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その変わり目 2           ~その変わり目 第二話


 メールは、すぐ、返信が来た。

「こちらこそ、ご馳走様でした。
 男の方と初めて、サットンできて、嬉しかったです。
 貞躬さだみさんでよかったです。
 店長さんに勘違いされても、小気味よかったです。
 おじさんじゃないですから、気にしないでください。
 お疲れ様でした。おやすみなさい☆ 卯月」

 なんだあ。解ってて、スルー、ってこと?・・・サットンにしなければ・・・今頃。って、まあ、いいか。

 次回、中野だよー。変更という手もあるが・・・。それは考えよう。マジ、作戦を練ろう。小気味良いって、どんな具合だ?脈ありってことか?俺で良かったって、ハッキリ、書いてるじゃないか・・・。中野からの変更をしよう。少しずつ、誘導してもいいし、土曜日誘えば、1日使える。もう、そういうことじゃないか、これ。

 ・・・んなら、LINEで。

「取り急ぎ。
 予定が入りそうなので、決めておこうと思って。
 次の土曜では、いかがですか?」

「はい、そのつもり?
 ・・・だったのでは?」

「なら、有り難いし、嬉しいです」

「よろしくお願いします」

「1日、空けられますが」

「朝から?」

「ゆっくりでいいですよ、
 ランチからでも」

「ランチ中野ですか?」

「できたら、
 臭い気にせずに過ごしたいから、
 中野は後がいいかな」

「わかりました。お任せします」

「考えて、連絡しますね」

「ありがとうございます。
 楽しみにしています」

 素直だ。大丈夫かな?これ、本当か?

 ・・・まあ、まだ、1週間あるから、どうせ、岩宿の芦原には、必ず、定期で顔出すし、その気になれば、毎日だって、ビルには立ち寄れるんだ。様子は見れるだろうし、事務的な会話でも、交わすことは可能だ。

 こうなってくると、俄然と、気が上がる。嬉しいもんだな。翌日の休みは、張り切って、部屋の掃除まで、していたりする。

 勤務先の岩宿には、東都線の東北ライン沿線は、大型ターミナル駅の俺のマンションの方が近いんだよなあ・・・

 しまっておいた新しいものを、確証ができたら下そう・・・とか、マメなこと、考えたりしてる。

 馬鹿みたいだけど、こんなモチベーションじゃなきゃ、動けないね。

 要らないものって、結構ある。昔の彼女との時のもの、何となく、残ってて・・・良い機会だよな。こっちから、切れたのに、いつでも、捨てられると、馬鹿みたいに置いてある。無頓着も過ぎた。気がないから、こんなになったんだろうな。

 心変わりというが、本当に、心が変わったのは解る。

 できれば、その内、こんなのもね、話して聞かせてみたい所なんだけど・・・。

 俺の、その変わり目。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 翌月曜日、朝の近所周りを終わらせて、最後にランチのギリギリで、芦原商事のエントランスを覗く。あああ、いないや。先に、昼休憩に入ったんだ。まあ、そう上手く行かなくても、いいんだ。たまたま、寄ったらいて、顔が見られれば、恩の字ってことで。今日はいいや。今の所、要件は具体化してなかったしな・・・。

「あ、貞躬君?丁度、良かった」
「あ、はい、相崎様。今、お伺いしようと思っていた所です」
「良かったら、明日、前に少し話した、秘書課の人員補充の話、進めたいと思ってるんだけど」
「本当ですか?」
「そう、受付とかも含めてね」

 人事部長の相崎さんだ。なんだって?要件があるって・・・受付、うちから入れる、ってこと?・・・え?そしたら、彼女は?

「少し考えていることがあってね。適材適所に女の子たちを配したいからね。不足の所に適切な人材を、おたくから、と思って」
「人数の目途とか、お解りですか?」
「まあ、細かいことは明日、今日はこれから、会議があるので」
「わかりました」
「明日、ランチしながら、どうかな?」
「ああ、はい、大丈夫です」
「社員食堂のパーティションのあるコーナー、会議専用枠の、前に来たことあったっけ?」
「えーと、ああ、わかります。あそこですね・・・」
「明日の昼、食堂の前で、待っててもらえれば」
「わかりました。明日、12時少し前に、お待ちしております」
「よろしく、じゃあね・・・あ、今日は、どこに用があったの?」
「定期的に、各ビルを回っているので・・・」
「そう・・・うちの受付、前も話したと思うが、交替も入れて、人数、多いよね?」
「でも、御社の規模から見たら、必要数ではないでしょうか?」
「そうか、そんなもんか?・・・一人、秘書課業務に戻したい所でね」

 受付、動かしたいんだな。やっぱり。

「なるほどですね、そうですか・・・他の部署との兼ね合いなど、詳しく解りましたら、教えて頂ければ、ご提案させて頂きますが」
「ごめん、ランチ会議で、息抜きもできんだろうけど、今度、夜、いいとこ連れてくから」
「とんでもないです。こちらがご案内するならば、とにかく」
「ああ、どっちでもいいよ。いいとこ、行く?」
「まあ、まずは、明日のお話が・・・」
「そうだよねえ、まあ、最近は、昔みたいに接待でもないよなあ・・・じゃ、明日、昼に」
「わかりました。よろしくお願いします」

 相崎部長、遣り手らしいんだよね。さっきの誘いは、変な意味じゃないらしい。「気に入られた証拠」と、確か、先輩が言ってたやつだな。

 同期の中では、頭一つ出ての出世だって、聞いてるんだけどね。別に、こちらに無理なこと言う感じは、今の所ないし、先輩から、ここ引き継ぐ時に、紹介してもらったけど。結構、話しやすいし、提案を聞いてくれる。取っ付きは、思ったより、悪くない方なんだけど・・・あ、彼女だ。

 相崎部長に会釈して、あれ、呼び止められてる?・・・エレベーターホールに引き戻されてる感じ?人事のことだろうか?・・・あ、出てきた。小走りだ。小さなバックは、弁当箱かな。んー、なんか、伏し目がちのあの顔、壁際の時みたいだけど・・・。何か、言われたのかな?気になるけど・・・あー、明日は、その相崎部長とランチだし、今、行ったら、変かな・・・あ、受付の二人と入れ替わって、一人になったぞ。今だ。

「こんにちは」
「あ、・・・貞躬さん、先日は、ありがとうございました」
「いいえ、こちらこそ、・・・休憩戻り?」
「そうです」
「残念」
「今日は、当社にどのようなご用事で?」
「相崎部長と、そこで擦れ違って、用事が済んだ」
「あ・・・そうですか」
「って、さっき、見てたんだけど、何か、言われてた?」
「うーん・・・まあ。でも、大丈夫です」

 なんかなぁ。何か、我慢しちゃってるように、感じるんだけどな・・・。

「本当?・・・そんな顔してなかったよ、戻ってきた時」
「え・・・」
「言えないよね。なんかあったら、メールして」
「・・・大丈夫です。すいません」
「じゃ、俺、これから休憩する。あのベンチで、サンドイッチでも食うわ。これ」
「あー、井筒ベーカリーのだ」

 お、表情が明るくなったぞ。

「詳しいねえ、やっぱし」
「貞躬さんこそ、すごい」
「月曜日は、サーモンサンド」
「ああ、いいなあ・・・クリームチーズ塗ったやつだ・・・」
「ああ、明日、こっちの社食で、ランチ会議、相崎さんに呼ばれてて」
「また、来られるんですね」

 嬉しそうにした。ちょっと、ホッとしたかな・・・。

「明日、なんか、買ってこようか?来る前に」
「でも、部長とランチなんでしょ?」
「いいよ、大丈夫だから。明日は火曜だから、何の日かな?」
「コッペパンの日ですよ」
「ああ、そうだ。詳しいねえ。何挟む?」
「ああ、でも、やっぱり、今度、ご一緒の時で」

 あああ、ぐっときちゃったよ。ご一緒、ってね、言葉で聞くと、いい感じだな。あ、来客だね・・・、残念。

「すみません。こちら、芦原観光のオフィスもあるんでしょうか?」
「あ、はい、少々、お待ちください」
「こっちはいいから、じゃあ、コッペパンの中身もメールして・・・じゃ、ありがとうございました。失礼します」
「はい、お気をつけて・・・、お待たせ致しました。14階に、観光部門の、そちらの専用受付がございまして・・・」

 いいねえ。彼女できる感じなんだよねえ、でも、受付のままでいいと思うよ。・・・って、俺の希望でもあるんだけどさ・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 メール来るかな、と期待したんだけど。忙しいよね・・・コッペパンの件もあるんで、聞いてみようかな。客先周りの合間に、そればかりが、気になってる。

「コッペパンの中身、
 甘味とおかずのと、
 どっちがいいかな?」

 30分後、返ってきた。こっちも移動中。ラッキー。

「貞躬さんのお勧め、お願いします」

「食べたことあるものは何?」

「あんマーガリンと、ハム卵、
 コールスローだったかな」

「いいとこ、制覇済みだね」

「貞躬さんは、何がお好きなの?」

「お勧め、被ってるよ。
 あとは、ピーナッツバターかな、
 あんことハーフも、
 疲れて、甘いもの欲しい時はいいかも」

「コーヒーが合いそうですね」

「そうそう、
 その辺りにしようか?」

「でも、それは、ご一緒の時に」

 また、可愛いこと、寄越してきた。うーん。

「明日は、いいですけど、
 貞躬さんの方が、大丈夫ですか?
 部長とランチがあるのでしょ?」

「休憩は何時?」

「お昼が遅い形です。
 13時半からの」

「じゃあ、相崎部長の後とか、
 会えないかな?
 多分、あちらもご予定があるだろうから、
 ランチで終わる話し方になると思うし」

「いいかもしれませんね」

「じゃあ、あんピーナッツとか、
 色々、買って、例のベンダー前の
 ベンチで待ってるよ」

「ランチの後なのに?
 貞躬さん、食べられますか?」

「卯月さんとなら、平気」

「えー、私、胃薬的な?」

「そんな意味じゃないよ、
 食後のコーヒーは、
 そっちでってことで」

「わかりました。
 楽しみにしてますね」

 あ、気になっていたのは、部長とのことなんだけどな・・・、まあ、その時に聞こうかな。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ランチ、景色がいいね。社食とは言い難いぐらいに綺麗なスペースで、ちょっとした、レストランで、別に喫茶室もあるんだな。会議スペースだから、ちょっと、個室感があったけど・・・。

 相崎部長の今回の依頼は、まあ、うちの会社からの業務員の増員で有り難いことなんだけど・・・、総務部の秘書課の女の子が対象で、現状として、秘書業務がよりできる子が、受付に入っていたりするそうで、配置換えと補充を考えているとのことで・・・。ひとまず、受付向きの子を試しに、二人補充の依頼だった。今は少ないけど、大きな人事異動の前に、試してみたいとのことで、改変の時には、もう少し、こちらへの依頼が増えるそうだ。女性の場合、結婚退職など、少しずつ情報が入っているとのことで、その時にはまた、必ず、こちらに依頼すると、相崎部長は、約束してくれた。

 なんか、すごい、話がタイトで、タイムリー過ぎるんだけどな。つまりは、今、受付を担当している、何人かが、秘書として、社屋の奥に引っ込むってことだよね。予測として、卯月さんはできる側に目されて、それをこないだ、相崎部長に呼び止められて、打診されたとか、そんな感じじゃないのかな?評価が良くて、秘書として中に行くのはいいけど、こちらとしては、顔が見られなくなるね。

「あ、良かった。間に合ったよ」

 彼女がベンチにいた。あれー、いいのに、弁当箱持ってきてる?
 ・・・って、急遽、午前中にメールで、コッペパンのみのオーダーでいいって、もらってたんだよね。

「中身、作ってきました」
「何か、予感がしたんだ。メールもらった時に」
「だって、中身重なると、結構コストかかるでしょ?」
「うーん、コッペパン四つで、480円は、確かにリーズナブルだけど」
「こっちは、スープね」

 ああ、水筒にコンソメスープだ・・・。あったかいものは、何よりも、ありがたいよ。いいな。全部、いいじゃないか。

 準備してる感じも・・・いっぱい、選択肢があるぞ、何これ、店、超えたじゃんか。

「わあ、なんだか、ご馳走だねえ、嬉しいんだけど」
「パン2つとか、3つ分だから、そんなに量はありませんよ」
「卵に、ハムに、野菜に・・・」
「好きな組み合わせで」
「あと、デザートね」
「あー、そうでしたね」

 これだけは、あんピーナッツのミニを2つね。コーヒーの御伴ね。そう、だから、ランチは、蕎麦にしてきたんだ。小食だね、と、相崎部長には、突っ込まれたんだけどね。

「お昼、控えてきたんだ。予測が当たって、良かったよ」
「うふふ、どうぞ、はい、お手拭き」
「至れり尽くせり・・・頂きます。これ、フォーク、使っていいのかな?」
「はい、作りますか?」
「自分でやりたい・・・けど、いい?」
「勿論です」

 ああ、いいなあ。昼休み、皆、終わってるから、人目も少ないし。
 ・・・幸せだな。これ。

「私のお勧めは、ハムを敷いて、間にポテトサラダと、晒し玉ねぎです。これ、たっぷりと晒してるんで、臭くないやつですから」
「どれどれ、ああ、シャキシャキしてる・・・、辛くないし、で、臭くないのか、へえ」
「うふふ、いいでしょう?」
「やっぱり、美味いね。多分、卯月さん、毎日、弁当って聞いたから、料理好きでしょ?」
「経済的だし。ランチ、岩宿で毎日だと結構かかるし、意外に、社食、時間で間に合わなかったりすることもあるんで」
「最上階だし?」
「そうなんですよね。社屋で務めてる方には近いけど、結構、1階フロアの私達には厳しい条件なんですよ。で、遅い休憩の番だと終わっちゃうし」
「もう、閉めてる時間か・・・」
「だから、お弁当です。休憩室で。たまに、一緒の同僚がいると、お天気の良い日はこういう風に外で食べることもあるんです。こっちの方が戻りも近いかも」
「あー、いいなあ。美味いよ、これ、・・・あ、その揚げ物は?」
「小さなコロッケです。まず、挟まないで食べてみて」
「ん、いただきます。俵型、あー、これ、たらこ?あ、ちょっと辛い、明太子だ」
「当りです。明太子バージョンのタラモサラダのコロッケです」
「挟んでみてもいい?これ」
「どうぞ、これ、卵ペースト乗せるとタルタルソースみたいになりますよ」

 よく見ると、サンドイッチにした時に、ソースとか、マヨネーズとか、ハイド的トッピングなしで行けるような、設えになってる。

「うん、美味い。パンは井筒屋だけど、中身は、卯月屋で」
「えー?」
「まじ、負けてないかも。井筒ベーカリーのだと、1本で完結するけど、卯月さんのおかず挟めば、1本を半分にして、丁度いいな。色々、楽しめて、満足感がある」
「良かったあ。もう、サットンに行く人は、食べるのが好きなのが、よくわかるから」
「そうなんだ。類型が取れてるの?・・・ひょっとして、リアルに、過去において?」
「あ、ううん、そういう風に聞くし・・・貞躬さんは、話から、好きな食べ物が似てるし、食べること、愉しんでる感じがするから」

 躱されたかな、質問。でも、その代わりに、名前で、きちんと、呼んでくれるんだよな。それだけで、特別感が増すんだけど。

 ・・・って、今日は、すごい、嬉しい。サットンも感激だったといえば、そうなんだけど、あの時は、あまりにも、こっち寄り過ぎて、驚いた。本当に、浅井が好きなの、高菜と紅ショウガで解ったし・・・。嗜好が近いって、合う、ってことだよな・・・。

「また、何か、機会があったら、作ります」
「時間が合う時になりそうだね・・・そうだ、一つ気になってたこと、前に言いかけたんだけど、聞いてもいいかな?」
「なんでしたっけ?」
「相崎部長から、何か、言われてないかな、と思ったんだけど」
「・・・貞躬さんって、よく見てて、しかも、鋭いんですね・・・でも、これって・・・」
「ひょっとして、人事異動の話じゃない?」
「ん、まあ、それに近いかな・・・?」「
打診がもう、あったのかな?」
「人事部の秘書にって、部長の直属の・・・」

 ああ、やっぱし・・・、なんとなく、そんな気がしてた。仕事ができるからなんだろうけどね。受付じゃ、勿体ない、って、評価なんだろうな。

「そうなんだ。でも、それって、ある意味、能力が認められたってことじゃないのかな?」
・・・違います。多分」
「え?」
「・・・でも、人事が発令されたら、従うしかないから」

 首を横に振った。明らかに、不本意な感じが、見受けられるんだけど・・・。

「あんまり、乗り気じゃないみたいだね。受付の方がいい?やっぱり」
「今までない形の立ち上げみたいだし、別に、私でなくても・・・」
「実はね、その話で、今、俺、相崎部長から、ご依頼、受けてるんだ。総務部秘書課の女性職員を適材適所に、配置し直したいとのことで。ひとまず、受付の中に、優秀な方がいるから、他の部署に異動を考えたいと仰ってて・・・卯月さんも含まれる話だったのかもしれないね」
「そう、なんですね。パーソナルさんが、動いてるんですね」

 ああ、「貞躬さん」じゃなくなった。うーん。・・・お仕事モード。

「あ、でも、まだ、決定とかでもないし、何かあるなら、俺も知っておきたいし、その、なんていうか・・・」

 いやあ、上手くいくように、場合によっては、相崎部長との話、コントロールできないかなとか・・・。受付、いじらなくていいようにするとか・・・ああ、それって、公私混同だけど・・・。

「何か、あるんじゃないかな、と、思ってるんだけど、そうなりたくない理由が」
「もう、そろそろ、時間だから・・・あんピーナッツ、折角だから頂きますね」
「ああ、ごめん。今度、ゆっくり・・・その、その辺の話も、土曜日に聞かせてもらえると嬉しいんだけど・・・」
「あ、・・・そうでしたね。土曜日、でしたね・・・」
「東北線沿線だよね?雅蘭がらん公園とか、どうかな?今、薔薇が見頃みたいだし」
「わあ、・・・行ったことないです」
「嘘?沿線なのに?」
「子どもの頃は、東都に住んでいたので」
「なるほどね、遠足から、写生会から、こっちでは、必ず行くからさ。あそこの公園内の洋食屋も老舗で、色々、美味いし」
「やっぱり・・・、私も、チェックはしてました。機会があったらなとか・・・」
「じゃ、決まりね」
「でも、お弁当作ります」
「あ、それ、すごく、嬉しいけど。力入れすぎないで。休みの日だから、どっちでもいい風に考えよう」
「・・・うん」
「・・・あれ?どうした・・・」

 え?涙目だ。

「え・・・大丈夫、かな?・・・卯月さん?」
「貞躬さん、優しい・・・ありがとうございます」

 涙を手の甲で拭きながら、片づけてる。なんか、全部、いじらしいんだけどな。まっ昼間で、人通りもあるから、しないけど、こんなん、あと、夕暮れ時の、3、4時間後だったら、抱き締めてるよ。・・・泣くなんて、どうしたんだろう・・・?

 手を振って、彼女は、岩崎ビルディングの芦原商事に戻る。俺は、客先巡りの続き。

 ヤバい・・・、どんどん、可愛くなるんだけど。涙の訳が気になるけど・・・、土曜日の雅蘭公園で聞くかな・・・。
                             ~つづく~


みとぎやの小説・連載開始 「その変わり目」 第二話

読んで頂き、ありがとうございます。
連載システムを、先日の「スタートして、1か月たちました」で、
お伝えした所、優しい方が、スキ💜を入れてくださったのでは?
と思ったりしています。ありがとうございます。

話としては、イチャコラなのですよね。
うっとおしいと思う方は苦手かも、と思います。
しかも、他の話より、一編が、長めですね💦

昔は解らなかったのですが、男の人が恋愛に打たれ弱くて、可愛い所があること。素直で、好きな子には弱いってこと。それが解ってから、こういう感じ、臆面なく、描いたりできるようになりましたね。
実は、フラれたりすると、男性の方が立ち直り、遅かったり・・・。
また、別で、こういう話はしようかなと思います。

次は、第三話、同じタイトルで進みます。
宜しかったら、また、読んでください。
この第一話は、こちらになります。長めですが、ご一読、お勧めです。


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