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酒場学 by Syupo

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酒場について、より深く考察した記事です。メンバーシップ「Syupo酒場部」にご入会頂くと、すべて自由にお読みいただけてオトクです。
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2022年7月の記事一覧

自家用車と中央資本。公共交通と食文化。

自家用車と中央資本。公共交通と食文化。

ロードサイドと旧市街(中心市街)筆者は車の旅が苦手です。「飲酒ができないから」という理由は"酒場案内人"の持ちネタであって、本質的な答えではありません。

高速道路や高規格道路が津々浦々に整備されたいま、地方のロードサイドはどこへいっても同じ景色です。ファミレス、ファーストフード、大型ショッピングモール。そのほとんどが中央資本で地元に落とすお金は少ないです。どこで生活していても、みんな同じ食事、同

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地方都市・駅から1キロの魅力

地方都市・駅から1キロの魅力

皆さん、今年はどこかへ旅行しましたか。まだ事情があって旅行に行けない方にも、いつか地方都市の飲み屋さんへ行きたいと思って頂きたく、このコラムを書きます。

駅から離れた歓楽街、駅前のヤミ市東京も大阪も、主要なターミナル駅の駅前からすぐに繁華街・歓楽街が広がっています。これはとくに戦後数十年の間に開発されたエリアに多いのが特長です。

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【酒場部限定】コラム:一番美味しい生ビールとは。-後篇-

Syupo酒場部の皆さま、こんにちは、塩見なゆです。

念願のオフ会が時節柄の影響で延期になり、トホホ…という状況です。プレゼントをはじめビールの準備など、サッポロさん側も私も熱意も変わらずあります。いえ、むしろもっと楽しいものにしようと麦汁を搾る前のように熱くなっています。

さて、【一番美味しい生ビールとは。】の後篇を進めてまいります。

ビールサーバーの違いと、その味についてご紹介していきた

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居酒屋の入りかた

居酒屋の入りかた

感染症拡大で生活スタイルが自分でコントロールできないレベルで変化を強いられ、ストレスのある生活が続いているかと思います。一日でも早い終息のために、引き続き自宅にこもり、そして居酒屋のことを時々思いだし気分転換をしていきたいと思っとおります。

自宅、職場、このふたつのコミュニティに加え、第三の居場所、サードプレイスとして役割を果たしていた居酒屋をはじめとした外食という存在の大切さを改めて感じており

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21世紀の酒場トレンド(料理とお酒)

21世紀の酒場トレンド(料理とお酒)

前回は主にチェーン店の展開を中心に酒場のトレンドをご紹介しましたが、今回は料理とお酒にフォーカスします。

個人店はトレンドと無縁のように思えて、実は結構変化しているものです。

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21世紀の酒場トレンド

21世紀の酒場トレンド

激動の2020年。酒類を提供する飲食店はとくに渦中に巻き込まれました。チェーン店の閉店が相次ぐだけでなく、貴重な個人店も様々な理由で暖簾をたたみました。とくに50年続くような老舗の廃業は、その地域の文化のひとつが消えてしまうように感じ、やりきれない気持ちが現在進行系で増えています。

ネガティブになりがちな2020年の振り返りはこの際置いておき、長いスパンで、2000年にはいってから現在までの居酒

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魚の美味しいお店の本音2

魚の美味しいお店の本音2

居酒屋のおつまみの大定番、お刺身。魚を看板料理に掲げるお店は数あれど、どんなお店がよいでしょうか。

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魚の美味しいお店の本音

魚の美味しいお店の本音

居酒屋のおつまみの大定番、お刺身。魚を看板料理に掲げるお店は数あれど、どんなお店がよいでしょうか。

ここでは、私の考える「魚の美味しいお店」の見極め方や、具体的なお店をご紹介したいと思います。

産地で食べるか、近所で食べるか

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飲み屋のみつけかた

飲み屋のみつけかた

居酒屋を探し歩くことが仕事のひとつです。

ときには入りにく居酒屋に出会うこともあります。年中飲み歩いているので「慣れているでしょう?」と思われるかもしれませんが、これが正直、ビクビクしています。

近年の取材は、事前にビール会社さんや酒販店さん、商工会議所など、様々な方に事前に情報を聞いていくことが多いです。それでも、まだ、心配は心配です。

訪ねたお店で記事にできる率は、肌感覚で4割ほど。

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居酒屋ですぐに使える、醸造酒ペアリングの公式

居酒屋ですぐに使える、醸造酒ペアリングの公式

ペアリングやマリアージュは気にされていますか?一杯目は必ずビールを飲んでいるのに塩見がペアリングの話をするのか…と笑われてしまいそうですが、今回はビールがメインの話ではありません。

日本酒だけでなくワインや、クラフトビール系にも当てはまりますが、醸造酒全般は、おつまみとお酒の"マッチング"は実は非常に簡単です。難しく考えれば奥深い世界ではあるものの、居酒屋の品書きからスムーズに選ぶ程度ならばこう

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お燗酒の美味しさ

お燗酒の美味しさ

大衆酒場で「お燗でください」というと、大抵、間を置くことなく「熱燗ですね!?」と聞き返されます。本当はぬる燗くらいがよいのですが、「あ、はい」と答えます。それでいいんです、だって大衆酒場はそういう場所ですから。

酒燗器大衆酒場のお燗酒は、一升瓶を逆さまに刺して、徳利の口を押し当てると瞬間的に燗にされたお酒がでてきる瞬間加熱酒かん器が仕様されていることが多いです。

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樽酒の価値

樽酒の価値

コロナで苦しいときにも樽酒を提供し続けている店は、本物の居酒屋です。

皆さん、樽酒はお好きでしょうか。樽詰めの生ビールと同じくらい、自宅ではなかなか飲む機会のない、居酒屋ならではの飲み物である樽酒。いまはそれほど注目する人は多くはありませんが、樽のお酒は知るほどに奥深く魅力的です。特定名称酒(純米吟醸とか)がもてはやされている影で、長くベテランのお酒好きに愛されてきた飲み物です。

樽酒は本当の

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酒場の特等席

酒場の特等席

はじめて入る居酒屋は、何軒飲み歩いていても緊張します。

入ると、常連さんたちが一斉にこちらを見ます。知り合いが来たかと思ったのでしょう。違うとわかると、またもとの体制に戻り、常連同士会話を始めます。

店の入口に立ち店員さんと目が合うのを待つ間は、異様に時間が遅く感じます。常連さんが先に気づいているからこそ、なおさらに。

座るまでが長い「いらっしゃい。お好きな席にどうぞ」

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