100年の孤独/放哉に想う〈Vol.15〉 海は母そのものでした
放哉は山より海が好きでした。「~海を見て居るか、浪音を聞いて居ると、大抵な胸の中のイザコザは消えて無くなつてしまふのです。~」、そして放哉は、海が荒れて、乗った船が微塵に砕けても怖くはなく、むしろ、自分はやさしい海に抱いてもらえることに満足するだろう、と『入庵雑記』のなかで書いています。
放哉にとって海は母そのものでした。
つづけて『入庵雑記』にはこうあります。
「~母の慈愛――母の私に対する慈愛は、それは如何なる場合に於ても、全力的であり、盲目的であり、且、他の何物にもまけ