025年までは継続する可能性がある。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?