「地獄の後片付け」

 終わった。仲間から終戦の知らせを聞いて、呆然とした。

 未だに戦争が終わったのだと、信じきれていなかったからだ。

 でも銃声、怒号、運ばれてくる負傷兵達の少なさを見て、終わった事を理解した。

 数日後、僕は帰国した。 傷だらけの足。すり減った心をなんとか保ちながら、故郷に戻った。

 故郷は空襲により荒れ果てており、目を当てられないほど悲惨な光景が広がっていた。

 父と母は疎開先に避難しており、数日後に戻ってくるらしい。
 
 これから戦争と同じくらい忙しい事が続くだろう。僕の戦いはこれからなのかもしれない。

 そんな事を思いながら、家の瓦礫に手を伸ばした。

 

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