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半導体サイクル(シリコンサイクル)について

概要

半導体は「産業の米」とも言われ、家電、PC、スマートフォン、自動車、インターネット通信等に使われ、我々の暮らしを実現する上で欠かせない製品となっている。

半導体産業は、中長期的に拡大が見込まれる産業であるものの、半導体は技術革新のスピードが速く、設備投資の金額が嵩むことから設備投資のタイミングや在庫の見極めが難しく、好不況の波の変動が大きくなりやすい。
その半導体産業における景気循環のことを半導体サイクルと呼んでおり、一般的に3~4年周期で好況と不況を繰り返すとされている

半導体サイクルは世界経済の先行指標として注目されており、半導体不況が底を打つと好景気に向かうとみられています。足元では2023年に底打ちが見られたとされており、今後回復するかが注目されている。

WSTC(世界半導体市場統計)による見通し

WSTS(世界半導体市場統計)において、予測会議が年2回行われており、2024年春季予測会議は5月21日~23日の3日間、神戸で開催されている。
WSTSの市場予測は加盟会社がWSTS半導体市場統計を参照して作成した予測値を基に、マクロ経済や主要電子機器の動向も参考にしながら検討を加えて作成される。
予測会議における世界半導体市場の見通しは以下の通り。

〇世界の半導体市場動向
2023 年の世界半導体市場は前年比-8.2%であった。世界的なインフレやそれに伴う利上げ、
地政学的リスクの高まりなどが個人消費や企業の設備投資等に影響し、AI 関連・自動車用途を
除き半導体需要は低調であった。
2024 年は前年比+16.0%と再拡大を予測した。引き続き世界的に旺盛な AI 関連投資を背景に
メモリーや一部ロジック製品の需要が急拡大しており、これが牽引するものとみた。一方 AI 関連
を除くと上述のマイナス要因が継続し、現在に至るまで半導体需要は低調に推移している。この
ため今回の会議では年後半の急回復を想定し難く、通年では多くの製品で前年比マイナス成長
を予測した。
2025 年は前年比+12.5%と更なる市場拡大を予測した。AI 関連の需要に加え、環境対応や自
動化等の成長領域を念頭に、半導体市場の継続的な成長を期待した。


2023年はマイナス成長であったものの、今後は旺盛なAI需要を背景に24年、25年とプラス成長になるというもの。
製品別で見ると、ICが8割以上をを占め、伸びも大きくなっている。

  • Total discrete…1素子が単独の機能を持つものをディスクリート(個別半導体)。トランジスタ、ダイオード等。

  • Optoelectronics…電気信号を光に変える、光を電気信号に変えるというふたつの機能を備えた技術の総称。 光ファイバー、LED等。

  • Sensor & Actuator…物理的、化学的な現象を電気信号やデータに変換して出力するデバイスや装置。温度センサ、圧力センサ、磁気センサ、照度等。

  • Total IC…集積回路。メモリー、マイクロプロセッサ、ロジックIC等が代表製品。

ICの中では特にメモリーの回復が2023年以降顕著になっているほか、ロジックは2018年以降で伸びが最も大きくなっている。

関連ヘッドライン

半導体株急落、東京エレク7%安 米の対中規制強化観測

東京エレクトロンは、中国事業の比率の高く2024年3月時点で44%。中国事業が、成長の原動力が大きい。SCREENホールディングス、ディスコも同様に中国事業の割合が3~4割を占めるため、対中規制に対する影響が大きい。


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