すずうみ

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豚に真珠 猫に小判 猿にタカアシガニ|舞台を観た感想を書きます|伝えること 日々の気づき きみに宛てて書いた、行き先のない手紙|週一更新をがんばりたい

マガジン

  • 舞台の感想

    書きたいときに書きつらねる時系列はちゃめちゃ観劇ログ

  • オンライン執筆教室

    倉園さん&F太さんの執筆教室で書いた記事と、参加してみた感想レポート

最近の記事

拝啓2022年のきみへ

 家族がコロナになって、職場から出勤停止を告げられ、家を出なくなってから1週間が経ちました。 無為に時間を溶かしていると、ふと「自粛期間中はどういう風に過ごされましたか?」という質問に答えるきみのことを思い出します。どの取材でこの質問が飛び出たのかは覚えていませんが、言葉だけはしっかりと記憶に残っています。 「このまま仕事ができない日が続くのなら、役者を辞めてしまおうと思った」 このインタビューを読んだ当時のわたしは、地面がゆらぐほどの衝撃を受けました。 かねてよりき

    • 怪優、梅津瑞樹の特異性

       演技が異質で上手いなあと感じる方がいます。今月の8日に30歳を迎えられた、俳優の梅津瑞樹さんです。普通の役の魅せ方も上手ですが、ぶっ飛んだ役が際立っているように思います。 とくにおじいさん役の理解とレパートリーが幅広く、180cmを超える長身の肉体を腰から曲げ、端正な顔を惜しげもなく歪めます。たぶん芝居とプライドを天秤にかけたら迷わず芝居に傾く方です。  わたしが梅津さんを生で見たのは一度きり、しかも2階席の一番後ろの席からでした。 その舞台には登場する役者の数が多く

      • 写真には記憶が残っている

         わたしは写真を撮るのがわりと好きです。道を歩いているときに「いいなあ」と思った景色や、空を染める夕焼け、旅行先で食べた食事などをカメラにおさめています。 けれど写真が上手いとは手放しには言えません。構図はぐちゃぐちゃだし、たまに自分の指が映りこむことがあるし、夜景なんかはとくにへたくそです。「これ何が撮りたかったの?」と思うくらいブレブレの写真がたくさん残っています。 それでも、わたしはわたしの撮る写真が好きです。 「いいなあ」と思った景色を自分が見たままに残せたとき

        • 「読みたいことを、書けばいい。」自分のために書く文章術|読書感想

           こちらのnoteで紹介されていた本を読みました。 購入の決め手になったのは、冒頭のこの一文です。 「人生が変わるシンプルな文章術」と銘打った本に、いきなり「あなたはゴリラですか」なんて問われて思わず飛びのいてしまいます。人生を変えるどころか、人間であることを疑われているのです。俄然、興味が沸いてきました。 まさか「ゴリラになって文章を書き進めよう!」なんて言わないよな……と恐怖を感じながらも文字を追いかけます。 どうやらこの質問は、読者をゴリラに染め上げるつもりで載

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        • 舞台の感想
          3本
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        記事

          自己紹介の記事

           こんにちは。はじめまして。すずうみと言います。 noteの投稿を始めてから約3か月が経ちました。「そういえば自己紹介の記事を作っていなかったな……」と思い立ち、スマートフォンの画面を叩いています。 わたしはどういう人間なのか、なぜnoteをやろうと思ったのか、どんな気持ちで投稿を続けたいのかなどをゆるゆると書き綴っていきます。 つたない文章ですが、見ていただけると幸いです。  わたしは、南のほうの田舎に住む、ごく普通の会社員です。目に映る景色のすべてが深緑の、奥深い

          自己紹介の記事

          お金を出したくなる文章ってなんだろう

           わたしはときどき、気になるトピックを検索窓に打ち込んで調べることがあります。情報のほとんどは無料で見れますが、たまにこんなページに行き当たります。 「この先を読むには有料の会員登録が必要です」 この文言を見ると、わたしはみるみるうちに萎えてしまいます。「なあんだ。つまんないの~」なんて文句を言いながら、きびすを返してさよならをします。 いえ、情報に対価を支払うのは大事です。記事を作るのにもお金がかかります。そんなことはわかっているのです。 だけどなんでしょう。こっち

          お金を出したくなる文章ってなんだろう

          「ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』」4人が奏でる美しいハーモニー|舞台感想

           博多座でおこなわれた「ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』」を観に行ってきました。 この舞台は、ひとつの役に2人の役者が配されているWキャストの作品で、公演ごとに出演キャストが「チームBLACK」と「チームGREEN」でことなります。わたしが観たのはチームGREENです。 チケット料金の高さに二の足を踏んでいましたが、2018年の公演を観劇した母から「観て損はないよ」と背中を押され、気がついたら購入に進んでいました。経験者の意見ほど重いものはありません。  作品のおお

          「ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』」4人が奏でる美しいハーモニー|舞台感想

          「Endless SHOCK」限りない衝撃を生む堂本光一の世界|舞台感想

           いま日本でいちばんチケットが取りにくいとうわさの舞台があります。KinKi Kidsの堂本光一さんが主演をつとめる「Endless SHOCK」という作品です。このチケットが、ひょんなことからわたしの手元に舞い込んできました。 なんとなく作品の評判を耳にしていたものの、どういう内容なのかまではさっぱりわかりません。ですが、ときおり目にする「舞台が好きな人は観たほうがいい」なんて言葉に「そこまで言われるものなら一度くらいは拝んでみたい」と観劇したい気持ちが膨らんでいたのです

          「Endless SHOCK」限りない衝撃を生む堂本光一の世界|舞台感想

          文章の書き方を学んだら、いつの間にか振り出しに戻っていた

           10月のはじめ、わたしは九州の片田舎からはるばる神戸まで舞台を観に行った。10か月ぶりに観た推しはかっこよくて、きれいで、いきいきとしていた。きみは家族を皆殺しにされた復讐者の役をやっていたけれど、どこかやさしさをまとっているように感じられた。 観劇の翌日、公演を観た感想を書こうと引出しからレターセットを取り出した。2行目に作品名を書き込んだあと「開幕おめでとうございます」と文章を続ける。何の話をしようと考えた途端、そこからぴたりと手が止まってしまった。言いたいことは山ほ

          文章の書き方を学んだら、いつの間にか振り出しに戻っていた

          「ミュージカル『ジェイミー』」俳優 石川禅の魅力|舞台感想

           舞台に出会ってこのかた、いろいろな作品に触れてきました。たくさんの俳優さんも観てきました。劇場の椅子で鳥肌を立てた経験などは片手では数え切れないほどあります。 個性にあふれる役者に囲まれながらも、ひときわ異彩を放つ人がいます。舞台袖からほんの一歩、板の上に踏み出すだけで、ステージはもちろん会場のすべてを包み込む演技をする俳優さんを、わたしは3人知っています。 ひとりは王道の主人公役からちょっとクセの強い役、ときにはあでやかな女性役までもを軽々こなす、太田基裕さん。 も

          「ミュージカル『ジェイミー』」俳優 石川禅の魅力|舞台感想

          オンライン執筆教室に2か月参加したんだよ

          9月から参加している執筆教室が、あと数日で丸2か月が経とうとしています。長いようで短い日々でした。 思えばこの教室に参加しようと決めた理由は「熱がつたわる文章を書けるようになりたい」でした。振り返ってみると、書くことに苦手意識をもっていたわたしが、よくこれだけの本数を書き上げたな〜としみじみしてしまいます。自分で自分を褒めてあげたいです。 この記事では、2期に参加したレポートをざっくりと書いていきたいと思います。 1期と2期で変わったことおおまかな流れは1期とおなじです

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          文章を書くのがずっと苦手だった

           2019年で更新が止まったきみのブログをたまに読み返す。止まる前の最後の記事は、電車からの風景を情感たっぷりに書き綴り「俺、天才かも。小説家でも目指そうかな」という言葉で締めくくられていた。 わたしはその一文を見て 「小説家、すごいなあ。わたしにはとうてい無理な話だ」 と思った。  わたしは物心ついたときから、文章を書くのが苦手だった。読書感想文は夏休みの最後の週まで手がつけられず、床に転がって「わかんないよ~!」と駄々をこねていた。 見かねた親が「自分が思ったこ

          文章を書くのがずっと苦手だった

          未完成のまま鳴り響く音

           俳優とヴィジュアル系ロックバンドの2つのレールを走るきみが、さらに別の音楽ユニットにも参加すると言い出したときは心底おどろきました。ただでさえ目まぐるしい日々を送っている裏側で、ひそかに三足めのわらじを用意していたなんて思ってもみなかったのです。 衝撃の発表から数週間が経ったころ、YouTubeにユニットのティザー映像が上がりました。コントラストの強いビジュアルと、いままできみが出してきたものとはまったくテイストがことなるサウンドに、わたしは湧き上がる期待とともに、一抹の

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          世界にはきみしかいないから

           じりじりと照りつける太陽が夏の訪れを感じさせるころ、一日限りの演劇の祭典が日本武道館で行われました。 このイベントは、世の中が得体の知れない病におびえ、自由に外に出ることも許されなかった時期に、 「俳優でドラフト会議をやったらおもしろそう」 と1人の役者が演劇プロデューサーとのリモート配信で発言したことをきっかけに生まれた企画でした。 「あ! いいねえ! おもしろそう!」 やけに乗り気なプロデューサーの言葉を最後に、それから何の音沙汰もなかったプロジェクトが、2年

          世界にはきみしかいないから

          オンライン執筆教室に参加したんだよ

           こんにちは、はじめまして。すずうみと言います。 いつもは好きな舞台を観に行ったり、たまに映画館に足をはこんだり、気が向いたときに応援している俳優さんにファンレターを送ったりしています。 今回、倉園さんとF太さんが開かれた、自分を緩ませて解きほぐす文章を書くための1ヶ月オンライン執筆教室という講座に参加させていただきました。 1か月でどれくらい文章に変化があったのか、レポートを書いていきたいと思います。 講座の流れについて①オンライン講座  最初に、zoomで行われ

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          色とりどりの花が咲く

          「舞台俳優のどこに魅力を感じるか?」 と聞かれたら、 「それはもちろん花があるところだよ!」 と迷わず答えます。 「この人が出てくるとステージがパッと華やぐよね」 「あの人には花があるね」 わたしが俳優さんを褒めるとき、よく口にする言葉です。じゃあ、この花って一体なんなのでしょう?  芸能にたずさわる方は、何かしら光るものをもっています。それは天性の才能だったり、努力に裏打ちされて得られる自信だったりします。そういう体の奥からにじみ出てくる煌めきを「花」と呼び慣

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