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写真には記憶が残っている

 わたしは写真を撮るのがわりと好きです。道を歩いているときに「いいなあ」と思った景色や、空を染める夕焼け、旅行先で食べた食事などをカメラにおさめています。

けれど写真が上手いとは手放しには言えません。構図はぐちゃぐちゃだし、たまに自分の指が映りこむことがあるし、夜景なんかはとくにへたくそです。「これ何が撮りたかったの?」と思うくらいブレブレの写真がたくさん残っています。

それでも、わたしはわたしの撮る写真が好きです。

「いいなあ」と思った景色を自分が見たままに残せたときは、心の底からうれしくなります。何気なくシャッターを切った写真が、思いもよらぬ出来のときは、自分で自分を褒めたくなります。

それに、カメラロールを見返すたび「この瞬間を切り取りたい!」と思ったそのときの気持ちをありありと思い出せるのです。

 大好きな舞台を観に行ったときはとくに顕著です。新幹線のテーブルと、コンビニで買った綾鷹のペットボトルが写っているだけの写真でも、わくわくが伝わってくるのです。

劇場に飾られたポスターを写した写真からは、これから観れるんだー! なんてよろこびが漏れ出ています。

終演後には、物販で買ったブロマイドを劇場の前で撮っていたり、かえりの車内でこれから食べる牛カツサンドの写真を残していたりと、満足したようすが見て取れます。そして数か月後のわたしがその写真を見ることで、楽しかった記憶がさらに色濃く残るのです。

写真をアルバムに残すのは、楽しかった思い出を手に取れる場所に置いておきたいからなのかなと今になって気づきました。


ここまで読んでくださってありがとうございます!もしあなたの心に刺さった文章があれば、コメントで教えてもらえるとうれしいです。喜びでわたしが飛び跳ねます。・*・:≡( ε:)