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2023年11月の読書記録


この前、遊びまくった10月11月以降も遊びまくるぜ、という話をしたところだけど、この1ヶ月だけでガッツリ遊びまくった、紅葉狩りも例年以上にディープな場所をたくさん巡った、そんな11月だった。

「卒論をパートごとに毎週提出」がはじまってからは水曜のゼミ前12:00に提出なので、火曜日の夜に「一応取り組みはしましたよ」と言い訳できる程度に、2:30〜3:00くらいまでチョコチョコやって出す、という進捗を繰り返している。そして質問だけはちゃっかりする。そうやって、やってる風に見せることだけがうまくなってしまった。なんてこった!


そんな卒論から逃げまわり続けた11月は8冊の本を読んだ。週2冊のペース。へへ。


過去の読書記録 ▽






一穂ミチ『スモールワールズ』

カテゴリ:ストーリーを味わう、気づきを得る
読了日:11/4

『光のとこにいてね』以降、すっかり一穂さんの虜で、本作も”もう単行本で買っちゃおうか… ” と痺れを切らしかけていたところでの文庫化。パリから帰り、本の世界に戻ってきて1番最初に買った新刊でした。読了が発売から3週間後だったのは、10月遊びすぎたせい。

6つの短編のうち『ネオンテトラ』『ピクニック』『花うた』は特に「え、これどうなるの?!」と続きが気になって仕方ない感じの物語でミチさんにしか書けないようなお話だなと思う。ミステリ的なニュアンスという点では『ネオンテトラ』『ピクニック』がおもしろかったけど、総合的には『花うた』が抜群に好きだった。展開コロコロ変わる上に、ラストに感動って完璧すぎやしませんか、ミチさん。

これはミチさん作品全体に言えることだけど… と続けて語りたいところだけど、後述の『ツミデミック』で書くことなくなっちゃうからまた後ほど。




皐月まう『せいかつしていくために』

カテゴリ:世界観を味わう、気づきを得る
読了日:11/5

みなさんご存知のnoterさん・まうさんのエッセイ集です。

noteはじめてすぐの頃からずっとまうさんの記事を読ませてもらっていて、憧れの存在だったので、そんな方のエッセイを手元に置いておけることが嬉しいです。

まうさんが筆を取ると、どんな日常も小説のように彩られるのでいつも読んでいてぽーっとしちゃいます。こんなふうに言葉を操れるようになりたい。

私が語るよりも、まうさんのnoteを読んでいただいたほうがダイレクトに魅力が伝わると思うので。ペタリ。




まうさんへ

パリにいる間、取り置きして、帰ってきて注文したら9月末にすぐ届けてくださったのに、大切に読みすぎて読み終わるの遅くなってしまいました…
まうさん、感想遅くなってすみません!!!

まうさんが本を出されると聞いた時から、ずっと楽しみにしてたんです。
やっと手元に届いたとき、すごく嬉しかった!

最初、部誌みたいなドデカい(A4くらい)サイズを想定していたのですが、持ち歩けちゃうかわいい手のひらサイズ(文庫サイズ)のものが届いたので愛でちゃいました✌︎

メッセージカードもありがとうございました。
今でも「ドットさん」と呼んでいただいているの、実はすごく嬉しいです照

これからもよろしくお願いします。

次回作、そして毎週のnote更新、エブリデイ楽しみにしています。



原田マハ『黒い絵』 【2023年 100冊目】

カテゴリ:ストーリーを味わう、体験を得る
読了日:11/7-8

これまでのマハさんといえば『生きるぼくら』『本日は、お日柄もよく』のような爽やかで明るい力が湧いてくる物語や、『スイート・ホーム』『ロマンシエ』のような優しく温かい物語、『あなたは、誰かの大切な人』『独立記念日』のようなそっと背中を押してくれる物語のイメージが強かったのですが、今回は真っ黒です

『異邦人』『夏を喪くす』あたりも薄暗さがある(と個人的には思っている)けれど、その2つはどこかに逃げ道があった。でも、この作品は一切容赦ない。

アダルティな感じも色濃くて、不倫要素もあったりして、でもちゃんとアートも絡んでて、なにより先の展開が気になって仕方ない。

『深海魚』『楽園の破片』『指』『キアーラ』あたりの、手で顔を覆いたくなるような衝撃が忘れられない。


ところで、2023年1月1日からカウントし始めた読み終わった本、記念すべき100冊目がマハさんなのは運命でしょうか?



凪良ゆう『星を編む』

カテゴリ:ストーリーを味わう、気づきを得る
読了日:11/13-14

『汝、星のごとく』の続編が出ると聞いたときから待ち侘びていた作品。
サイン本でゲットできて本当に嬉しい!

『汝〜』では語られなかった北原先生の過去編『春に翔ぶ』、櫂のために奮闘する二階堂さんと植木さんの物語『星を編む』、櫂亡き後の暁海と北原先生の人生を長期スパンで丁寧に追った『波を渡る』。

どれも素晴らしかったな。

多様性を尊重しよう、と謳うのは口だけのこの世界で「なにあの人」と言われてしまいかねない人たちを「そのままでいいんだよ」と肯定してくれるような物語。ああ、凪良さん大好きです。




町田そのこ『夜明けのはざま』

カテゴリ:ストーリーを味わう、気づきを得る
読了日:11/18

『ぎょらん』と同様、葬儀屋さんが出てくる物語。『死』を扱う物語。だけど『ぎょらん』よりも、身近な人の『死』を乗り越えた先の『生』にフォーカスが当てられた物語だったように思う。

そのこさんの短編は連作短編で、どの話にもそれまでの章ですでに語られた知っている人物が出てくるところに安心を感じる。し、次に脇として出てきたときに、話の中で主人公だった頃から成長している様子が見られて嬉しい。

今回も、真奈や楓子が悩みながらも道を選んでいく過程を終えて、最後には「よく頑張ったね」と拍手を贈りたくなった。

『ぎょらん』が夜明け前にカーテンから漏れ出る光のようなあたたかさを持つ作品だとしたら、『夜明けのはざま』は夜道の街灯のようなあたたかさ・明るさを持った作品だな、と思います。



寺地はるな『どうしてわたしはあの子じゃないの』

カテゴリ:言葉を味わう、気づきを得る
読了日:11/20

この作品を知ったときから、タイトルを無視できなくて、文庫化を待ち侘びていた作品です。

きっと誰もが一度は抱いたことのある感情。

その気持ちに効く万能薬のようなこたえを教えてくれるわけではないけれど、それでも読み終わったあと「もう大丈夫」と思える。なんなら、もしかしたら誰かから見たら私が眩しく映っているかもしれないな、なんて思ったり(ポジすぎる)。

それは、どんな人にでも自分なりの価値観や抱えている悩みがある、ということを、これでもか!ってくらい丁寧に教えてくれるからでもあるし、嫉妬、という感情の存在を「持っていてもいいんだ」と思えるような作品だからかもしれない。

きっとこの先も何度も読み返す、大切な作品。


「… でも、たくさんお賽銭をするより、熱心にお参りするより、毎日まじめに、自分のできる精いっぱいのことをして暮らす。それが『祈り』柳生とかな」

「いつも漠然と、誰かのことがうらやましかった。でもやっぱり他人の必死さを笑ったり、心配するふりして気持ちよくなったりする側より、笑われる側にいるほうがいい。」



一穂ミチ『ツミデミック』

カテゴリ:ストーリーを味わう、体験を得る
読了日:11/23

ミチさんは「こんな設定、誰も思いつかない」というような物語を書ける作家さん。『スモールワールズ』同様、展開が気になりすぎて一瞬で読み終えてしまった。

だけど今回は、全体的にあたたかい優しい感じではなくて、『世にも奇妙な物語』のような感じ。

『違う羽の鳥』『ロマンス☆』『憐光』は、次から次へとゾッとするような衝撃的な展開が繰り広げられて、ひとつひとつのお話が強く印象に残っている。言葉選ばずに言うと、登場人物たちにサイコパス味を感じる。読んでいる途中・読み終わったあと、「今読んでる話、めっちゃおもしろくてさ。こんな話なんだけどさ。よく思いつくよね、こんなの、すごいよなあ」と、思わず彼や母に話してしまった

『特別縁故者』『祝福の歌』『さざなみドライブ』は、不思議ではあるけれどラストは「よかったぁ」と胸を撫で下ろせるような、あたたかい光に包まれるお話。この3作品は作中の言葉に救われる人もいるんじゃないかな。

あと、タイトルの通り、この作品は 犯罪×パンデミック が全作品共通のお題で、どの作品にもコロナ禍要素がある。

読書で癒されたい・救われたいって人も、読書は冒険だって人も、鮮やかな展開にゾクゾク・ドキドキ・ワクワクしたい人も、楽しめる。そんな一冊だと思います。間違いなく、2023年を代表する1冊です。




五十嵐律人『不可逆少年』

カテゴリ:ストーリーを味わう、気づきを得る
読了日:11/30

文庫を本屋で初めて見かけた時から気になっていて、ついに買ってしまった一冊。こちらもおもしろすぎて一気読みだった。

ミステリ要素もあるけれど、どちらかというと司法のあるべき姿を考えさせられる感じ。一般的なミステリーのように「事件の真相を明らかにする」というよりかは、事件が起こる背景に焦点を当てているようなお話。しかも、警察・検察サイドじゃなくて、家庭裁判所の調査官という、一般人にとってはマイナーかもしれない職に焦点が当たっているお話。個人的には、法学だけではなく、心理学も取り上げてくれたことが嬉しかった。


犯罪を犯した少年は、だれもが教育によってやり直せるのか?


認知心理学を学んできた私は、親や学校といった社会的な要因だけが犯罪者を生むのではなく、生まれつきの脳機能・生物学的な要因で犯罪を犯しているかもしれない人がいるということを知っている。

だけどその考え方はまだ一般的ではないらしい。司法制度もそういう可能性をあまり想定していないことを知った。


…とまあ、小難しいことを考えたくなる話ではありますが、小難しい部分を無視して普通にリーガル小説としてすごく完成度が高くておもしろい作品でした。自信を持って、いろんな人におすすめできます。


「自分の目で見るんだよ。いろんな生き方とか考え方を。何が正しいかは、君自身が決めることだ。最初は、歪んで見えると思う。それでも、目を背けないでほしい。スタートラインの後ろから走り始めたほうが、視野は広くなる」


実は、五十嵐さんの作品は『法廷遊戯』が単行本で発売されたときに "おもしろそうだな" と思い、初版で買ったのですが積読しているうちに見失ってしまいました…。(すみません…)今回『不可逆少年』があまりにもおもしろかったので、文庫で買い直しました。近いうちに、今度こそ読みます。



***


朝に投稿する予定だったのが日付変わりかけの夜になったこと以外は有言実行の投稿(いえーい)。

実は読書記録の投稿は、読書記録だけでなく今月のふりかえり的な意味合いも込めています。


12月はマイバースデーマンス。

今月はどんな思い出が増えるだろう。
どんな物語に出会えるだろう。
卒論は書き終わるかな(白目)

note関連で行くと、# 買ってよかったもの を日本編とパリ関連編に分けて投稿できたらなあと思うし、# 2023年のベスト本 も着々と準備を進めておりますので、ぜひお楽しみに。



最近がんばって書いたやつ、読んで!の巻↓







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