【小説】エイプリルフール
4月1日。エイプリルフール。
この本丸でも、この日は嘘をついてもよいことになっている。普段は嘘になってしまうから言えない願いや祈りを、この日だけは気にすることなく素直に伝えようというのがこの本丸の主の方針だった。
今年の4月1日に1番に主と顔を合わせたのは鶯丸である。不寝番だったのだ。
「大包平は『叶わぬ願いなどない!俺は嘘はつかない!』と今年も言っていたぞ。あいつならばそうなのかもしれんな」
くつくつと笑いながら語る鶯丸に、主はそういう自分はどうなのかと尋ねる。
「俺か?