小竜景光の主について

※手紙のネタバレを含みます。

原作の小竜くんって一見元の主にそんなに深い思い入れがないように見えますよね。元の主の事をはっきりとは語りませんしね。
でも彼の言葉にはかつての主の要素がたくさん散りばめられています。「楠公景光との異名」「ゲリラ戦」「死の匂い」「農家にいたこともあった」「その首もらった」「目利きは得意」などなど。
そして彼は自分が貴重な刀であるとも自覚しています。「俺は人を選ぶからさ」「これでキミも俺を手放せなくなってしまったかな?」「俺のこと、心配したかい?」などですね。
色々な主の事をきちんと覚えていて、自分が大切にされていたこともわかっていて、それでも小竜景光の主に対しての態度はどこか冷たいですよね。
それは、彼は『主とはいつか別れるもの』だと思っているからなのかなと思うんですよね。主とはいつか別れる時が来る。それは必然なので自分はそれほど悲しまないと思っているのが特の小竜くんなのかなって。

しかし彼は修行の旅で元の主の死を見て、「誰か、報いてやることは出来なかったのだろうか」と手紙に書くんですよね。その死を悲しんで、悔しいと思っている自分と向き合って、「新たな主を得ての旅、か。俺は十分以上に報われているわけだな」と思って彼は旅から帰ってくるんですよ。今現在主と共に在れることが幸せなのだと言えるようになって帰ってくるんですよ。
なので極の小竜くんは、「帰ってくるんだから心配しなさんな」「色んな主がいたけど今が1番面白いかな」って、今の主を大事にしていると隠さずに話しますし、そして7周年で「ここまで長く居座ることになろうとは、かつての俺が聞いたら笑うだろうな」って言うんですよ。
必ず別れることになる主にそこまで心を傾けるなんて物好きだねと、特の小竜くんなら笑うのかもしれません。けれど極の小竜くんは、失った時に絶対に深く傷つくとわかっていても、主が大切だと正直に言えるんでしょうね。だから極の小竜くんの折れる時の台詞は、「よかったことと言えば、主を失うことなく死ねることかな……」なんでしょうね。

江水の小竜くんは主の死をあまりにも多く見すぎたからか、極の小竜くんに近くなってしまっていますね。特の小竜くんはもう少し「俺は主を失っても大丈夫だよ」って意地っ張りな感じだと思うので。
「たくさんいた、主の一人さ」は、初日の強がっている方が特の小竜くんっぽかったのかもしれませんね。

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