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成績の収支が良い球団は順位が高い?面白い記事を見つけたので考察してみた

こんにちは、すずです。
こんな記事を見つけました。

セ6球団のチーム成績の収支が順位に影響しているという記事。

結論から言うと、勝率には影響あるでしょうが、実際は直接的に順位が前後する相手との試合での勝敗と、順位が離れてるチームとの勝敗は等しい価値ではありませんし、相関性は大きくないと考えます。

また、勝点という概念がない野球では、0-1でも0-10でも同じ負けだし、1-0でも10-1でも同じ勝ち。つまり得失点効率の話なので、この記事の主張は少し感情的だなと感じました。
(例えば、盗塁数の話をするなら、許盗塁だけでなく盗塁死や盗企数も出して割合や確率で話した方がいいなと思っています)

ただ、着眼点は面白いと思ったので、この記事にある成績の貯金が巨人の場合どのようになっているか、調べてみたいと思います。

成績は全て8/6終了時点で記載します。

あ、サムネイルは「金」ってワードでパッと浮かんだグラゼニです。

面白いですよ!

勝利と敗戦

まずは勝利と敗戦。

39試合を消化し24勝13敗2分。貯金11でセリーグを独走中。

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先発ローテ6人で79.17%の勝利を積み上げています。理想がどのくらいの%かは分かりませんが、「序盤からリードしている」もしくは「終盤逆転まで先発が粘る」ことができているのが分かりますね。

今シーズンは先制点を挙げた場合の勝率が9割以上です。そう考えるともちろん投手も頑張っているのですが、野手が早い回で点を取る=相手投手に対する対策ができている、これが数字に出ていると思います。

3番目に勝利を積み上げたサンチェスが故障で降格。桜井も調整のため同じく降格。ここに復帰した田口と畠、そして6番手でどんな投手が上がってくるか楽しみです。

続いては敗戦投手の分布。

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リリーフの敗戦がわずか3。同点から、リードで登板し逆転負けが少ないことがわかります。

勝利と敗戦の収支を見ると、菅野が6-0で貯金6、戸郷が4-2で貯金2、田口が2-0で貯金2、サンチェスが3-2で貯金1。桜井は2-2で貯金0、メルセデスは2-4は借金2。先発でみるとメルセデスの成績が悪目立ちしますね。

本塁打と被本塁打

ここまで本塁打はリーグ最多の56本。

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1/4は本塁打ランキングトップの岡本。岡本、丸、坂本で50%以上。岡本〜大城までで40本塁打。これは中日(19本)、ヤクルト(35本)、阪神(39本)よりも多い数字です。

では被本塁打を見てみましょう。

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投球回/対戦打者の多い先発はどうしても絶対数では本塁打が多くなります。そのためこれだけを見ても誰が本塁打を割合多く打たれているかは分かりません。

そこで投球回(奪ったアウト)を合わせて、1つのアウト奪うまでに打たれる本塁打の数にしてみました。※1/3回を0.33、1回を1.0で計算

これは被本塁打率とはちょっと違っていて、被本塁打率は対戦した打者あたりに本塁打を許す率に対して、今回算出したのは奪ったアウトあたりです。

本塁打を多く打たれていても、多くアウトを奪っていれば良いという考え方。

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このようにして見ると、絶対数としての被本塁打は桜井、戸郷、メルセデスは多いのですが、抑えている数も多いため決して悪いとは言えません。

投手にとっての貯金をアウトを取ること、その反対が失点すること、更には直接的に必ず自責点が発生する被本塁打を借金とした時に、例えば古川、田中豊、堀岡あたりはあまり貯金を作れていないかもしれません。

ちなみに、数値の良かった上位5投手はサンチェス(0.074)、澤村(0.075)、菅野(0.081)、高木(0.081)、鍵谷(0.086)でした。

サンチェスと高木は故障、澤村は再調整で降格。そう考えると今後巨人の被本塁打は増えていくかもしれません。澤村、四球で自滅しなければ数字はいいんだよな。。。

鍵谷も防御率は今ひとつですが、直球に勢いがあるんでしょうね。

得点と失点

まずは得点から。ここまで190得点。

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岡本、坂本、丸はやはり上位にきますね。本塁打の時も思ったのですが、加入して間もないウィーラーが割と各指標の上位にいるのは本当にいい選手を獲得したなと思います。

これは確かに得点の分布なんですが、例えば岡本の場合、本塁打も多いので自力で帰って来ちゃいます。それは確かにすごいのですが、得点させてもらったのは誰が多いのかも見てみようと思います。

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するとちょっと割合が変わりました。多い順に並べ替えてみます。

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代走での起用の多い増田大が3番目に、陽も5番目になりました。ただ1-2位は岡本、坂本で変わらず。岡本は本塁打を打つだけでなく、味方が得点してくれる場面で安打を打っていることになります。

打率.287の岡本と、打率.244の坂本では安打が10本も違います。それで同じ得点数というのは、坂本が出塁すると得点する可能性が高いとも受け取れます。これは3番の丸、4番の岡本がしっかり機能しているんでしょうね。

合わせて打点の分布も見てみます。

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岡本と丸が多いのは当然として、5~6番になることの多い大城、パーラ、亀井、中島、ウィーラーあたりも上位ですね。

ここにどのくらい打点を稼がせてもらっているかを加味してみました。打点数 - 本塁打数で自分の本塁打で稼いだ自分自身の打点を除きます。

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パーラと亀井が上位になりました。この結果を見ると、大城は13打点ありますがそのうち5打点がソロ本塁打ということになります。前を打つのが岡本なので仕方ないかもしれないですが、得点機会の多い坂本や丸の後例えば3番大城でも面白いのかもしれないですね。

続いては失点の分布を見てみます。

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これも被本塁打と同じで絶対数ではどうしても先発が多くなってしまいます。ここでも奪ったアウトを...といきたいのですがそれだと普通の防御率です。笑

初めに紹介した記事を批判したいわけではないのですが、ここまで読んでくれた人なら「得点-失点で借金が多いから順位が悪い!」はちょっと無理やりだなというのに気づいてくれるかなと思います。気持ちは分かるんですけどね...笑

ただ、せっかくなので他の指標も見てみましょうか。

盗塁数と許盗塁

盗塁数は24で現在リーグ3位。

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増田大と吉川で50%以上を占めています。

リーグで最も多いのは阪神の35。

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13人が盗塁を記録しており、代走で出てくる若い選手が多いなという印象。もちろん盗塁王の近本はすごいのですが割合としては増田大と同じ。

そう考えると梅野の4はすごい。。。巨人のキャッチャーはこんなに走れないですからね。

最も少ないのは横浜の7です。

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4/7が梶谷。。。走れる選手が少ないですね。

ちなみに、この3チームでは盗塁を仕掛けた絶対数も阪神が巨人より10多く、成功率も10%近く差がありました。

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ちなみに、巨人と阪神の選手で複数回盗塁を決めているの選手がどのくらい効率よく盗塁しているかというとこんな感じ。

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坂本、3-0!!

上本、熊谷、糸井も2-0と成功率100%

近本の盗塁成功率はチームの成功率よりも低いんですね。成功率だけで話すと増田大は盗塁王狙えると言ってもいいのではないでしょうか。代走がメインなので出場機会が課題ですね。

阪神は盗塁の貯金が多いのではなく、「チームとしての成功率も高く、企盗数も多い走塁意識の高いチーム」というのが正しいのかなと思います。

続いては許盗塁です。

ここまで12の盗塁を許しています。分布はこんな感じ。

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今までで一番味気ない円グラフですね。。。

キャッチャーの分析って難しいのでいくつか考えてみます。

まずはマスクを被ったイニング数。

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今シーズンは開幕カードで小林が骨折したため大城と炭谷の併用が続いています。大城が7試合分多くマスクを被っています。

続いては失点の分布。

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これも出場機会で変わって来ます。そこでキャッチャーの防御率を見てみましょう。小林は12イニング、岸田は20イニングと少ないんですが結果はこちら。

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盗塁阻止率と並べてみてみましょう。

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岸田は19年も20年も共に1-1で盗塁阻止しています。

小林の守備力の高さが分かりますね。小林と大城だと盗塁阻止の率が全然違います。

いくつかの投手との組み合わせで防御率を出してみます。

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菅野、田口、高梨のように言い換えると誰が受けても失点しにくい投手がいることが分かります。

サンチェス、中川、宮国のように特定のペアだと防御率が上がってしまう場合もあるようです。

そして、桜井、田中豊、堀岡、澤村、鍵谷のように捕手関係なく防御率が高い投手もいます。

もちろん平均すると先に出した捕手別防御率のように小林や炭谷は2点台だったりするのですが、投手と捕手の相性もあると言えます。

この相性が、経験によるものかどうかの判断はデータからは難しいのですし、一言でまとめてしまうのは捕手に失礼なのですが、例えば菅野のように直球含め決め球の多い投手は、誤解を恐れずに言うと、配球が多少変わっても抑える可能性が高いと言えます。

中川や田中豊、澤村、堀岡のように球種の少ない投手は配球、特に球種の選択パターンが少ないため捕手はリードで補う必要があると言えます。

そう考えると、中川の場合、炭谷と大城の場合の防御率と岸田の場合の防御率で差が出るのは経験かもしれません。

同じように、球種は多いものの決め球に欠ける宮国のリードの際、炭谷だけ無失点なのは経験なのかもしれないですね。(サンチェスも同様に大城だけ高い)

試合をみていると、コースや球種がどうしても偏っているのが分かります。

今回はちょっとマニアックな話だったかもしれないですが、順位詳細にある数字を足したり引いたりしても確かにそれっぽい数字は出るかもしれないけど、ちゃんと実態に合った分析をメディアはして欲しいなと思いました。

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↑はスポナビの順位詳細

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これは冒頭に挙げた記事の画像。

うーん。中日の数字が悪いのは分かったけど、順位と比例してないんだよな。。。笑

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