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すべてはESG化する~映画版ジャイアンが選ばれる世界~

こんにちは、サステナブル・ラボCEOの平瀬です。
 
以前のブログで漫画のヒーロー好きを公言して以来、漫画の話をふられることが多くなりました(笑)。嬉しい限りです。ドラえもん、ドラゴンボール、北斗の拳、ワンピース、キングダム、、、昔から漫画に親しんできた私には語れるネタがたくさんあります。ぜひ皆さんもお会いした際は漫画ネタでふってもらえるとありがたいです。
 
さて、これまでのブログでも少し触れましたが、昨今、SDGsやESGがホットワードになり、脱炭素経営やESG投資増加などの流れが加速しています。一方で、これらは一過性のブームにすぎないという声もあります。また、ウクライナ戦争等によって、アンチESGの流れが生まれつつあるという声も一部であります。
 
いろんな考え方や意見もありますが、私は、今後すべてが当たり前にESG化していくと考えています。今回は、私がそう考える背景について、漫画好きならではの「ジャイアン」、そして「歴史的な流れ」、ふたつの観点で書いていきたいと思います。

ジャイアンから考えるサステナビリティ


みなさんご存じのジャイアン。どのような印象をお持ちでしょうか。

「お前のモノは俺のモノ、俺のモノは俺のモノ!」

大人になった今聞いてもちょっと嫌な気持ちになるこの有名な言葉によく現れているように、一言で言うと「ひどい奴」ではないでしょうか。それが例えのび太くんの大事なラジコンでも、ジャイアンが欲しいと思ったら、殴って奪って、自分のモノにしてしまう。ジャイアンは、力(暴力)ですべて自分の思い通りにしています。そして、ジャイアンの周りでは、いつものび太のような弱い者が泣いています。まさにひどい奴です。
 
でも、そんなジャイアンにもスネ夫という友達がいます。スネ夫は、強いジャイアンのそばにいることで、おこぼれをもらうことができています。決して強固な友情関係ではありませんが、それなりに関係が成り立っています。
 
短期的・局所的にみれば、ジャイアンを取り巻く社会は暴力を正義として成立しており、スネ夫のように従う人も一定います。しかし長期的・大局的にみるとどうでしょうか。ジャイアンの周りで、のび太のような弱い者が搾取され続けています。友達のスネ夫も、ジャイアンより強い人が現れたら、そちらに寝返ることが容易に想像できます。全くサステナブルではありませんね。
 
次に、こうした通常版のジャイアンから少し離れて、映画版ドラえもんに登場するジャイアンについて考えてみましょう。通常版とは打って変わって、ちょっと「いい奴」になっていることにお気づきの方も多いのではないでしょうか。
 
映画版では、普段小さな社会のなかで力関係をもっているジャイアン、のび太、スネ夫たちの前に、未知の生物などの共通の敵が現れます。これにより、その敵から仲間を、地球を救おうと、みんなが力を合わせてがんばる、という構図に変化しています。ジャイアンの持つ力は敵をやっつけるための大きな力になり、みんながジャイアンについていきます。また、搾取対象だったのび太も仲間になります。通常盤の力関係を取っ払い、みんなで力を合わせて共通の敵に立ち向かう姿が感動を呼びますよね。 

さて、これを社会に置き換えてみましょう。

資本主義は通常盤ジャイアンから映画版ジャイアンへ

企業が、自社や株主の経済利益を追求するために、労働者や地球から搾取し続けている状態は、通常盤ジャイアンに近い状態ではないでしょうか。短期的・局所的にみると、一定の支持を得ることもあると思います。しかし長期的・大局的にみると、労働者がいつメンタルダウンし調査や規制が入るか分かりません。地球ではますます環境破壊が進み、いずれ人類の生活すら成り立たない状態になるかもしれません。
 
ポスト資本主義では、企業が、自社や株主の経済利益だけのために頑張るのではなく、まさに映画版ジャイアンのような人類共通の課題を解決するリーダーになることが求められると私は考えています。そして、そのリーダーの下では搾取対象であった労働者や地球が、ともに課題を解決する仲間になっていきます。通常盤ジャイアンとスネ夫のような薄い関係ではなく、エンゲージの高い状態でみんなで前に進むことができます。
 
先の見通しが不透明な状況下で企業が存続し成長し続けるためには、株主のほか、顧客、従業員、とりまく社会、あらゆるステークホルダーに選ばれ続けることが必要です。通常盤ジャイアンと、映画版ジャイアン、どちらがステークホルダーから支持を多く得られるのかは明らかですね。

このような考えから、私は、これからの時代では企業が選ばれ続けるために映画版ジャイアン化していく、そしてすべての投資判断、就職判断にESG、SGDsの観点がインテグレートされ、グリーン化していくと確信している、というわけです。

ESG:ブラックホール化を破壊し、社会利益と経済利益の両立を実現する


続いて歴史的な流れの観点で書いていきます。
 
以前のブログ「資本主義にドロップキック」でも書いたとおり、そもそも経済活動が生まれた背景には、少なくとも日本においては、世の中をよりよくするという考え方が大きくありました。近代日本経済の父と呼ばれる渋沢栄一の有名な理念にも、「道徳経済合一」というものがあります。公益の追求を尊重する「道徳」と、利益の追求を尊重する「経済」、これらはいずれも重視されるべきものであり、いずれかが欠けてはならないという考え方です。
 
それから時を経るうちに、うまく経済活動が営まれるよう、法規制などによって様々なルールができました。ルールが全くなければ、すべてはブラックホール化してしまうからです。市場の自由主義に任せていると、万有引力に導かれるように、資金のあるところにさらに資金が集中し、巨大なブラックホールが生まれてしまいます。ブラックホール化が進むと、「道徳」と「経済」、つまり社会利益と経済利益はどんどん乖離し続けてしまいます。長期にわたり、それを抑制するように敷かれた一定のルール下での自由主義経済は、バランスをとりながら泳いできました。

しかし、ここ数十年の間に、ブラックホール化が進んでしまいました。ひとつの要因は、急速なグローバリゼーションです。一番安いところで仕入れ、一番高いところで売る、ということが可能になり、万有引力がより働きやすい環境になってしまいました。もうひとつの要因として、金融資本主義の強大化があります。実態経済を円滑にまわすために存在していたはずの金融経済が、今や実態経済の約20倍にも膨れ上がっていると言われており、強大な力をもっています。実世界をより円滑に動かすために作られたはずのシミュレーションの世界で大きな爆発が起こると、それが実世界にも大きく影響してしまう。そして今や我々人間にはそれを止めることもできない。不可思議な状況です。金融資本主義の強大化もまた、万有引力を働きやすくし、ブラックホール化を進めていると考えられるのではないでしょうか。
 
さて、このブラックホール化を破壊し、改めて社会利益と経済利益の両立を実現しよう、という考えが、昨今のESG化の流れに繋がっています。
 
社会利益と経済利益の両立。これを実現するためには、映画版ジャイアンのように「社会利益をみんなで目指そう!」とするのか、あるいは社会利益と経済利益をインテグレートし、Purpose Beyond Profit、つまり社会のために会社が存在している、という考え方を織り交ぜていくのか、いずれかの手段が必要ではないでしょうか。
 
いずれの手段をとるにしても、すべてがESG化していくことは間違いないと思いませんか?私はそう考えています。欧米に比べ、日本においては今のところこの動きがやや緩やかですが、欧米の流れが少し遅れて日本にやってくるのはこれまでの歴史から見ても明らかです。
 
すべてがESG化していくに際し、社会利益をモニタリングしシミュレーションできるデータインフラは必ず必要です。我々はそんな数年後を見据え、今日もデータインフラを構築・提供している、というわけです。少しでも共感してくださる方がいると嬉しいです。
 
今回もお読みいただきありがとうござました!

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