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140字小説&54字の物語

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140字小説&54字の物語です。
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#月々の星々

ロマン不足|140字小説

分厚い雲の隙間から太陽の光が漏れ、地上に降り注いでいる。 「あ、天使の梯子だ」 誰かが…

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余分なもの|140字小説

「両手が塞がっていたら、大事なものを取りこぼすよ?みんな心と体に余分なものをくっつけ過ぎ…

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片道切符|140字小説

いつも港にやって来るボロボロの定期船。 客が乗り降りしているところを見たことがないし、一…

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バトン|140字小説

「長い間ご愛読頂き、ありがとうございます」。 定期購読している雑誌の廃刊が決まった。 残…

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笑顔アプリ|140字小説

笑顔の調達が難しくなった。 昔は世界が笑顔で溢れていたのに、今じゃ周りを見渡せば、眉間に…

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単調な毎日|140字小説

いつもと違う道を歩いた。 いつもと違うコンビニに寄った。 いつもと違うカフェに入った。 い…

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夕日|140字小説

道に迷った。 スマートフォンを振り回しながら地図アプリで現在地と目的地を調べる。 突然、隣で「カシャ」っとシャッター音が聞こえた。 見知らぬ年配の女性が「綺麗な夕日ですね。私も思わず撮っちゃいましたよ」と言う。 頭上には燃えるような夕日とグラデーションの空が広がっていた。 ゆっくり行くか。 【140字小説】 オンライン文芸コミュニティ「星々」さんが主催する140字の小説コンテスト、「十二月の星々」に応募したものです。 毎月テーマが異なり、今月のテーマは「調」。 文

調律|140字小説

ピアノを弾くと、楽譜から音符たちが逃げ出した。 調律が狂ったピアノの音に耐えられなかった…

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一陣の風に乗って|140字小説

車と衝突し、怪我をして一時的に保護していたオオワシを空に還す時が来た。 僕はオオワシを抱…

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祖父からのコーヒーメッセージ|140字小説

祖父の金庫が五十年ぶりに開く。 中には一体何が保管されているのか、家族一同興味津々だ。 …

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心の平穏|140字小説

幸福と不幸、嬉しい事と悲しい事、全ては半々で均衡を保っているとは言うけれど、現実は不均衡…

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あの水平線へ|140字小説

海岸は漂着したゴミで溢れ返っている。 ふと、ゴミの中に小さな透明の小瓶が埋もれているのを…

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雪と光|140字小説

雪が街灯の光を跳ね返し、ぼうっと淡く浮かび上がらせる。 雪が降ると、寒さと雪かきでヒーヒ…

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遠くへ|140字小説

無性にどこか遠くへ行きたくなる時がある。 どこでもいい。 とにかく、ここではないどこかへ。 そうやって着の身着のまま、勢いに任せて遠くへ行こうとするけれど、実は一歩もそこから動いていないことに気付く。 だって、どうせ帰って来るんだから。 「おかえり」って言ってもらえる喜びを知っているから。 【140字小説】 オンライン文芸コミュニティ「星々」さんが主催する140字の小説コンテスト、「九月の星々」に応募したものです。 10月1日から10月31日まで、noteクリエイタ