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私立学校におけるインクルーシブ教育の在り方と展望~国連勧告から読み解く~〔特別な教育的ニーズをもった子ども達への教育支援〕

先日、福岡海星女子学院にて、九州地区私立学校教職員研修会の講師をつとめさせていただきました!
研修会テーマは「私立学校におけるインクルーシブ教育の在り方と展望~国連勧告から読み解く~〔特別な教育的ニーズをもった子ども達への教育支援〕」

九州各地の小学校教諭・養護教諭40名ほどが対面・オンラインでご参加くださいました。

今回のnoteでは、研修会でお伝えした内容を少しご紹介します。


特別支援における私立小学校と公立小学校の違い

まず、私立小学校に入学するためには、その学校の受験に合格する必要があります。特別な教育的ニーズをもった子ども達が公立小学校に入学するなら、夏から秋にかけて就学相談がありますが、私立にはありません。
入学前にそういった情報が入ってこないので入学後に「あれ?」と先生方が戸惑うことが多いのです。
また、私立小学校の多くには特別支援学級クラスはありません。特別な教育的ニーズをもった子ども達も一緒に先生方は授業をします。そこには工夫と配慮が必要です。


日々創意工夫をして、子ども達の学びを第一優先に考え、限界はあるものの特別な教育的ニーズになんとか応えようとしているその先生達の姿は、弊社の「福祉はすべての人の為のもの」というモットーと共鳴するところにあります。「福祉は特別なニーズがある人のものだけじゃない、みんなに必要」ということです。

このように、私はソーシャルワーカーなどの福祉の相談員は本当に困っている人にだけ必要ではなく、いつも暮らしているところで会えることが大切と思っています。
その「いつも暮らしているところ」の一つに学校があります。例えば、洋服がいつも同じ、上靴が汚れたまま等の子どもの様子をいち早くとらえ、気を付けてみてくれている先生方からの情報はとても貴重なものです。


スクールソーシャルワーカーの役割

研修会では、教員とスクールソーシャルワーカーの視点の違いやカウンセラーとソーシャルワーカーの違いについて説明しました。

スクールソーシャルワーカーは簡単にいうと、教育と福祉のかけ橋的な役割です。
主に、いじめ・貧困・虐待・特別支援教育・メンタルヘルスなどの相談に対応していますがそのほかのちょっと気になるからお話してみるということもよくあります。また、最近は、ヤングケアラー、LGBTQなどの相談も増えてきています。

このような相談対応をしていて感じることは、家での生活の続きに学校があり、学校からも家での暮らしが見えるということです。これは、行政機関だけでは把握できるものではありません。日々をみている先生だからこそ分かること・感じることが多々あります。

だからこそ、いつも暮らしているところで会える学校がチームとなって動いていくことは子どもを取り巻く様々な問題を悪化させない予防の観点でも重要です。
私立だから、公立だからという垣根を越えて、日本の子どもに関わる貧困問題や発達に関する困り感等の知識を入れて、アップデートしていってもらいたいと思います。

国連からの「教育」の改善勧告

令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されます。合理的配慮の対象者は障害者手帳を持っている人のことだけではありません。
合理的配慮の提供にあたっては、障がいのある人と事業者等が対話を重ね、共に解決策を検討していくことが重要です。

私立学校で始める合理的配慮にむけて下記のような取り組みをお伝えしました。
・個人編:指導より支援をしていくこと
・チーム編:サポートチームを結成、支援会議を設定する

個人編は、指導するのではなく、子どもの話をしっかり聞く。子どもが抱えている問題の背景などを知ろうとする。対話をする。
そして、それを先生ひとりで抱え込まず、他の先生方やスクールソーシャルワーカーなどの専門職とチームで支援していきましょう。
そんな仲間はいない…という方は、まずは学校内外から仲間を集めるところからはじめましょう。

適応指導教室やフリースクールと連携したり、私立の児童生徒を公立学校の通級指導教室で受け入れている所もあるんですよ。

分断の「特別支援」より個に応じた「特別な支援を」していきましょう!

次の記事では、講演会後のグループワーク「私立学校における特別な教育的サポートが必要な児童について考えてみよう」の様子をお伝えします。

私立学校の先生ならではのご意見がでましたよ~!
お楽しみに!

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私立学校の伴走者に

現在公立の学校でのスクールソーシャルワーカーの配置は進んできておりますが、様々な困難を抱えた子どもたちは私立学校にも多くいます。

株式会社ソーシャルワーク福岡は、それぞれの学校独自の強みや特色を理解し、必要な支援を提案、展開していく「私立学校に特化したスクールソーシャルワーク」をご提供し、私立学校の伴走者として選ばれる存在になっていきたいと研鑽しております。

今後、合理的配慮についての相談等、校内で検討すべき課題が増えてくることも考えられます。校内会議のアドバイザーとしてのスクールソーシャルワーカー(SSW)、スクールカウンセラー(SC)の参加についてもご相談ください。

お問い合わせ先

お問い合わせやご相談は、下記までお気軽にご連絡ください。

【お問い合わせ先】info@sw-f.jp


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