「こさめ」

曇り空の下、僕は家に向かって、爆走していた。もうすぐこさめが降ってくる。

 今日は傘を持ってきていない。最悪だ。すると近くの男性から血が出た。

 よくみるとこさめが噛み付いていた。とうとうきたのだ。男性は次から次へと降ってくるこさめの餌食なってしまった。

 手のひらサイズの小さなサメだが性質は凶暴そのもの。複数で集まれば人間なんて一瞬で骨に変えてしまうのだ。

 まずい。僕はそのまま走り続けた。その時、肩に激痛を感じた。確認するとこさめだった。

 僕は歯を食いしばり、痛みを堪えて家に向かった。

 辺りはまさに地獄だ。数年前からこんな事が頻発している。

 そうこうしているうちに家が見えてきた。しかし、家の周りには多くの血溜まりが出来ている。

 バラバラの死体も転がっている。僕は走った。そして、ようやく家に辿り着いた。

 こさめと言えど家の天井を食い破れるほどの力はない。

 外から悲鳴が聞こえる中、僕は毛布の中でうずくまった。
 
 数時間後、こさめがやんだ。

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