マガジンのカバー画像

630
運営しているクリエイター

2021年4月の記事一覧

ハッピーなバッドエンド:Unnamed Memory Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ

ハッピーなバッドエンド:Unnamed Memory Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ

・Unnamed Memory Ⅳ・Ⅴ・Ⅵ
著者:古宮九時
出版:KADOKAWA(Kindle版)

第一部(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)を読んで、
「これはまとめて読むべきやな」
と思って「Ⅵ」が出版されるまで1年数ヶ月。
いやぁ、「第一部」のストーリー、忘れちゃいましたがなw。

とは言え、第一部ラストの衝撃的な展開は記憶に残ってましたし、まあそれが頭の中に入っていれば、基本的なところは分かります。
精緻に

もっとみる
これから必要とされる視点:読書録「未来を実装する」

これから必要とされる視点:読書録「未来を実装する」

・未来を実装する テクノロジーで社会を変革する4つの原則
著者:馬田隆明
出版:英治出版(Kindle版)

コロナ禍で日本の統治機構があまりにも非効率で雑であったことが露わになっています。
いやもう、うんざりするくらい。

あまりにも明らかになっちゃったんで、「デジタル庁」設立となって、DXに舵を切ろうという流れになってるんですが、ワクチンのロジでも、アナログぶりが露呈している今現在…って感じで

もっとみる
「ポーの一族」の続きをお待ちします:読書録「一度きりの大泉の話」

「ポーの一族」の続きをお待ちします:読書録「一度きりの大泉の話」

・一度きりの大泉の話
著者:萩尾望都
出版:河出書房新社

これはもう、「痛ましい」としか…。

<執筆が終わりましたら、もう一度この記憶は永久凍土に封じ込めるつもりです。ちゃんとお墓を作り、墓碑銘も書きましょう。

「1970〜1972年の2年間
夢を見て大泉に集った
漫画家たちがあった。
仕事をし、語り合った。
だが地雷もあった。
それが爆発して大泉は解散した」

青春はこのように終わりました

もっとみる
現代版「悪党パーカー」って感じかな?:読書録「続・用心棒」

現代版「悪党パーカー」って感じかな?:読書録「続・用心棒」

・続・用心棒
著者:デイヴィッド・ゴードン 訳:青木千鶴
出版:ハヤカワ・ミステリ(Kindle版)

楽しませてくれた前作に続いての第2作。
期待を裏切らず、楽しい時間を過ごさせてくれます。

正直、「第1作って、どんな話だっけ?」ってとこもあったんですが、
大丈夫。
ちゃんと冒頭で「前回のお話」的なマトメをしてくれています。
まあ、それがなくても別にいいっちゃあ、いいんですけどw。

ストレー

もっとみる
僕は同感…なんですが、一般受けするかどうかは「?」:読書録「新L型経済」

僕は同感…なんですが、一般受けするかどうかは「?」:読書録「新L型経済」

・新L型経済 コロナ後の日本を立て直す
著者:冨山和彦、田原総一朗
出版:角川新書(Kindle版)

Clubhouseでの成毛眞・田原総一朗の対談が面白すぎて(そのズレっぷりがw)、つい勢いで買っちゃった作品。
もともと冨山さんの「G型/L型(経済、大学)」には<賛成派>だってのもあります。
あんまりウケは良くないんですけどw。

内容は従来の「L型経済」の話を、新型コロナ対策を踏まえて、定義

もっとみる
確かにこれは「完結編」:読書録「小説イタリア・ルネサンス4 再び、ヴェネツィア」

確かにこれは「完結編」:読書録「小説イタリア・ルネサンス4 再び、ヴェネツィア」

・小説イタリア・ルネサンス4 再び、ヴェネツィア
著者:塩野七生
出版:新潮文庫

「3」を改めて読んで、
「キレイに終わってるやん」
と思ったんですが、25年ぶりの続編である本作を読むと、
「なるほど、<完結編>やわ」
とw。

物語は前作のすぐ後からスタート。
前半は「完結編」っぽく、これまでの物語のフォロー編になります。
特に1作目の「アルヴィーゼ」の遺児の件は、3巻に「匂わせ」はありました

もっとみる
丁寧な描写が世界観を生み出している:読書録「高瀬庄左衛門御留書」

丁寧な描写が世界観を生み出している:読書録「高瀬庄左衛門御留書」

・高瀬庄左衛門御留書
著者:砂原浩太朗
出版:講談社(Kindle版)

藤沢周平の「三屋清左衛門残日録」を思わせる
と言う評をどこかで読んで、気になって購入してしまいました。
読み始めて、一気に読了。
好きですね、こう言うの

藤沢周平にしても、池波正太郎にしても、物語としての面白さに加えて、描き出すその「世界観」への共感が根底にあります。
「あ〜、ここへ行って、縁側でゴロゴロしてぇ」
…みたい

もっとみる
そうそう、こういう決着。…ん?続きはどうすんの?:読書録「小説イタリア・ルネサンス3 ローマ」

そうそう、こういう決着。…ん?続きはどうすんの?:読書録「小説イタリア・ルネサンス3 ローマ」

・小説イタリア・ルネサンス3 ローマ
著者:塩野七生
出版:新潮文庫

以前出版された時は3部作で本作が最終作。
主人公(マルコ)の愛人である高級娼婦オリンピアの<過去>が明らかにされ、その恋愛の最後の顛末が描かれます。

「そうそう、こうなったんだよな」
と思い返し、
「ありゃ?じゃあ、新作(4巻)はどうすんの?」
とも。

まあ、でもこのシリーズ、二人の大人の恋愛を描きつつ、ホントのところは「

もっとみる
これからの人生で「ある」と想定した方が良い:読書録「首都直下地震と南海トラフ」

これからの人生で「ある」と想定した方が良い:読書録「首都直下地震と南海トラフ」

・首都直下地震と南海トラフ
著者:鎌田浩毅
出版:MdN新書

業務でBCPの見直しみたいなことに着手してるので、その背景となる知識のアップデートとして一読。
作者は京大の教授で、その退官記念のつもりで本書を執筆(正確には東日本大震災後に海砂作品を大幅加筆修正)されたようです。
Clubhouseで成毛眞さんと対談してるのを聞いて購入してみました。

<知識>的なところで言うと、こんなまとめでしょ

もっとみる
安定/マンネリの「新章」スタート:読書録「新 謎解きはディナーのあとで」

安定/マンネリの「新章」スタート:読書録「新 謎解きはディナーのあとで」

・新 謎解きはディナーのあとで
著者:東川篤哉
出版:小学館

そもそも前作でシリーズが終わってたのを知りませんでしたw。
風祭警部が「栄転」したんでしたっけ?
で、本作の第一話で「左遷」されてきて、戻ってくる…と。

ヒロインの「後輩」として新しいキャラが登場するんですが、特に登場したからって「何がどう」って感じもないんですよねぇ。
まあ、パターンギャグが一つ増えた感じはありますが。

…と言っ

もっとみる
コロンに泣かされました:読書録「永遠のおでかけ」

コロンに泣かされました:読書録「永遠のおでかけ」

・永遠のおでかけ
著者:益田ミリ
出版:毎日文庫

作者のお父さんが亡くなられる前後のことを書いた、連作エッセイ。

「益田ミリって、<難しい>ことを、簡単な言葉で、上手に描いてくれるのよね〜」

と先に読んだ妻が言ってましたが、ほんとそうですね。

益田ミリ。

名前はもちろん知ってましたし、本屋でよく見かけもしてたんですが、最近まで読んだことはなかったんですよ。
少し前にある方が、
「益田ミリ

もっとみる
トラップで泣かされる:マンガ評「さよなら私のクラマー」

トラップで泣かされる:マンガ評「さよなら私のクラマー」

ゴールでも、シュートでも、セーブでも、ディフェンスでも、台詞でも、勝敗ですらなく、

トラップ。

いやぁ、やられたわ。

連載最終回を読んだ時は、
「え?ここ?もう少し先まで…」
と思ったんだけど、単行本で読むと、

「ここしかない」
いや、もし番外編とかで浦和邦成戦があったら、喜んで読みますけどw。

しかし、これ、どういう風にアニメにすんのかなぁ。
楽しみ半分、不安半分。
#読書感想文

もっとみる