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僕は同感…なんですが、一般受けするかどうかは「?」:読書録「新L型経済」

・新L型経済 コロナ後の日本を立て直す
著者:冨山和彦、田原総一朗
出版:角川新書(Kindle版)


Clubhouseでの成毛眞・田原総一朗の対談が面白すぎて(そのズレっぷりがw)、つい勢いで買っちゃった作品。
もともと冨山さんの「G型/L型(経済、大学)」には<賛成派>だってのもあります。
あんまりウケは良くないんですけどw。



内容は従来の「L型経済」の話を、新型コロナ対策を踏まえて、定義しなおしたって感じかな?
特に中小企業向けの融資の「徳政令」の話や、企業ルートでの福祉・補償ではなく、個人への直接補償に切り替えるべき…なんてあたりは「コロナ」を踏まえて、の主張です。
地域産業の基盤である中小企業を支援しつつ、個人を直接支援することで、需要の受け皿とならない「ゾンビ企業」の延命を防ぐって構図。



プロ経営者の必要性や、大企業人材の地域活用、経営者の個人保証の廃止、中小企業の生産性向上の推進(ゾンビ企業の廃業)、最低賃金の引き上げ etc etc



ここら辺は従来主張と変わりありませんが、「コロナ禍」を経験することで、より方向性が強く出た感じですかね。
「需要の受け皿となる企業は残す」
「需要を喚起できない企業は退場させる」
「需要の担い手である<個人>への支援を直接実施し、需要の引き上げを図る」
…こういうラインです。
「デジタル化」ってのが、大企業じゃなくて、地域経済の<リアル>を支える地域の中小企業にこそ必要…ってのも個人的実感があります。
それをしないと人材も集められないですから。



田原さんとの掛け合いは、まあ面白いです。
田原さんって、いい意味で「中身がない」んですよね。
だから相手を刺激することで、相手の主張をわかりやすく引き出してきて、提示することができる。
本書にもそう言う側面があります。(成毛さんの対談でもw)



一方で、ご本人の持っている知識や人脈が、ある意味「時代遅れ」になってしまっているので(成毛さんの指摘はココでした)、そこからの切り口は鈍くなっちゃったり、ズレちゃったりする。
本書についても、
「L型経済によって、地域の中間層を底上げし、分厚くすることで、中間層の没落によって生じる分断を回避する」
というすごく興味深い話をしてるのに、「松下幸之助」やら「田中角栄」、「宮沢喜一」「安倍晋三」「菅義偉」が出てきて、話が「G型経済/G型企業/G型人材」の話に後半、流れていきます。
話としちゃそっちの方が「見栄え」はするかもしれないけど、大切なのはそっちじゃないんだよな〜って感じでした。
それはそれで面白かったりはするんですが。



L型経済を支える中間層の底上げ


コロナ後に日本が取り組むべきは、確かにこういう方向かと。


そのためにも需要を生み出す<個人>を支える支援をしっかりすることと、その需要の受け皿となる企業を潰さないこと。
そして需要の受け皿となり得ないことがわかった企業については「退場」をしてもらうこと。


そこには「未来」が見えると思うんだけど、どうでしょ?


割とウケが悪いからな〜。
「L型経済」w



#読書感想文
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