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茶の古典

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2023年8月の記事一覧

茶道論「茶禅一味論」① —安土桃山時代—

茶道論「茶禅一味論」① —安土桃山時代—

「茶禅一味論」とは一休宗純、村田珠光、武野紹鴎、千利休、千宗旦の時代という茶道草創期。安土桃山時代から江戸初期にかけてのこと。

茶禅一味の背景

・中世の文化全体が宗教の大きな影響下にあった。
・仏教、とりわけ禅宗が芸文の世界の人々から精神的支柱として求められた。

中世の文化は宗教の力を借りて社会的に顕現したのである。芸能者が自らの芸のために演じ、興行をうつことはできず、神社仏閣の権威・権力に

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茶道論「芸能論」② —中世の芸能—

茶道論「芸能論」② —中世の芸能—

四つの芸能性の性格要素 芸能と茶一、ふるまい 「芸能表現」

舞台芸能における芸能表現とは身体の所作を媒介とした表現、演技、楽器演奏、身体表現を通じて観客を日常次元から芸術的次元へと高める→茶道での点前作法に当たる。 

二、よそおい 「化粧、衣装、手にもつ『採りもの(神楽の鈴のようなもの)』」

演者は装うことによって、日常生活の個人ではなく、想像上の役に変る→茶道では化粧はない。茶道は日常生活

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茶道論「芸能論」① —中世の芸能— 

芸能論とは茶の湯を芸能という切り口で捉えようとする発想である。
林屋辰三郎氏は芸能の性格として巡事性と結座性をあげた。

巡事性

巡事性とは、寄合いの座において、一人一人が順序を保ちながらことを運ぶことであり、「巡事というプロセス」が楽しまれる点に芸能性があった。
 連歌は発句からはじまって二句、三句と連衆によって巡事、句がつけられていく、この形式こそ日本芸能特有の巡事性である。

結座性

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