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#英詩

ミレイ「古来比類なき甘美な瞳」と英詩

ミレイ「古来比類なき甘美な瞳」と英詩

 日本語の形容詞にも、最上級の活用があればいいのに。

 ないが故に、”sweetest eyes were ever seen" というシンプルにして孤高の一節が、「古来比類なき甘美な瞳」という大層な表現になってしまうのだ。

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 「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」展に行きました。最も目を奪われた、ジョン・エヴァレット・ミレイによる作品「古来比

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百人一首㊲「白露に風の吹きしく秋の野は」 と 『赤毛のアン』

百人一首㊲「白露に風の吹きしく秋の野は」 と 『赤毛のアン』

 『赤毛のアン』より、アンが進学に向けて勉学に励む日々を描写した一節です。キラキラと過ぎて行く楽しい日々を、金色のネックレスに喩えて慈しむ表現がステキすぎます。
 時は、春に向かって滑るように過ぎ行く冬。初秋の頃にこの一文を紹介するのは、題にもある次の和歌が思い起こされるからです。

(意訳)
秋の野では、草に置いた露に風がしきりに吹きつけ、真珠の玉が散り乱れているような光景です。

 前者からは

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