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2019年11月の記事一覧

笑い事じゃないけど:読書録「大学改革の迷走」

笑い事じゃないけど:読書録「大学改革の迷走」

・大学改革の迷走
著者:佐藤郁哉
出版:ちくま新書

友人のFacebookで紹介されてて、面白そうだったので購入。
中学生の子ども二人の父親でもありますし。

帯にご本人も書かれてますが、まずは分厚さにビックリw。(500ページ弱あります)
ただ読み始めると、興味深くて、スラスラと読めてしまいますね。
内容的にはここ30年ほどの「大学改革」の迷走っぷり。
読み終えて、
「笑っちゃいかんけど、笑っ

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ショートムービー(動画)がどこまで流行るかは「?」ですが:「TikTok最強のSNSは中国から生まれる」

ショートムービー(動画)がどこまで流行るかは「?」ですが:「TikTok最強のSNSは中国から生まれる」

・TikTok 最強のSNSは中国から生まれる

著者:黄未来
出版:ダイヤモンド社

日本育ちで、元・三井物産社員、現在はバイドダンス(TikTokの運営会社)に勤めてる作者の「TikTok」紹介本。
…と言っても、バイドダンスに勤めたのは本書を書き上げた後のようですがね。

本書自体は「TikTok」の<使い方>みたいな本じゃなくて、動画SNSがどういう風に中国で広がってきたか、そのマネタイ

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(メモ)「危機と人類」:日本の課題

(メモ)「危機と人類」:日本の課題

ジャレド・ダイアモンド「人類と危機」第8章では「現代日本」が抱える課題について整理されています。
全体として読みがいのあるパートですが、個人的には以下の点に特に興味を惹かれました。

①女性の活躍推進・超高齢化対策と移民
「人口減少」と移民政策ってのは結構論じられますが、ジャレドは「人口減少」そのものはあまり問題視していません。(むしろプラスになるくらい)
ただ「女性」が社会進出していくにあた

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(メモ)「2050年のメディア」:コンテンツとしての質の良い記事は必要とされている

(メモ)「2050年のメディア」:コンテンツとしての質の良い記事は必要とされている

本書の冒頭では渡邉恒雄氏の「嘆き」が紹介されています。

<「読売はこのままではもたんぞ」>(18年年初挨拶)

ただトランプ政権の誕生以降、「フェイクニュース」が世界的な政治の重要イシューとなり、むしろ「質の高いニュース」(ファクトに基づき、高い倫理性と哲学に裏づけされた記事)の重要性は高まっていると思います。
そういう記事を書くことができるのは、やはりマスメディアの記者が第一であると位置付ける

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タイムリーでもある:読書録「2050年のメディア」

タイムリーでもある:読書録「2050年のメディア」

・2050年のメディア
著者:下山進
出版:文藝春秋

「危機と人類」「古典は本当に不要なのか、否定論者と議論して本気で考えてみた。」と、ここのところノンフィクションは「アタリ」が続いていますが、本書が一番「面白かった」かもしれません。
(「危機と人類」は一番<刺激を受けた>、「古典は〜」は一番<驚いた>…ですかね)

90年代後半から現在にかけて、「マスメディア」と「ネット」がどう言う関係性を日

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(メモ)「危機と人類」:フィンランドの教育

(メモ)「危機と人類」:フィンランドの教育

フィンランドの教育水準が高いことは有名。
本書でも以下のように紹介されています。

<国民を有効活用し、生産性を高めるために、フィンランドの学校制度は、全員に良い教育を授けることを目標としている。ほんの一部にだけ良い教育を提供し、大多数には低質な教育を授けるというアメリカの教育システムとはまったく異なる。フィンランドでは、公立学校で平等に良質な教育を受けることができ、私立学校の数はごくわずかだ。ア

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肯定派はマジで戦略を考え直した方がいい:読書録「古典は本当に必要なのか、否定論者と議論して本気で考えてみた。」

肯定派はマジで戦略を考え直した方がいい:読書録「古典は本当に必要なのか、否定論者と議論して本気で考えてみた。」

・古典は本当に必要なのか、否定論者と論議して本気で考えてみた。
編:勝又基、否定派:猿倉信彦・前田賢一、肯定派:渡部泰明・福田安典、司会:飯倉洋一
出版:文学通信

HONZで書評が出てて、面白そうなんでポチッと。
読み始めたら止まらなくて、1日で読破してしまいましたw。

まずは僕のスタンス。
「古文」に関しては劣等生でしたが、「古典」の重要性は高いと考えています。
ただ「文法のための文法」とし

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まあ、こんな感じかもね:読書録「ネットは社会を分断しない」

まあ、こんな感じかもね:読書録「ネットは社会を分断しない」

・ネットは社会を分断しない
著者:田中辰雄、浜屋敏
出版:角川書店

民主主義を推し進め、補完し、強化していくことを期待されていたネットが、罵詈雑言と中傷に満ちた荒れ果てた世界となってしまった。
…という認識が、本当に正しいのだろうか、という点を、大規模なアンケート調査をベースに分析した作品。
「ネットベース」の調査という点に分母への不安(偏りやバイアス)を感じなくもないのですが、内容的には問題が

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(メモ)「危機と人類」:ドイツの戦後対応

(メモ)「危機と人類」:ドイツの戦後対応

第二次世界大戦後のドイツと日本の周辺諸国への謝罪の姿勢が大きく違う…と言うのはよく言われること。
ただこれについては僕は、

「ドイツに関してはヒトラーをはじめ主要権力者が死亡した<ナチス>に全てをおっかぶせ、一般国民は<ナチスの被害者>という立ち位置にしたから謝罪がしやすかった」(すべてはナチスのせいにした)

と思ってました。
ここら辺、「エロイカより愛を込めて」で「鉄のクラウス」が「国防軍だ

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いやぁ、面白かった:読書録「危機と人類」

いやぁ、面白かった:読書録「危機と人類」

・危機と人類<上・下>
著者:ジャレド・ダイアモンド  訳:小川敏子、川上純子
出版:日本経済新聞出版社(Kindle版)

読み始めて、
「コレ?日本での出版向けに加筆された日本版?」
と思い、
読み終えて、改めて、
「日本版だっけ?」

それくらい「日本でこそ読まれるべき作品」になってます。
取り上げられているのは7カ国。
フィンランド、日本、チリ、インドネシア、ドイツ、オーストラリア、アメリ

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(メモ)「危機と人類」:フィンランドの外交方針

(メモ)「危機と人類」:フィンランドの外交方針

「中国」と言う近隣の大国、「アメリカ」と言う保護国的位置づけの大国
この2大国との関係を「現実主義」的に処理していくことが今後の日本の地政学的な課題。

(特に近隣大国である「中国」は、
<覇権的な色彩を強めている>
<朝鮮半島(韓国、北朝鮮)と合わせて、反日的な感情ベースがある>
<近代歴史の中で日本が侮ってきた歴史があり、その心理的な傾向を払拭できていない>
…と言う点で、極めて重要)

その

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AIに関しては倫理や道徳を考えなきゃいけないまでに現実的になってきたということかな?:読書録「AI以後」

AIに関しては倫理や道徳を考えなきゃいけないまでに現実的になってきたということかな?:読書録「AI以後」

・AI以後  変貌するテクノロジーの危機と希望
著者:丸山俊一+NHK取材班
出版:NHK出版新書

正直、「AI」に関する本はソロソロ遠慮しとこうかな、と思ってたんですけどねw。
本書はEテレで放送された「人間ってナンだ?超AI入門」の特別編を書籍化したもの。
番組は見てないんですがw、この制作班(「欲望の資本主義」とか作ってる)はなかなか面白い番組を作ってるので、読んでみる気になりました。

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「スマホ」は「ナイフ」か「包丁」:読書録「21世紀の『男の子』の親たちへ」

「スマホ」は「ナイフ」か「包丁」:読書録「21世紀の『男の子』の親たちへ」

・21世紀の「男の子」の親たちへ 男子校の先生たちからのアドバイス
著者:おおたとしまさ
出版:祥伝社

子供たちとの「スマホ戦争」は依然として継続してて、戦線は拡大・硬直状態。
その件は別途書くかもしれませんがw、ちょっとしたキッカケがあって、そこら辺のことが何か書かれてるかなぁと思って、読んでみました。
過去に書かれた作品の焼き直しのようですが、「男子校先生のアドバイス」というよりは、おおたさ

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コミック「大丈夫。世界は、まだ美しい。」

コミック「大丈夫。世界は、まだ美しい。」

<その人の印象が
「笑顔」っていうことは

その人を「笑顔」に
できてたってことなのだと思う。>

…そうありたい。
#読書感想文