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100年の孤独/放哉に想う〈Vol.22〉 小豆島南郷庵を偲ぶ Ⅱ

松の下掃く一厘落ちて居る

尾崎放哉全句集より

いまから30年前の1994年(平成6年)4月7日の放哉忌に「小豆島尾崎放哉記念館」が開館しました。そう、ここは放哉が大正14年8月から8カ月間過ごした西光寺奥の院南郷庵です。そこを当時のままに復元したと同館のリーフレットに書かれていました。
全句集のなかでも詠まれている庵の大松は、1976年(昭和51年)に松くい虫によって枯れてしまい、その後、植え替えられて現在の松(写真)になったそうです。2代目とはいえ、四方に伸びた力強い枝ぶりに往時を偲ぶことができました。

南郷庵を訪れたお遍路さんが大松の下に落としていった一厘硬貨。それを見つめる放哉のまなざし……。銭湯代三銭の当時、四カ月入浴しなかった無一物の放哉は、すでに社会と隔絶した世界を生きていたのでしょう。


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